ふたりの夜
「わぁ…!すごい!見て見てえりせちゃん!すっごく綺麗だよ!」
「…うん、本当に綺麗だ。」
ふたり、並んで空を見上げる。
今日は天気が良くていつもは見えないような遠くの星まで見えるような、そんな夜だった。
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「…」
横に並んで座るサキの瞳を覗きみる
彼女のルビーのような瞳にはきらきらと夜空の星が輝いていた。
それを見て私は安心するような、嬉しいような気持ちになる。
サーヴァントは夢を見ない。
だが稀にマスターの記憶を垣間見ることがある
私の脳裏に残る光景
病室の窓から1人で見上げた夜空は今よりもずっと暗く、遠くて星なんてひとつも見えなかった。
だからそんな彼女が夜に笑えていることが…
1人の友人としてとても嬉しかった。
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「…」
並んで星を見上げるエリセの瞳を覗きみる
彼女のサファイアのような瞳には夜の闇に負けないような星が輝いていた。
それを見てあたしはホッとするような、嬉しいような気持ちになる。
ついこの前にみた夢。
きっとあれはエリセの夢なんだろうと思う。
とても不思議なことだけれどきっとそうなんだという確信があった
あたしの頭の中に残る景色
星がひとつも見えない空をたった1人でただ見上げ、寂しさにただ身を震わせていた。
だからそんな彼女と共に夜を過ごせていることが…
彼女のともだちとしてとても嬉しかった。
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「ねぇ、えりせちゃん。
もう少しだけ外に出ててもいいかな?」
「…うん、もう少しだけ見ていようか。」
きっと夜は明ける。
私たちがそうだったように明日は変わり、セカイは前に進んでいく。
だが今だけは、この夜だけは。
私たちはただ共に笑い合っていたいと、そう思った。