ちょっとえっちなゲーム。 #才羽モモイ
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「えっと、ユウカ…?」
ゲームに熱中するユウカに、おずおずと声を掛ける。
もう何度目かの、ユウカを招いてのゲーム大会。
プレイするのは私たちの自作ゲームだったり、みんなで遊べるパーティーゲームだったり……だけど、何回も集まりを開いてれば流石にネタも尽きてくる。
なので今回は「たまには普段とは違うジャンルのゲームも遊んでみたい」っていうユウカの要望に応えて、ユズが資料としてストックしてた中から「ちょっとエッチなダンジョン探索RPG」って触れ込みのゲームをやってたんだけど……
『い、いやああ!? み、見ないで、触らないで、やめてよお! たすけてえぇぇ!!!!』
……実際にプレイしてみたら「ちょっとエッチ」なんてレベルじゃなくって。
まだ規制の緩かった昔のゲームには稀によくある、レーティング詐欺の類。
……男の子にとってはご褒美かもしれないけど、中身は私ですら赤面を通り越して眉を顰めちゃうような際どい描写だらけで。
モンスターのひしめく迷宮に迷い込んだ主人公の女の子が、数々の魔物やトラップに襲われて服や下着をひん剥かれ、エッチな酷い目に遭わされる……なんてゲーム。
流石に直接的な描写は無いけど、ゲームオーバーのたびに響く主人公の艶めかしい悲鳴は、否が応でも「そういうこと」を連想させて……
……正直、ゲーム選びを失敗したって、こんなのユウカを傷つけちゃうって、最初はそう思ってたんだ。
でも……
「ああ、やられた! でも、触手エンドのスチルは回収できたし怪我の功名かしら。
……というか改めて見るとこの子結構おっぱい大きいわね。それじゃ、気を取り直してリトライっと」
……私の心配とは裏腹に、ユウカは終始楽しそうにゲームを遊んでた。
途中に挟まるえっちなCGとかにもむしろ興味津々で。
ただ……それでも不安だった。
もしかしたら私たちに気を遣って、ゲームを楽しんでるフリをしてくれてるだけなのかも、って。
「えっと、その……ユウカ、ほんとに大丈夫? 辛かったりしない?」
「うーん、やっぱりレトロゲーは難しいわね。でも、こういう歯ごたえのあるゲームも嫌いじゃないかな」
「そ、そうじゃなくて! えっと……結構えっちなシーンとかもあるし…イヤな気持ちになったり、とか……しない? 無理、してない……?」
おずおずと問いかける。
……あの事件の前のユウカだったら「こ、こんな破廉恥なゲーム! 教育に悪いわよ!」なんて、ぷりぷり怒りそうなものだったけど──
「え? うーん、そうでもないかな。だってゲームはゲームだし。それに、これくらいの描写なら可愛いものじゃない?」
──そんな風に、きょとんとした顔で言うユウカを前にして。
私は……なんて言葉を返したらいいか分からなかった。
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