ただ、あなたに首輪を握られたくて-2

ただ、あなたに首輪を握られたくて-2

C1-072 素ッ裸


 "すてないで"。

 私が最初に強く、何よりも強く抱いたその感情は、あっさりと踏み躙られ、嘲笑われた。ただ一人の肉親、唯一の親にとって私は都合のいい金稼ぎの道具であり、子への情なんてものはなかった。

 ただ、それだけの事。ただ、それだけの理由で私は使い捨てられ、終いには旧世代型と呼ばれる強化人間施術に押し売られて終わった。

 終わったと思った人生は、第二のご主人さま、第二の父親とも呼べるあの人に―――ハンドラー・ウォルターと呼ばれる最愛の人に拾われて、私は始まった。

 もう、今の私に残されているものは、621と呼ばれるこの名前以外に、何一つ要らない。ただそれだけだったのに。


「621……仕事は終わったようだな。」

 やめて。

「お前は自ら選び、俺達の背負った遺産を精算した。すまない、そして感謝しよう。」

 ちがう。ちがうの。

 私は、わたしは……選んで、なんかない。

 ただ、あなたに従う以外の道が、私には有り得ないだけ。

「621……お前を縛るものはもう何もない。」

 違う。違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!

 私は、あなたに縛られたかった!私は、もう……ひとりに、されたく、ないだけ……。

 縛られたい、あなたに手綱を、首輪を握られたい、あなたの猟犬であり続けたかっただけで。

 あなたのものに、なりたかっただけで、あなたのものが、欲しかっただけで。

「これからのお前の選択が……お前自身の可能性を広げることを祈る。」

 あなたのいないせかいなんて、なんのかのうせいも、ないのに。




 蕩けきった思考で、蕩かされ続ける。愛しいひと、愛しいご主人さまのおちんちんが、おまんこの奥までずっぷりと入り込んで、お腹を内側から押し上げて。外側から手でぐりぐり刺激しながらたっぷり腰を打ち付けてくる。

 普段の私に遠慮したような素振り一つ見せない、獣のような、強くて肉に飢えた狼のような、狩りをした獲物をたっぷりと虐め抜くような交尾。

 まるで、自分のモノだと主張して、堕としにかかるような、オンナを染め上げるようなケダモノの責め。

 頭が、くるくるぱーになる。さいしょっから、私はあなたに勝てるように出来てないんです。

「ッ♡♡ん゛ぁ゛、かひゅっ♡♡い゛ぎッ♡♡り゛ゃめ゛っ♡♡まら゛い゛ぐっ♡♡きもぢっ♡♡♡」

 堕ちる、堕ちたい、あなたのモノになりたい。あなたなしではいられないカラダにされたい、もうとっくに、私はだめなの。あなたがいない世界なんて、受け入れられないの。

 どちゅん、ばちゅんと激しく肉のぶつかる音が、私の深い所まで穿ってくる。いっぱい支配されて、征服されて、たっぷりとむしゃぶり尽くされている。

 どんどん、私のカラダがウォルターの、ご主人さまのカタチにされている。私のカラダ全部が、あなただけの雌穴になっていく。あなたの子種をちゅうちゅうと欲しがって、孕むまでいっぱい吸い付く欲しがりの甘えん坊。

 体力の限界なんて、もうとっくのとうに通り越してる。それを越えて尚、気絶して尚貪られて、何度も何度も目が覚めている。ちかちかと快楽が脳に点って、ぱっと散っていって、何処にも逃げられないよう何度でも何度でもがっしりと抑えつけられながら子宮に注ぎ込まれている。

 幸せでいっぱいで、こうやって、あなたのモノにされていると実感できて、何よりも嬉しくて。

 抜かれて、入れられて、トんで、オチて。はしたないおまんこがおちんちんを離したくない、って吸い付いて。ただ、モノのようにじゅぽじゅぽされて。

「ン゛ぁ゛ぁ、う゛ーーーッ♡♡う゛ぅ゛~~~っ、っ~~~!♡♡あ゛う゛ーッ♡♡わ゛ぅん゛ッ♡♡」

 がっちがちのおちんちんが、また一番奥まで押し付けられる。また、クるってわかる。それだけで全身が打ち震えるように悦びを覚えて、イって。射精されて、またイって。

 とまんない快楽の波が、たぷたぷと注ぎ込まれて、とっくのとうにいっぱいになったお腹がまたぽっこりと膨らむ。ご主人さまのモノだってわからされる、種付け。

「んぁ、う゛……は、っ……♡あ゛ぐ、ッ、ひぅ……んゃ……ぁ♡♡」

 言い知れないような多幸感を、何度味わっただろう。もう、どれだけ時間が経ったかもあやふやで、わからなくなって。

 ただ、今、ようやっと"おかわり"がなくなってしまった事に、底知れない寂しさを覚えていた。



 そうして、気がついたら私はくったりと脱力して、ウォルターの身体にしなだれかかっていた。本当に、何時の間にか対面の体位でシていたらしい。

 幸せで幸せで、どうしようもないぐらい幸せで……でも、今、挿入ったままのおちんちんが動かされていない事が、寂しくて苦しくて、切なくなっていた。

「ごひゅ、じん、しゃまぁ……♡」

「621。これでお前が誰のモノで、お前が何なのか理解したか。」

 さっきまでの、有無を言わさない剥き出しの雄は鳴りを潜めていた。未だにナカではおちんちんがその硬さをはっきりと主張してはいたが、本人は落ち着いたらしい。

 たっぷり、徹底的に、わからされてしまった。

「はいぃ……♡わたひは、うぉるたーせんようの……んっ♡めすいぬおまんこれしゅ……♡」

「そうだ、それでいい。」

 今日、初めて優しく頭を撫でてくれた。

 ……何よりも、何よりも。この世の何よりも落ち着く、やさしくてだいすきなご主人様の手だ。

 だから、だから、もう。

「……うっ、ひ、ひっく……ぐすっ。う、う゛ぅ゛……う゛あ゛ぁ゛ぁ゛~~~っ!」

 ぜん、ぶ、げんかい……。

「ろ、621……?どうした?……流石に、やりすぎたか?すまな―――」

「もう、や゛らぁっ!うぉるたーが、わたしのことおいていって、しんじゃうのもっ!ひとりに、されるのも……っ……!!」

 なみだ、とまらない。

「やだ、やだぁ……やだよぉ……。かーらも、ちゃてぃも、えあも……みんな、わたしからはなれて……しんで、やだ……。もう、なにも、がまんできないぃ……。」

 つらかった。

「おいて、かないで……。せめて、うぉるたーだけは……ごしゅじんさま、だけは……わたしの、くびわ……にぎりしめてよぉ……ぐずっ、ひぐっ……。」

 なにもかもが。

「あなたの、いないせかいなんて……いらない……いらないの……。あなたのためなら、なんだってする……なんだって、ころすから……なんでも、するから……。」

 あなたしか。

「すてないで……ひとりにしないで……おいて、いかないで……うぉる、たぁ……。」

 もう、ない。



 私はただ―――あなたにずっと、首輪を握られたかっただけなんです。

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