ど、どう!?わたしだってちゅーくらいできるんだからね!!??
目の前でそう勢いづく彼女にしばし呆然とした。
少しばかりやり過ぎた自覚はある。
口づけどころかほんの少しの接触にも過剰に反応する彼女が愛らしく、ついついからかってしまっていた。
こちらが楽しんでいることに気づいたのだろう。
涙で潤んだ目が座り、唸り声が止む。
おや?と一瞬思った隙に距離が詰められ、
ふわり、と柔らかなものが額に当てられた。
は、と口から音を零す自分に対し、少女は顔を真っ赤にしながら得意げな笑みを浮かべている。
よほど緊張したのか僅かに息を荒げ勝ち誇る彼女を見て思考がフリーズした。
この生き物かわいすぎでは?
平時であれば到底マスターに向けるものではない感情で思考が埋まる。
ああ、これはいけない。
自分が生きた時代とは何もかもが違う世界で生きる貴女。
魔力供給が必要と聞かされても彼女の倫理観からすれば容易にうなずくことはできなかっただろうに、それでも貴女はやって来た。
(実際にそんな火急の事態はなく単にお節介を焼かれただけのようだが)
自分が貴女へ抱く想いと同じものを、貴女も持っていてくれている。
だからこそ大切に、優しく慈しむつもりだったのだけれど。
「ア、アルジュナ......?」
黙り込んだ自分を不思議に思ったのか、どこか心配げな表情で覗き込んでくる彼女を抱き寄せる。
胸の中で小さく悲鳴をあげる姿に思わず笑みが零れる。
あなたが自分から飛び込んできてしまったのだから。
「今度は俺の番だな、リツカ。」