な ん だ こ れ
ある日の昼下がり
「ん〜……」
「……ボタン、もう良くない?」
「もうちょい……いいわぁ、癒し度ブイブイ級……」
ストレスの軽減にはハグが効果的。
そんな情報を仕入れて共有したところ、リーグ運営の手伝いで疲弊していたボタンは、ノータイムでアオイに抱きついてきた。
どうしよう、とネモに助けを求めるように視線を向ける。
「……ボタン!こっちも空いてるよ、ほら!」
アオイからのヘルプサインに気がついたネモが、両腕を広げてボタンを迎える体制をとった。それをチラリと見て、ゆるゆるとボタンはネモの胸元へと顔を埋める。
「よしよし」
「…………」
頭を撫でてくるネモにされるがままになっていたが、暫くするとボタンはまたアオイに抱きつき始めてしまう。
「うーん……ネモもいいけど、やっぱアオイの方が抱き心地いいわ……」
「抱き心地?」
「うん、どこがって聞かれたら分かんないけど……」
「何それぇ」
微妙な反応のアオイをよそに、ボタンは親友とのハグを堪能し続けた。
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「……なんて事があってね」
「……ふぅん」
時刻は夜に差し掛かりかけた夕方。
アオイは恋人の部屋で、昼間の出来事を話していた。
恋人……ペパーは、そんなアオイの言葉に耳を傾けながら愛おしい少女を眺める。
日頃のフィールドワークと、(恐らく)自身の振る舞う料理によって、彼女の身体は出会った当初より成長を遂げていた。
アオイ自身もコンプレックスだと語っていた胸は、弄び甲斐がある程度の膨らみに。
パルデアを駆け回る脚は、雄が本能的に惹かれるような肉付きに。
「……ペパー、聞いてる?」
「あ?あー……」
「もうっ」
見惚れていて聞いていませんでした。と白状する前にアオイはぷい、とそっぽを向いてしまう。その仕草に合わせて揺れた三つ編みにそっと指を絡めると、少女の頬が紅く色づいた。
「ごめん」
「……」
顔は向けられないものの、逃げたり抵抗したりする気配はない。
それをいい事に、先ほどじっくりと眺めた柔らかな身体に手を滑らせる。
「ゃ……」
可愛いらしい反応を見せる恋人にすっかりスイッチが入ったペパーは、そのままアオイをベッドの上に転がした。
─おしまい─