ひろプリwith デパプリ裏話
空色胡椒初めに…スレを後追いした私は立て続けに現れていた鉄華団さんのソラ拓SSを連続で浴びたことにより、その沼に落ちました…
まぁそこからそういう物語も見てみたいな、という思考になり、結果として筆をとる形となりました。
最初に決めたのはテーマ。ソラと拓海が出会う理由付け。本編時間軸ならデパプリ5人全員出ないと不自然だし、かと言って先にプレシャス達と出会ってしまったらブラペのインパクトが薄れてしまう!と考えたわけなのです。
じゃあどうするかとなった時に、招き猫を巡る旅は本編後だったことを思い出し、であれば3人は変身できないままでもいいのではないかと考えました。なので時系列的に戦いを終えたゆい達と戦いの中にいるソラ達が出会う方向となったわけですね。
ここまで考えた時に思ったのが、「あ、これ戦隊のVSものだな」でした。このためそれぞれの要素をふんだんに取り入れた、ガチめのクロスオーバーにしよう、と決めたのが原型です。
確実に入れようと思ったのが以下のポイント
・ブラペが最初に助太刀する
・ソラの理想のヒーロー像っぽさを拓海が見せる形で絡む
・ゆいに一年間の差を実感させる
・スキアヘッドがスペシャルデリシャストーンを使って怪物を産む
・怪物によって混合チームでバラバラにされる
・ピンチにゆい達三人が変身できるようになって共闘
・マジェスティとブラペ、フィナーレとの絡み
・ソラの無自覚な想いとゆいの無自覚な想い
これを元にストーリーを構築し始めました。
なので当初はローズマリー、ヨヨ、ナルシストルー、セクレトルー、カバトン、シナモンというサポートキャラクターは未登場の予定でした。
ですが、それぞれのシチュエーションへの説得力を持たせるためにどうしたらいいかということを考えた結果、以下のようにキャラクターを増やす形になりました。
・ローズマリー
コメコメ達がこっちに来る時、ローズマリーが動かないのはおかしい。じゃあ来るだけ?それじゃあ出す意味がない…分断の時にデリシャスフィールドに近いものを使った設定ならどうだろう?そこに干渉するためにローズマリーが必要で…そうしたらゆい達のところにコメコメ達が行ける理由付けができる?
・ナルシストルーとセクレトルー
アンダーグエナジーのことがわからなさ過ぎる…なんでマリちゃんが干渉できるかを考えよう…何かしら解析出来れば…じゃあナルシストルーが頼もしそう。ナルシストルーだけなのも不自然だし、服役一緒のセクレトルーもサポートで役立てるのでは?
・ヨヨとカバトン
でもアンダーグエナジーの知識を持ってる人が必要だ。ヨヨさんならどうか?こっちの世界に長いみたいだし、ジンジャー、よねさん、シナモンと知り合いみたいにしたら絡めやすい?でもアンダーグエナジー話で聞いただけで理解したらさすがにナルシストルーできすぎだろ…あ、サンプルが手に入ったとかなら?でも誰がそれを渡すのか…あ、改心してたやつで絡ませやすそうなのいるやん。カバトンさん、出番です!
・シナモン
ヨヨさんの知り合い、折角なら今もいる人の方が展開しやすいかも。じゃあシナモンだ!招き猫渡してたとか。そういえばシナモンめっちゃ強いよな…あ、マジレンvsデカレンの時のデカマスターvsウルザードみたいなのあったらアツくね?最強のクックファイターvsアンダーグ帝国最強の刺客…やりたい!
みたいな流れで出演が決定しました。個人的なこだわりとして、出る人全員が無駄にならないようにしたい、ということから役割が持てそうな人に出てもらった形です。
この延長線上に、ローズマリーが隊長であることを強調するポジションとしてセルフィーユ、オリジナルの怪物ゴーボーグを強敵なデザインにするならとゴーダッツに似せたことによりそれと対抗するためのフェンネルが出た形です。
逆に役割を持たせにくかったもう1人のジェントルーや当時立ち位置不明なバッタモンダー等は登場させなかったわけですね。
次にストーリーにおいてどこを重視するか。ラブコメちっくなのもいいけどきっとそれはもっと上手い人がいる。エロは書けん!となった結果、じゃああえてVSシリーズの盛り上がりみたく、アクション面に力を入れよう、となりました。
アクションを文字に起こすのは結構難しいと感じられるかもしれませんが、私は以下のポイントを大切にすることで書いていました。
・攻撃の際の部位をなるべく具体的に記すこと(パンチは右手?左手?キックはどっち?)
・動作と動作の間を埋めること(パンチの後キックにつなぐ時身体がどう動くか)
・頭の中で実際のシーンを想像し、ストップモーションのように動かす
例)
拓海は上半身を引きその拳をかわす。その拳の勢いを殺さぬまま、左の掌を用いて受け流すように、あまねの右ひじを押して姿勢を崩そうとする。すかさずあまねはその受け流された勢いを利用。右足を踏み出して軸とし、高い柔軟性をもって左足を回し蹴りの要領で拓海の頭部へと振り下ろす。
またそれとは別に筆を進める方法として、戦闘時のBGMを考えることで、どういう雰囲気の戦闘にしたいかをイメージしていました。
例)
ブラペ初参戦→ブラックペッパー参上
招き猫キョーボーグ戦での連携→For “F”
各エリアでのチームごとの共闘→Daybreak song
ゴーボーグ決戦→All for one Forever
上記はあくまで個人的なポイントなので参考までに。
あとは一つの手段として音声ガイドというものを聞いてみるというのもあります。視覚に障害がある方も映画を楽しめるように、スクリーン内の出来事を音声として伝えるというもので、いくつかの映画でも実施されています。
届ける情報は登場人物の容姿、表情、些細な動き、色、大きさ等多岐にわたります。その中にはもちろんアクションも含まれています。私は昔興味本位でドラゴンボール超ブロリーのものを聞いたことがあり、その時の戦闘シーンの解説をイメージして書いていました。
アクションを成り立たせるために、初めにプリキュア側がどんな組み合わせで戦闘するのかを想定し、各戦闘場面での敵キャラを構想しました。その時のメモは以下の通りです。
プリキュアアンダーグフィールド内組み合わせ
・キュアスカイ+ブラックペッパー
(守りたい者同士、マントの使い方、スカイのスタイルにブラぺが合わせる)
・キュアプリズム+キュアプレシャス
(プレシャスに影響される、ダブルパンチ、初期技の合わせでフィニッシュ)
・キュアバタフライ+キュアスパイシー+キュアヤムヤム
(ダブルプレス、バタフライのコミュ力、ブレインはスパイシー)
・キュアウイング+キュアマジェスティ+キュアフィナーレ
(騎士と姫っぽい、フィナーレから体術スタイル学ぶマジェスティ、決めるのはウイング)
また上記のチーム分けをしたときにプレシャス、スパイシー、ヤムヤムの参戦だと変化があるのが半分だけになりそうという理由から、マジェスティを途中参戦させる方法を考えました。その結果として赤ちゃんだから寝ていて起こせなかった、という展開が生まれました。これによって各戦場において緊張感と危機感をあおることができたように思えます(ブラペは浄化できない、プリズム単独、バタフライは守る相手2人、ウィング戦闘困難)。
じゃあ最初の戦闘はどうしようと考えた時にまずブラペが参戦する理由として、招き猫を使われたことへの怒りも含めようと思ったイメージから、招き猫と調理器具を使いたいという点からめん棒を取り入れました。なお、爪で削るという発想は投稿直前に生まれました。いい感じにプリズムのツッコミが入れられたので、ナイス思いつき!
次にバラバラのエリアボスはキョーボーグ。2つのものを合わせた的なら、調理関係のアイテムがひとつ入ってるのにしようと決め、各チーム事に想定しました。
パワー要因が居ないけどプレスやサンドできるバタフライチームにはホットサンドメーカー。遠距離メインのプリズムの新しい面をプレシャスが引き出すなら光弾が効きにくい相手…ブラペのを跳ね返したウバウゾーを参考に…ブラペとスカイの敵はペッパーミルとか面白そう!という具合に決めていきました。
なお、フィナーレとウィングの相手についても一応はデザインに特徴を持たせたアイディアはありましたが、物語の展開上あまり描写できませんでした。
ちなみにシェアハウスでのやり取りや拓海の特訓、ショッピングモールは直前に思いついた展開でした。それがあったからこそソラが拓海を慕い、拓海がソラを気に掛けることへの説得力やゆいの心情をもっと描けたので、本当にインスピレーション様様ですね。
さぁいざそれぞれバラバラになったぞ!となった時、それぞれのメンタルが崩れそうな側と芯がある側を決めてました。
割とメンタル崩れやすいソラ、単独での戦闘経験がほぼないましろ、戦えないここねとらんといった具合で、それに対してどうもう一人が接するかを想像して描きました。
なお、あまねとツバサはどっちも安定しているイメージがあったので、眠っているエルちゃんというハンデを負わせました。
クッキングダム側のメンバーを参加させる方法が割と悩みました。通信すればそれでいいかもしれないけどそんなことしてる余裕があったら話の展開グダグダになりそうだな~と思ったので。じゃあ通信してても話させなければいいんじゃないか?という発想からあまねの咄嗟の機転で事態を知らせる形に落ち着きました。
そこからはローズマリー、セルフィーユとフェンネルに解決方法を探ってもらい、みんな大好きナルシストルーに活躍してもらうことになりました。
さぁヨヨさん、カバトンと合流していよいよ解決というタイミング。ここでこそ、一つの見せ場としてシナモンさんに活躍してもらおうと思ったわけです。
投稿の時にも少し触れましたが、シナモンVSスキアヘッドは魔法戦隊マジレンジャーVSデカレンジャーの時に見られたデカマスターVSウルザードのオマージュです。前作最強の番外戦士が現行の強力な幹部と戦う。形として相打ちに持ち込むことでどちらの格も落とさないように気を付けながら、それでいてシナモンをかっこよく書くことを意識していました。
このシナモンの活躍によって、エナジー妖精たちが参戦できるようになるという流れ…我ながら好きです。
いよいよ満を持してのデパプリとマジェスティ参戦!ここまで変身できないもどかしさや危険、外部組の頑張りを描いていたからこそ、引っ張りに引っ張ったこの変身も盛り上がるんじゃないかと思いましたが、実際そう受け取ってもらえてありがたかったです。
そこからの共闘についてはメモの通り、遠距離攻撃が効きにくい相手に対してプレシャスからパンチを学ぶプリズムや、スパイシーが作戦を立てて逆転する、ブラペからマントの使い方を学んで活かすスカイ、フィナーレから戦い方を学ぶマジェスティとこういう展開あったらいいな、という妄想を詰め込みました。
余談ですが「ヒーローガール!ナイトスカイパンチ!」については名前はダブルミーニングになっています。一つは「夜」でこれは演出の中からも見えると思います。もう一つは「騎士」。クックファイターも青の護衛隊もそれぞれの国における騎士団のような存在であることから連想した名前になっています。
そうして無事に各フィールドでキョーボーグを撃破した彼女達大集合!ここで絶対に拓ゆいぶっこんでやる、と決めてました。最初の方から拓海に向けられたゆいの感情は全てここのための伏線…一気に爆発させた結果、熱烈なハグへとつながったわけですね。しかしまだ決戦前、ここで失速させ過ぎてもいけないということで、空気を読まない(あるいは読んだ)ゴーボーグさん再起動!決戦へと流れ込みました。
今回決戦での肝は両チームの連携。最初の交戦ではなるべく同じチーム同士だけが連携するように描いたことで、ブラペとプリズムの同時攻撃をきっかけにより協力し合う流れを作りました。この時の組み合わせについては最初以下のこだわりだけでした。
・フィナーレ+バタフライ(年長者組)
・ヤムヤム+プリズム(遠距離担当)
・スパイシー+スカイ(青組)
・ブラペ+ウィング(男子組)
なので実際はプレシャスとマジェスティはあまりで組ませたに近いです…が。ここからどんなふうに協力させるか、それを考えた時にさらに以下のポイントが増えたのです。
・フィナーレ+バタフライ(ワンダホーな力って紫やん!じゃあフィナーレと同じ色!?)
・ヤムヤム+プリズム(ましろにましまし言ってもらえるくね?)
・スパイシー+スカイ(盾ぶん殴って敵にあてたらかっこよくないか?)
・ブラペ+ウィング(守りたい人がいる組…ちょうどあの二人だ!)
・プレシャス+マジェスティ(接近戦メインだし、そこからそれぞれ助けてもらうのあり?)
その結果としてあの技の連携が生まれました。そして連携を描くうちに、やっぱソラましと拓ゆいの連携は外せないだろう、ということで「プレシャスにパンチ習ったプリズムならいける!」と考えからダブルパンチを、「どうせならブラペとフィナーレのあれを2人にやってもらいたい」という考えからダブルキックを繰り出してもらいました。
そしてあま拓スレとして外せないのが拓海とエルちゃん、この場合はブラペとマジェスティですね。そう、フェンネルのデリシャストーンの共鳴に関するセリフも、両チームの連携も、スカイのナイトスカイパンチもここにつなげるための伏線です。
もう一つこの流れを作りたかった理由は、ブラペが浄化技には参加できないという理由です。彼だけ何もしないのは違う、じゃあどうしたら浄化技へのつなぎの役割を果たせるか。彼だけ違うのはプリキュアではなくデリシャストーンを扱う戦士であること。じゃあその特性を活かして確実に浄化技を決められる流れを作ろう、という考えです。
これによってブラペ+マジェスティの連携→デパプリ浄化→ひろプリ浄化の誰もが活躍する流れを作り出すことができました。
そして戦いの後の大団円。
ここにカバトンを含めなかったのは、本編でどう転ぶかがわからなかったためというのが正直な理由です。ただ結果としてカバトンのキャラクターとしても違和感のない去り方だったんじゃないかということ、また正体を明かさず助けるというヒーローとして彼を描けたことから、これもプラスだったんじゃないかと思っています。
シナモンと拓海のやり取りはシナモンを登場させると決めた時から入れたかったんですよね。この物語の設定上親子であり、また師弟でもあるという関係性を描きたかったのです。それにシナモンと拓海が2人だけで会話する本編だとほぼなかったというのもあって、入れたいと思いました。
またスピリットルーを除いて元ブンドル団全員が今回同じ事態の打破のために協力するという展開を描けたのも大きいです。感謝祭ではフェンネルの出番がなかったので、今回は彼も含めた全員がプリキュアに協力する流れを生んで、彼らもまた前に進んでいてほしいという個人的な希望を描きました。
最後のお別れ
エナジー妖精との別れであげはさんの話をする。これも偶然の産物でした。彼女なら離れ離れになってもということを言ってくれそう、と思ってそのセリフを書いた後にその境遇を思い出したのです。偶然とはいえその役割に最適だと思ったのは間違いじゃなかったということで、その設定を踏まえたツバサの心情を描きました。
そしてコメコメと拓ゆいの関係ですよ。感想にもありましたが疑似夫婦ネタ全然なかったなぁ、と思った結果今回ぶっこみました。ほんの少し成長したコメコメが最後に言った言葉の真意については…皆様の想像にお任せします笑
そして最後はソラ拓ゆいですよ。
本当はソラが気持ちを自覚するような展開を想定して、実際途中まではその流れで書いていました。ただソラに「好きです」と告白させてしまったら拓海は正面から受け止めて振ってしまうだろう、そう思ったので今回はあえて告白っぽいけど告白じゃないというラインを攻めました。
まだソラにとってはよくわからない不思議な気持ち、名前を付けられない何か。だから正直に「わからない」ただ「拓海に会いたい」という言葉を使いました。告白じゃないから振ることはできない。勝手に人の気持ちを決めつけることはできない。だからこそ拓海もその「会いたい」という気持ちを無碍にはできないという方法でソラ拓にも希望を持たせました。
一方ゆいもまた自分の気持ちをはっきりとは自覚していません。ただあまねに対して抱いていた学年の違いと共に戦える存在という焦燥感は確実に育っていました。そこにきてあまねと違って自分より年下(ゆい中三、ソラ中二の設定)で、拓海にあこがれて、一緒に戦えて、しかも拓海がスキンシップを受け入れるような相手の登場。ゆいにとっては青天の霹靂となるように物語を積み重ねました。それがあの後ろからのハグに繋がるのです。拓海にも他の人にも顔が見えないようにしっかりと拓海の背中に抱き着くゆいの表情もまた、皆様のご想像にお任せするところです。
まぁ、あま拓スレなので、締めの流れはもう最初から決めてました。すべての始まりのあの言葉しかないと。本編最終話で言った時はゆいの中で何かが変わった時、そして今回はソラとゆいの中でまた何かが変わった時と若干オマージュしながら大いなる喜びをもってあの言葉を使わせていただきました。
「どうした品田?顔が赤いぞ?」
文書を書いた経験があまりないので非常に分かりにくい裏話となっているかもしれませんが、ここまでお読みくださりありがとうございます。
ひろプリwithデパプリをもしお楽しみいただけていたのなら、チャレンジしてみてよかったと思えます。あま拓スレの皆様と、まだまだ沢山楽しみたいと思いますので、今後もよろしくお願いいたします。
以上、空色胡椒でした~。