「 」の霊基異常

「 」の霊基異常


今日は周回と呼ばれるものも無く久しぶりの穏やかな休日だったため、特に目的地も決めずに気の向くままにドゥリーヨダナはノウムカルデアの廊下をのんびりと歩んでいた。

「まったく、マスターめ。わし様がいくら優れたサーヴァントといえど、毎度毎度連れ回しおって・・・。新しい興味を擽るものの探索もままならないではないか・・・。」

ブツブツと文句をつぶやきながらも誰も居ない廊下を見渡しながら今日は何をしようかと考えつつも歩み進める。

 

この時に周回疲れが残っていてあまり頭が回っていなかったとはいえ、こんなにも人がいない事への違和感に気が付いていればあんな騒動にはならなかったのではないかと考えてしまう。だが起きてしまったことはどうしようもないため気にする必要はないのに解決した後もインドのサーヴァントの誰かしらが近くに居続けるのはいかがなものかとも (具合が悪くなったのかと勘違いされて医務室へ強制連行されてしまうのでやらないが) ため息を吐き出しそうな気持になってしまう。

 

「うん?あれはたしか・・・」

廊下の壁際に見覚えのある白いぬいぐるみのようなものがぽつんと落ちているのに気が付きそれに近寄る。

「やはり新しい弟が持っておる、羊のようなものではないか。落としたのか?」

カルデアで弟認定をした2人のうちの1人であるモコモコした白い弟は、この羊のようなものを頭にのせていたり腕に抱えたりして大切に扱っていたのを思い出す。その弟が泣きそうになりながらー100人の弟妹(かぞく)が大切な物を無くした時の泣き顔を思い浮かべてしまったためーこれを探しているのではないかと考え、付いてしまったのであろう埃を軽く落とし拾い上げる。

「全く。仕方のない弟だ。このわし様がわざわざ時間を割いて渡してやるのだ。物凄く喜ぶのに違いあるまい!」

ふんすと胸を逸らし、弟が喜ぶさまを思い浮かべ少しだけ上向いた気持ちのまま歩みを進めようとした時後ろから声がかけられる。

「スヨーダナ」

「・・・神たるアルジュナよ、今日も花冠を持ってー」

いつかに赴いたインド異聞帯でのレイシフト以降頻繁に己に関わるようになった、ふわふわ空を飛び花冠を抱えて近寄ってくるもう1人のアルジュナを思い浮かべ、上を見上げながら振り向こうとして羊のようなものから目線を離した瞬間だった。

「すきありー!」

という声と共にピコンと軽い音を立て頭に衝撃が加わった。

ぐわんと地面がなくなったような感覚に襲われ受け身も取れずどさりと廊下に倒れ込む。

「・・・あ?」

「スヨーダナ!!」

ぐにゃぐにゃぐちゃぐちゃと内側から引っ掻き回されるような感覚に襲われ、はくはくと倒れたまま喘ぐことしかできない。悲鳴を上げているような声を出して近づいてきてるはずのもう一人のアルジュナの声が何かに阻害さているかのように遠く聞こえる。

「あれ?失敗ちゃった?おかしいなぁ・・・。他のこは上手くいったのに」

「貴方・・・このこに何をしたんですか・・・」

何処までも平坦な声と怒りを含んでいるような声がどこからか聞こえてくる。ひうひうと今にも引きつりそうになる呼吸を少しでも整えるように意識することしか出来ない。

ぎゃあぎゃあわぁわぁと内側から聞こえてくる己を心配して声をかけてくる弟たちの声すらもどこか遠い。

「何って、そのこを子供にしようとしただけだよ。だって小さい子は誰だってかわいいし、君もスヨーダナに会いたいんじゃないかい?」

「・・・だとしても、このこを苦しまる理由にならないでしょう」

かたかた震えがとまらずに、ギシギシどこかが軋んでいる音がする。

ぐちゃぐちゃと何かが引っ掻き回され、ごうごうと音が響いている。

ずるずると何かに引きずり込まれるかのようにどろどろと意識が沈みそうになる。

 

倒れ伏しているドゥリーヨダナを背後に隠しアルジュナオルタはアポロンを睨み付ける。一触即発の様相を醸し出している二柱の神の意識を逸らしたのは高く幼い声だった。

「見つけましたよ!アポロン様!!何してるんですかー!!!」

「貴方は・・・」

「捕まってたまるかー!もっと新しい小さい子成分を補充するんだ!!」

パタパタこちらに駆け寄ってくる姿にアルジュナオルタが目を移した瞬間、アポロンは普段の姿からは考えられないような素早さで叫び声を上げつつパッとドゥリーヨダナの傍へと移動する。

「待ちなさい!」

慌てて手を伸ばすもののほんのわずかに届かず、去り際にピコンと軽い音を立ててドゥリーヨダナをもう1度叩きパッと姿をした瞬間。ボフンとドゥリーヨダナから煙が巻き上がる。

近くにいたにも関わらず守れなかった自分に歯噛みしながらも、煙をかき分けその姿を探し出すためにきょろきょろと目線をさ迷わす。

「・・・けほ・・・こほ・・・ゴホッ!!」

「スヨーダナ!!」

何か吐き出すような嫌な咳が聞こえる方向へ慌てて近づく。

そこに倒れていたのはかつてインド異聞帯で傍らに置いた愛しい子供だった。だがその子供はゲホゲホとせき込みながら口元と床をじわじわと真っ赤に染め上げ、今にも消え入りそうな雰囲気を纏っている。

「どう・・・どう、すれば・・・スヨーダナ・・・」

「アルジュナオルタ?」

治すことなど等に昔の事過ぎてどうすればいいのか分からず、けれども抱き上げたら更に壊してしまうのではと思うと触れられない。最適解が思い浮かばすにオロオロするしかできないアルジュナオルタにかつては聞きなれていた声で呼びかけられる。

「たすけて・・・お願いです。スヨーダナを助けてください」

アルジュナオルタにできることはなりふり構わずその人物に助けを求める事だけだった。

 

 

~Q&A~

Q.どうして素ヨダナは1回で子供にならなかったのか

A.霊基に弟たちをたくさん抱え込んでいる為、誰を対象にしたのかが分かりづらく・効果が反映できなかったため

 

Q.何で素ヨダナは苦しんだのか

A1.対象を発揮するのが誰なのかを探るため無遠慮に霊基の中に直接手を突っ込まれて探られているような状態のため

A2.欠片のスヨーダナも対象内だったのもあるし、素ヨダナが無意識下で「小さくなる(弱体化する)など冗談ではない!」「弟妹に手を出すでない!!」とその効果事態に反発してたため

 

Q.結局スヨーダナ化したのは何故

A.アルジュナオルタが近くに居たため、小さいドゥリーヨダナ≒スヨーダナという意識が反映された結果。

 

Q.スヨーダナが血反吐を吐いた原因

A1.生きてる人間が少なすぎるのにヒト型をとっているので機構性能の差異(脆弱のデバフ)が表出した結果

A2.打ち出の小槌もどきの効果に反発した後遺症。

 

Q.最後の人は誰

A.思いつかなかったため、各自お好きな方御思い浮かべてください。(^^)

 

Q.結局素ヨダナはその後どうなったの

A.スヨーダナ状態のまま医務室に送り届けられ、魔法を駆使しつつこれ以上悪化しないよう保護されます。

その後インド鯖が全員でアポロンを容赦なくボコボコにします。締め上げて解除方法を聞き出します。

スヨーダナ状態から元のドゥリーヨダナの状態に戻りますが、暫くは絶対安静。

最初の数日は意識が朦朧してたし、起きれるようになった後もちょっとした異変で沖田さんのようにコフる。

完全回復したのは4週間後。カルナとアシュバッターマンを筆頭にしばらく過保護に扱われます

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