幕間:どぼめじろう先生、次回はこれでどうだろうか
ピウス☆ツキ府中某所、とあるホテルの最上階。街の灯りが夜景を彩り、多くの人で溢れかえる時間帯であると言うのに、今まさに一人のトレーナーが狂ったウマ娘にその純潔を辱められようとしていた。
『やめてください殿下!嫌、嫌なんです!!私にはまだ契約中のあの子がいるのに、あの子にも、見せた事がないのに…!!』
『何を今更、わかってここまで来たのだろう?それに今から行われることが君の「教え子」に関係があるのか?』
『…言わないで……!!』
ぎらぎらとした目つきのウマ娘に溢れんばかりの豊満さを持つ肉体を組み伏せられるトレーナー。彼女は担当ウマ娘を女帝と呼ばれるまでの傑物に育て上げた敏腕であり、担当共々若くして脅威の才能と広く名を知られている。しかし彼女には誰にも言えない秘密があった…
『余人の云う事など気にしてくれるな。お前はお前だ。女帝の杖たる女として胸を張っていてくれ。』
『…うん、ありがとう。』
豊か過ぎる程に実った恵体について回る視線に対しコンプレックスを抱いていた彼女に常に寄り添っていた担当ウマ娘。トレーナーは、自身の教え子に恋をしてしまったのだ…
しかしこの禁断の愛は、それを利用しようとする悪意ある者の前に脆くも崩れ去ってしまう運命だった。
「女帝」を付け狙う一人のウマ娘の奸計によってトレーナーはその身を狙われ、自分から純潔を差し出さねばならぬよう仕向けられてしまう。
愛を守るため愛を裏切る事を強いられた彼女の決意が、己の肉体と共に踏み躙られ、蹂躙されてしまうハードコア・ぴょい作品!!
『お願い、あの子だけには手を出さないで!!約束して!!お願い、お願いします…!!約束してくれるなら、こんな身体…いくらでも乱暴にして構わないから!!』
『涙ぐましい献身だが…条件をつけるのはこちら側だ。元より優しくぴょいする気など無いのでな、諦めて耐えてもらおう。』
『そんな…嫌……』
はじめては王子様のようなあの子と……胸に秘めていた淡い恋心すら、肉欲と暴力に穢し尽くされる空の檻!
『なに、心配は無用だ。いずれ君も、君の王子様も、私のモノになるのだからね。』
『そんな…約束が違うじゃありませんか…』
救済無し、純愛無しの完全無欠の鬼畜ぴょい!
誰かを思う涙すら呑み込まれてしまう悲劇…
『高貴なる略奪・上』
彼女達を待ち受けるのは、破滅の序曲。
「…まぁ、意外と筆が乗ってしまってな。貴女のいちファンとしては過ぎた行いだと思っているが…ネタに困っていると聞いたのでね。なにかに役立てば幸いだ。メジロドーベル殿…いや、どぼめじろう先生が良いのだろうか…勝手が分からなくてな。済まない。」
ここは私…メジロドーベルの担当トレーナーの部屋の一角を借りた執筆室。
ここに突如来訪されたピルサドスキー殿下が私に差し出したのはハードコア系トレウマ百合NTR本であった。草案とは言いながらも既に内容はほぼ出来ており更にかなり攻めた内容であったため正直困惑している。なぜ殿下がこういうものを?なぜ私に?そしてPNバレてる?
なお渡された原稿は三部作で完結のようであり残り二作も既に手渡されている。
まず上巻。スクライドでいう衝撃のファーストブリッドである。担当への恋心をネタに貴族のウマ娘から脅されたトレーナーが自ら身体を差し出し痛みを伴うほど乱暴な凌辱に晒される、 といった内容。少女じみた無垢な精神とは裏腹にいやらしく実った肉体が本能のままに何度も内外を徹底的に穢されるがトレーナーは担当への愛の為ならとギリギリのところで耐えら れていた。終盤で約束を反故にされ、女帝を我が物にするための道具ついでに性欲の処理に使われていたと言う事実が明かされるとこれまでの我慢が全て無駄と知って耐えられなくなり、子供の様に泣き出したトレーナーがさらに犯されるという救いのなさがポイントだ。
次に中巻。撃滅のセカンドブリッドだ。トレーナーの担当ウマ娘「女帝」がトレーナーを人質にされ、花嫁姿で純潔を奪われた上トレーナーへの別れの言葉さえ言わされるという内容だ。歯に衣を着せぬ物言いは媚びた言葉遣いにさせられ、着替えたその時に襲われたため汚れ、裂かれただけの布と化した花嫁衣装のままで緊縛されて辱めを受けるもトレーナーの無事のためならと涙を堪えて耐えていた。 結局犯される様は全てトレーナーに見られており、さらにトレーナーは既に幾度も手篭めにされた後であると知り騙されたことに憤りながらもそのウマ娘を満足させるまで犯されるしか出来ない救いのなさがポ イントだ。
最後に下巻。抹殺のラストブリッドだ。前巻で囚われの身となった2人が愛を確かめ合い、上書きする様にお互い抱くラブシーンから始まるもそれを踏み躙るかのように互いの愛を試す様なプレイを強いられ心身共に消耗していた。そしてある時逃走の機会を見つけた二人は牢を抜け出すが...といった内容。しかし全てが貴族のウマ娘の奸計の内であり再度捕まった2人 に罰としてトレーナーに媚薬を投与し、発狂するまで犯すという非道を行う。 初めのうちは気丈に振る舞っていたトレーナーも遂には泣き叫んで命乞いをする無様を晒される。トレーナーを助けるために繁殖牝バとして権利を放棄し永遠の愛を誓わされる女帝であったが、次はトレーナーの前で自身が凌辱される番になっただけであった。最後には全てに耐えかね、ひたすら性欲に任せた暴力的な行為に怯えるしか出来ない二人が牢の中で体液に塗れながら啜り泣くシーンで終わりという救いの無さがポイントだ。
…特定の人物を想起させかねない上にあまりにもハードで人を選ぶ作品。トレウマNTRというある種の禁忌にも近い作品をまさか殿下からお出しされるとは思わなかった。
いいやしかしこれは流石に不味いと思うし、お断りしようかな……
「やりましょう殿下、三部作」
だが気に入った。このメジロドーベル、金やチヤホヤされる為に同人作家になった訳では無い。常に内包しているムラムラとした情熱を形にする為にこの茨の道を選んだのだ。
「……どぼめじろう先生、原稿終わりましたか♡」
あまりにも恐ろしい猫撫で声が後ろから聞こえてくる。私のトレーナー兼担当編集をしてくれている女性だ。今日はアシスタント兼モデルも兼ねており割と目に毒なスク水に黒長手袋、黒タイツという姿でお茶とお菓子を持って来てくれた。それはありがたいが五割も終わってない原稿の事を言われると悲しくなるのでとりあえず睨んでおく。
「……彼女はいつもああなのか?スレンダーで良い身体をしている。出るとこは出ててとてもいい。」
「…私がお願いしました。モデルとして。」
流石にトレーナーに汚名が着せられては困るので私から誤解を解いておく。
「わざわざ一回り小さいサイズ買ってくるなんていい趣味してますよね、先生♡」
無論クオリティ重視なのでブラはつけて貰ってない。ニップレスもなしで。よく許可してくれたと今でも思う。
「…ふんむ、どうやら忙しい時に来てしまったようだな。しょうがない、これは私が世に出そう。秘めておくには惜しいし、機会もウマケットに限る訳では無いしな。」
なんと、殿下手ずから官能同人小説を執筆されるらしい。何万円の価値があるのか分からない伝説が生まれるかもしれない……
「すまないがアシスタント殿、小説の書き方のいろはを教えてくれまいか?マンツーマンで。」
え?それは聞いてない…
「はい、殿下。しかしここにいてはドーベルも貴女もお互い集中できませんよね……あっ。私の寝室ならどうでしょうか?作業机もありますし、お茶もすぐお出しできますから。」
聞いてないんだけど?!
「……おや、おやおや。寝室かぁ…ふふ、ありがとうアシスタント殿。とても捗りそうだな…」
なんか怪しいんだけど?!
否、2人とも節度ある大人のはずだ。それに基礎的な講習を受けてる横で執筆するのは心にくるものがある。手癖を戒められているようで精神的衛生に悪い。ここは2人の背中を見送って……
「…きゃあ?!あっごめんなさい殿下!!…やだ、スク水ズレちゃった……」
「すまない、故意の事故だ。もう少し君を見ていたいな。君の上から退くのはもう少しあとでも良いかな?」
ドアの向こうに途端に、ドタンバタンとずっこけるような音。そしてとんでもない発言。
無論、ノータイムでドアを蹴破った。