できらぁっ!!!

できらぁっ!!!


捏造しかない

BLの気配がないBL(ネロルチルチネロ)


 グランドライン、とある長閑な島。

 その海岸に男が二人。一人は意識を失っているようで倒れており、もう一人はその前でだらりと冷や汗を流して頭を抱えていた。

「……なんで、今になって」

 額に手を当てた男は━━元CP9の新入りであったネロは、フラッシュバックしたトラウマに頭痛を覚えながらも意識を二年前に遡る。


 荒れた波風、異様な雰囲気で運行される海列車。それに乗り込んでいたネロは政府のエージェントとして、罪人の護送に加え敵を屠る役目を請け負っていた。

 そこで、ああ、思い出したくもない!ふざけた改造人間に敗北し、落ちた先で底冷えするような目をした男━━ロブ・ルッチに殺されかけたのである。血反吐を吐くほどの穴を背中に開けられ荒れた海に蹴り落とされたというのに五体満足で生きている現状は、奇跡と言っても過言ではない。あれで人生の幸運は全て使い果たしてしまったのではないかと思えてしまう程に。いや、別段今が不幸という訳では無いが。素性も知れぬ男を一員として迎え入れてくれたこの島の住民は正にネロの幸運の体現だろう。


 二年経っても、ネロの頭には鮮烈な恐怖が焼き付いて離れない。

 だって、あの粛清はあんまりにも理不尽だった。そりゃ指令を忘れて衝動のままに動いたのは確かにネロが悪かったかもしれないが、それだって味方を殺すなんて蛮行に至る結び付きはしないと思うのが普通じゃないか。海賊ならともかく、政府直轄に所属しているというのにあの横暴だ。思考が読めなくて、訳が分からなくて、恐ろしくて。この田舎の島に運良く流れ着き生き残れてから今までの間、ただの一時だって忘れることができなかった。


 けれど、もう二度と関わることはないと安心していたのだ。政府の暗躍機関CP9なんてものに所属しているトラウマと、今や小市民に身を置いたネロとの間には天と地ほどの距離があるのだと思っていたから。


 ……思っていたのだけれど。




 真っ白だったのだろう、けれど随分と汚れた記憶とは異なる服装。意識がないのに整った顔に力の入った顰め面。

 ネロの足元に倒れている男は間違いなく、幾度も記憶の中で反復せざるを得なかった痛手、ロブ・ルッチその人だった。


 殺してしまおうか、という考えが頭に過ぎる。今ここでこの諸悪の根源を始末してしまえば、背の痛みとなってネロを苛むトラウマに決着を付けることが出来るのだ。自衛用に持った拳銃は腰にある。それでなくとも四式使いであるネロには生身で人間を殺す術があるし、意識のない男の首など容易く手折ることも容易に出来る力がある。


 ネロは震える手をロブ・ルッチの首に乗せた。そのまま力を込めようとした途端、二年前に負った背中の傷が引き攣ったような気がして。じくじくと熱を持っている気がして舌打ちが漏れる。

「……クソ」

 今ここで殺してしまえば、ネロはもう二度とロブ・ルッチと関わることは金輪際ない。恐怖の対象がこの世から消えれば、きっとこの胸の痛みも少しは和らぐことだろう。頭では分かっているのに、ネロは酷く恐れている。この男が怖くて仕方がないのだ。たった一度きりの蹂躙は記憶の底から梃子でも動かない。今に目を覚ましネロを認識して、始末しきれていなかったかと冷酷に心臓を刺し貫いてくるのではないかと思うと恐ろしくて堪らなかった。


 そうやって、まごまごと停止しているうちに。

「あらあネロくん!どうしたねその人!」

「あっ、いや、その」

 背後から聞こえてきた声にびくつきながらも振り返れば、小さな老婆がネロの方に駆け寄ってきていた。この島の住人である。波打ち際に倒れたロブ・ルッチを認識して上げられる大声に、どうか起きてくれるなよとネロは神とかそこら辺に願った。

「おんやまあ、流れ着いた人かね!大変だ大変だ、うちに運ばにゃあ!」

「お、おれが運ぶっしょ!というかおれの家に!この人知り合いで!」

「はあ、知り合いもネロくんも漂流してきたたぁ奇縁じゃなあ……じゃあ頼もうかね!」

 お婆さんはネロの言葉を疑うことなく頷く。ネロは内心安堵の息を吐き、意識のない男を肩に担ごうとして。


「……しり、あい?」

 低く、冷たく、唸るような声に固まった。ぎぎ、と油の切れた機械のように先程まで気絶していた男を見れば、開かれたアイスブルーの瞳がネロを映していた。

「ひ」

 あ、死んだなこれ。 そう覚悟したネロとは裏腹に、ロブ・ルッチは動かない。茫然と、どこか戸惑った様子で、ネロのことを見つめて、口を開く。


「……お前は、誰だ?」


 ━━覚えられて、いない?つまりはネロなど有象無象の一つだと、覚える手間すら必要ないと?

 高かったプライドのへし折られた名残が疼く。ふつ、と訳の分からない怒りが立ちそうになったところで、またロブ・ルッチの口が開かれる。


「……いや、そもそも。おれは、だれだ?」

「へ」


 全く想定外の言葉に、再度ネロは固まった。

「知り合いなんだろう、そこのお前。おれは、なんだ?」

 その質問の意味を飲み込むのに時間がかかって、それからネロは思わず叫んだ。

「はあああああああ!?」




ここから始まる奇っ怪な同居生活ネロルチルチネロください!!!!!

殺されかけたってことはネロの脳が焼かれててもおかしくないよね ね?生きてるかどうかすら定かではないけど

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