たまにはそんな夜もある
「どうしたんだウタ?いきなり一緒に寝たいって」
「…………」
「……言いたくないならいいぞ。無理には聞かねェから」
「……ううん、ごめん。言わなきゃ分かんないよね。
……夢、見ちゃったんだ」
「夢?」
「うん。 ……また人形にされる夢」
「!」
「ホントは前から偶に見てたんだ。人形にされて、喋れなくなって、忘れられて……
その度に飛び起きて、自分の手見て、隣にナミとロビンがいてくれるのを見て……普段はそれで何とか落ち着けるんだけど……
……今日はダメだった。シャンクスに……捨てられる夢見ちゃった」
「! 捨てられるってお前……」
「私だって覚えてるよ。ルフィに預けられる時も、シャンクスは精一杯私を気遣ってくれてたし、捨てられたなんて思ってないよ……
……でも……見ちゃったんだからしょうがないじゃん……!!」
「…………」
「箱の中にポイッと投げられてさ……どれだけ呼んでも出してくれなくて……
私のこと掴んでる時の顔が……私のことひとっつも見てなくて、怖くて……」フルフル
「…………」
「……ねえ、ルフィは……
ルフィは私のこと、捨てたりしないよね……?」
「…………」
「まだたくさん迷惑かけちゃうし、能力もまだちゃんと使えないから足引っ張っちゃうし……」
「そんなわけねェだろ」
「!」
「それ以上言ったらウタでも許さねェ。やめろ」
「……ごめん」
「……あのなァウタ。ちょっとぐらい迷惑かけるからってよ、今更おれ達がお前を捨てるような奴らに見えるか?」
「……見えない」
「だろ?心配すんな!
これからは何があっても、おれ達がお前を守り抜く!」
「!」
「前は守りきれないこともあったけど、仲間を守るためにおれは強くなったからな。
それにおれだけじゃない。おれの仲間はみんなつえーんだ、何からだって守ってやれる……
もしミンゴ達がまた狙ってきたとしても、そん時ゃまたぶっ飛ばしてやるよ!」
「……うん……」
「……だからもう泣かなくていい、心配しなくていいぞ。何かあったらおれ達を頼れ。
それにシャンクスだって絶対そんなことしねェ。もしするような奴だったら、シャンクスだってぶっ飛ばしてやる」
「うん……うん゛……!!」ギュウ
「…………」
「もう泣かねェな。女の部屋戻るか?」
「……ごめん。やっぱり、今日は……」
「仕方ねェなァ。いいぞ、寝るぞ」
「うん……ありがと、ルフィ」
────やがて2人の寝息といびきが聞こえ始めた頃。
「…………」
こういう時専用の二人部屋を作ってやるか……
偶然目が覚め、一部始終を聞いていた船大工は、そんなことを思案した。