その祈りを背負うもの Side:ヤマト その1

その祈りを背負うもの Side:ヤマト その1



「鬼ヶ島」の屋上にて。百獣海賊団の頭領にして”四皇”の一人”百獣のカイドウ”とその子ヤマトが幾度となく激突を繰り返していた。

龍を思わせる姿のカイドウと、狼を思わせる姿のヤマト。”動物系幻獣種”の”悪魔の実”を食べた者同士、人を超越した身体能力を駆使する激闘は終始カイドウがヤマトを圧倒する形となっていた。


「ハァ…ハァ…」


偶然口にしてしまった”悪魔の実”。”イヌイヌの実”幻獣種モデル”大口真神”。

最初こそ海に出たいのにカナヅチになってしまったことを嘆いたが、今は感謝している。


「ワノ国」の守り神と呼ばれるこの実を食せたこと。まるで自分に「ワノ国を守れ」と告げられているかのようだった。

都合の良い妄想でも構わない。この実の力を宿したものとして、”守り神”としての役割を果たしてみせよう。


それにこの力がなければ、自分はここに至るまで父に手も足も出ないままだっただろう。

幾度となく戦いを挑み、その度に打ちのめされてきた。己の力をどれだけ練り上げ、鍛え抜こうとも父はそれを上回ってきた。


何たる剛体、何たる強靭。腕力も耐久力も瞬発力も、どれを取っても自分が父を上回っていると断言できるものは存在しない。

せめてその図体に見合う鈍重さがあれば、まだマシだったのだが……全く、自分の父は戦士として隙がなさすぎる強さをしているものだ。

心の中で悪態をつきながらヤマトはカイドウを睨みつける。


勝てないことなど百も承知。ずっと負け続けているのだ。今更何かの間違いが起きて自分一人でカイドウに勝てるなどという奇跡に期待はしない。

でもルフィなら。あの”新たな時代”を担う強者なら必ずカイドウに勝てる。


「っ!!」


今の自分のするべきことは「鬼ヶ島」から落下したルフィが戻ってくるまでの間、カイドウという最強の存在をこの場から動かさないことだ。


カイドウが動けば全てが終わる。今この「鬼ヶ島」でカイドウに勝てるものは存在しない。

皆、各々の為すべきことと倒さなければいけない敵と戦い続けている。カイドウを浮き駒にしてしまえばそれら全ては薙ぎ払われ、今度こそ希望は砕け散るだろう。


だからこれは決死の覚悟でやり遂げねばならない。

モモの助君がルフィを信じているように、自分もルフィを信じている。そして、自分がカイドウを食い止めると信じてくれたウタとの約束を守るためにも。


「”鳴鏑”!!!」


カイドウに向かってヤマトが両手で構えた金棒を振り抜くと同時に鋭い衝撃波が飛ぶ。

しかしその一撃をカイドウは片手で無造作に弾き飛ばす。


「!!!」


やはり、効かない。これまでの20年と何も変わらない。

強い。その一点のみで何もかもを踏み潰してきた”最強”がヤマトに迫りくる。


そんな絶望を前に立ち向かうヤマトを見遣り、カイドウは僅かに眉を顰める。


(痺れ…)


ヤマトの一撃を弾き飛ばした腕に残る僅かな感覚。何の傷にもならず、少しすれば収まる程度のもの。

だが、僅かとはいえ自分が揺らいだというのか?あのヤマトの攻撃で?



♪………い世……ただ……く 静……生き…… …も儘な……い



この期間に成長したということか。あるいはこの歌のせいか。

本人は自分との攻防に意識を割かれて歌に気付いていないようだが。


「面白れェ…」


我が子との戦いなど、どれだけ相手が強くなろうとも心躍るものではない。そいつが世迷言を並べ連ねてるのなら猶更だ。

だが、その成長が如実であるならば話は別。カイドウは知らず口元に笑みを浮かべる。


試してやろう。

一瞬でヤマトの視界から姿を消したカイドウは片手で金棒を振りかぶり、ヤマト目掛けて素早く振り抜いた。


「”金剛鏑”!!!」


ヤマトのソレよりも遙かに強く、鋭い一撃が放たれる。


「う…!!」


両手で強く握りしめた金棒で受け止めるヤマト。しかし耐えたのも一瞬、その力の前に弾き飛ばされ岩山へと盛大に叩きつけられる。ヤマトが叩きつけられた衝撃で周囲の岩が粉砕されていく。

自分が技を模倣した側とはいえ、ここまでの差があるのかとヤマトは己が立ち向かう敵の強大さに歯噛みする。


「ハァ…ハァ…!!」


地面に膝をつき、肩で息をするヤマト。まだ致命傷は受けていない。だが確実に追い詰められている。


勝てるとは思っていなかったけれど、いくら何でも強過ぎるんじゃないだろうか。

その強さで、この男はいつもいつも僕を上から抑え込んでいた。


「お前はいつも……!! ぼくを殺す気だった!!!


己の中に僅かに残っていた感情。「父は最初から自分を殺す気だった」ことに感じた絶望を吐き出すようにヤマトは叫ぶ。


正直に告白すれば、自分は父に甘えていたのだろう。あの男にも実の子に対する情はあるのだと期待していた。

手錠に爆弾が取り付けられていると言われた時、やりかねないと感じた以上にいくら何でもそこまでするはずがないと思ってしまった自分がいた。

いや、爆弾も言い訳だ。僕は”おでん”になると吠えていながら、”ヤマト”として父の愛情を無意識に信じていた。


鎖を外せたのだって半ば勢いだ。ルフィに出会えた高揚感、モモの助君たちが生きていた驚愕、20年待った決戦の日。

全てが僕の気持ちを昂らせ、ルフィの言うがまま外す選択肢を取った。あれを本当の意味で自分で決めたとは、正直なところ思わない。

エースの言った通りだ。結局のところ、「親子」という鎖に望むがまま縛られていたのは自分自身だった。


この決戦の日に備えるという意味も勿論あった。「ワノ国」と共に戦うためだ。無意味ではない。だが、きっと父はそんな自分の甘えを見切っていた。

だから僕が”おでん”であることを止めず反抗し続けようとも、己の子として扱い続けたのだろう。


自分が恥ずかしい。こんな中途半端なままでは”おでん”とは名乗れない。ならば、ここでその「縁(くさり)」を断ち切ろう。

ワノ国のため、この悪龍を打ち倒す一助となる。それに己の全てを掛ける。


「ああ…そうだ。親子ゲンカじゃねェ…おでんの名を背負うなら「戦争」を覚悟しろ」

「遊びじゃねェんだヤマト!!」


冷徹に言い放つカイドウ。ごっこ遊びならまだ見逃してやるつもりだった。だがヤマトは本気で”おでん”になろうとしている。それは百獣海賊団への明確な裏切りだ。


自分に反抗しようとも構わない。錠に爆弾を取り付け、ヤマトに関わったもの全てを殺してきた。そうして逃げ場など何処にもないと思い知らせ、この「鬼ヶ島」に縛り付けられているままなら所詮は子どもの遊びだと見逃してやった。


死ぬなら死ぬで構わない。”おでん”を名乗り続ける馬鹿者をいつまでも飼っておくつもりもない。だが幾度となく自分に挑み続けてなおここまで生き抜いたその力は有用だ。

いずれその夢見がちな心を砕き、自分の後継者に据える……「鬼ヶ島」に縛り付けられている以上、その未来は変わらないと思っていた。

所詮は”おでん”に憧れているだけの未熟者。いずれ現実を知り、折れると確信していた。


だというのに、今のヤマトは錠を外し己に向けて闘志を燃やしている。

もはやヤマトを縛り付けるものはカイドウとの親子の縁のみ。それを断ち切るとヤマトは豪語した。


ならばもういい。時間に任せればいずれ諦めて折れると踏んでいたが、ここまでの決心を抱いているのなら仕方ない。

この自由を掴もうとする愚か者の悉くを自らの手で叩き潰し、今度こそ完膚なきまでにその心を折る。


”カイドウの子”であるという「縁(くさり)」を断ち切れはしないのだと思い知らせてやろう。


「憧れは罪か!!? 僕はおでんが好きだ!!!」


最初に彼の話を聞いたのは父の部下たちの話を耳に挟んだ時だった。国民の前で裸踊りをして賃金を稼ぐワノ国の”バカ殿”だと笑われていた。

そんな人がある時、手下を連れて「鬼ヶ島」に討ち入りをしてきた。あの父に一生残るほどの傷を負わせたと聞いた時は信じられなかった。

討ち入りが失敗に終わり、彼が公開処刑される姿を見た。その姿は話に聞いていた”バカ殿”とは似ても似つかぬほど威風堂々とした姿だった。


自分の部下を背負い、一人灼熱の釜茹でに耐える彼の姿は言葉を無くすほどに壮絶だった。圧倒されていた僕を後目に、近くから女性の怒声が聞こえてきた。「おでん様はずっとこの国の民のために戦っていた」と。

どれだけ自分に泥を塗られても、どれだけ他人から罵倒されても、彼はずっと耐え忍んできた。今も地獄の責め苦から部下を守り続けている。

気付けば涙が溢れていた。”おでん”の生き様が自分の心に強く刻まれたのを感じ取った。


そして彼は殺された。守り抜いた部下たちに全てを託し、他ならぬ父の手によって燃える釜の中へと消えていった。


その姿を見て、何処までも人のために命を燃やし続けた彼に憧れた。同時に今のままの自分ではダメなのだという漠然とした不安にも襲われた。

変わらずにいれば、自分の身は安全だろう。何せカイドウの子だ。手を出そうとするのは余程のバカか無知無謀の輩程度だろう。

そうして安全に育てられ、成長して……そしてどうなる?


父のような存在になるのか?自分が?


おでんが処刑された日、多くの人が嘆き悲しんでいた。涙を流していた。

あんな苦しみを、自分が振り撒くようになる?この手で?

想像して、吐き気がした。


このまま変わろうとしなければ、順当に自分が父の後継者となる未来も見えた。

嫌だ。あんなことしたくない。あんなに凄かった人の想いを踏みにじるようなことなんてしたくない。

人を害する悪行より、”おでん”のように誰かのために戦える人になりたいと思った。


憧れと未来への恐怖が、己の夢に初めて形を与えた。

僕は”おでん”になりたいんだ。人の自由を奪うような輩には断じてなりたくない。


「なぜぼくの自由を奪う!? なぜワノ国の自由を奪う!?」


なんであんなものを見てこいつらは笑っていられるんだ。どいつもこいつも頭がおかしいんじゃないのか。

人が嘆いてる様の何が楽しい?人が悲しんでいる姿の何が可笑しいっていうんだ?


「なぜ人の自由を奪うんだ!!?」


人を支配してその自由を奪っておいて、なんで笑えるんだお前たちは。


「僕はお前の道具じゃないっ!!!」


力の限りヤマトは叫ぶ。奪われた自由を奪い返そうとするかのように。

振り被った金棒がカイドウに迫る。


「青二才が…!!」

「この世は一問一答じゃ動いちゃいねェんだよ!!!」


「!!?」


ヤマトの一撃は憤怒に顔を染めたカイドウによって弾かれた。そして体勢を崩したヤマトを間髪入れずに地面に叩きつける。


「すっかり自分は「ワノ国」の一員みてェな顔しやがって……!!」

「誰かに優しくされて舞い上がりでもしたか!!?」


カイドウは怒りを武器に乗せ、幾度もヤマトに振り下ろす。

ヤマトは必死に防ぎ続けるが、絶え間ない連撃が肉体を痛めつける。


「グッ…!!」


「お前が勝手に何を背負おうとも、ここに来た侍達の誰がお前を同志だと思ってる!!?」


所詮はヤマトの独りよがりだとカイドウは現実を突きつける。


お前は一人で戦っている。仲間などいない。誰もお前のことなど知らない。

散々ワノ国を苦しめてきた海賊の子どもが、今更この国のために戦ったところでどうにもなりはしない。


「あの時の侍達も然り…!! お前に良くした奴らはみんな死んだ!!」


ヤマトが”覇王色”の片鱗を見せ「鬼ヶ島」で大暴れした時、その反抗心を挫くために当時岩屋に収監していた三人の侍達の下へ幽閉した。一人分の食事と複数の刀を投げ込み殺し合いを誘発させ、更に己の子ヤマトへ憎悪を向けるように仕組んだ。


ヤマトが生き残るならばそれも良し。”覇王色”の素質を持つ者は稀有だ。将来有望な戦力となり得る。

あの侍達のいずれかが生き残るのも良し。仲間を斬り捨てた修羅ならば、既に心は折れている。

全滅したならば仕方ない。所詮はそこまでの存在だったということだ。


どう転んでも、カイドウにとって利のある結果になるはずだった。

だというのに、結果は誰一人死ぬことなく岩屋から出てきた。


あろうことか、侍達は衰弱したヤマトを逃がすために囮となって大暴れをした。その後処刑はされたが、奴らが命を捨ててまで生かそうとしたヤマトはこうしてここに立っている。

岩屋の中で何があったのかは知らない。幼いヤマトに同情でもしたか。奴らは何も語らず逝った。


あの侍達がヤマトの心に信念を埋め込んだのならば、それを叩き折ることにした。ヤマトに関わるものは全て殺す。”おでん”を名乗り、自分に反抗するものは例え我が子であっても容赦はしない。

お前の味方など、この世界の何処にも存在しないのだと教え込んでやった。



――鬼姫様、食べ物と…毛布です

――おい、何で急に処刑されてんだあいつ!!



「……!! お前が殺したんだろうがっ!!!


カイドウの発言にヤマトは激昂する。


自分を哀れんでいた人も、慈しんでくれた人も、信じてくれた人も、目の前の男に殺された。

僕に優しくしてくれた。たったそれだけの理由で、みんなみんな殺された。

あの人たちを殺した男が、訳知り顔で何の御託を並べているというのか。


「ああそうだ!! てめェは何処まで行っても一人なんだよ!!!」


しかしそんな怒りすら圧し潰すようにカイドウの攻撃は激しさを増していく。

ヤマトに反撃の暇さえ与えないと言わんばかりの乱打が叫びと共に叩きつけられていく。



――やったぞー!!! カイドウは10歳にして…最強の兵士だ!!



「友情は上っ面!! みんながお前を恐れる!!!」



――徴兵だ。お前は海兵になれ。我が国ではお前を持て余している

――何でおれが政府の”いぬ”に!?



信ずるに足る情など交わせるはずがない。いつだってそうだ。

こうしてたった一人でおれと戦えるお前を最初は持て囃そうが、最後には恐れ拒絶されるのが関の山だ。


「人は力で支配しろ!! お前は鬼の子だ!!!」



――「天竜人」って奴らになぜみんな従うんだ……!?

――やめとけカイドウ!!



「人間と仲良くはなれねェ!!! 誰もお前を受け入れねェ!!!」



――カイドウを引き渡せば、この国には次回より「世界会議」への参加権を……

――おれを政治に使うんじゃねェよ!!!



「お前が誰かの為に戦おうが、絶対に!!!」


必ず最後は一人で惨めに生きていく。”強さ”とはそういうものだ。

人に夢など見るな。誰かのために戦うなどバカらしい。どうせお前の手に入らないものだ。


「それがお前の運命だヤマト!!!」


変えられない現実を叫びと共にヤマトに叩きつける。その衝撃にヤマトの全身が悲鳴を上げる。


「違う!!!」


だというのに、まだ折れない。そんな運命など知らぬとヤマトは吠える。


「僕にだって友達くらいいる……いたよ!!」


脳裏に描くのは今は亡き友エース。自分との約束を果たさずに消えていった友の顔にジワリと涙が浮かぶ。


「それに……」


続けて思い描くのは過去ではなく現在。エースが教えてくれたあの子たち。



――頑張ってヤマト!! ルフィが戻ってくるまで…

――私があなたのために歌う!!!



ごめんよウタ。君の歌、聴く余裕なんてなかったよ。後で謝らなきゃ。

大丈夫。約束は絶対に守るから。この命の限り、ルフィが戻ってくる時間を稼いでみせる。

それと、これは僕が勝手にそう思ってるだけなんだけどさ。


エースに話を聞いた時から、ずっと君たちに会いたかったんだ。

そんなに凄い子たちなら、僕の友達になってくれるかもしれないって正直期待してた。

なってくれるかな。なってくれたら嬉しいな。


「これから作る!!!」


困った。言っておいてなんだが、ちゃんと反論できたか自分でも怪しいと感じてしまった。

でも大丈夫、ウタたちならきっと僕だって受け入れてくれる……エースの弟妹(きょうだい)だし、多分。


「僕の名前は”光月おでん”……!!」

「ワノ国の、世界の”夜明け”を告げる希望を守る……」


辿り着きたい未来のために、ここで負けるわけにはいかない。僕は”光月おでん”なのだから。


「その為に、この命の全てを掛けるものだ!!!」


「そのおでんも死んだ!!」


ヤマトの喉が張り裂けんばかりの叫びを掻き消すかのようにカイドウが吠える。


「おれたち百獣海賊団と黒炭のクズどもの謀略によってな!!」

「強くもねェ、権力だけ持ってるような弱者が強者を貪る……くだらねェ世界だ!!」


あれほどの強者であっても、呆気なく死ぬ。己の身体と心に大きな傷を残したまま、奴は笑いながら逝った。

自分に確かな”死”を予感させた男。他人のために自分が泥を被ることも厭わなかった甘すぎる”バカ殿”。


奴の魂を感じた赤鞘たちの渾身の一刀も、あの時受けた一撃には遠く及ばなかった。

失望した。”おでん”の意志を継いだ者でも所詮はこの程度なのかと。


どれだけ強くても、どれだけ己を貫こうとも、ただただ利用され無残に散っていく。奴が残したものは全て無様な残骸に成り果てる。

世界って奴は、余りにも理不尽すぎやしないか?


「だからこその”弱肉強食”!! だからこその”暴力の時代”!!」

「「戦争」こそが「平等」と「自由」だ!!!」


逃れられはしない。強い奴が勝利してその意志を貫き通し、弱い奴は敗北して何も残せない。

そんな真理こそが、自分たちの根底なのだ。そこでしか生きられないのがおれ達だ。


手に持った金棒を大きく振りかぶり、振り下ろされる渾身の一撃と共にカイドウは叫ぶ。


「お前も所詮はおれの子だ!!! ヤマトォ!!!」


「っ!! それを…」


本当にああ言えばこう言う。頑固すぎて頭が石でできてるんじゃないかと思うくらいだ。

いや、実際に石より硬いのだから質が悪い。こんな親に死んでも負けるものか。


「断ち切りにきたって、言ってるだろうがクソオヤジ!!!


僕は絶対にお前みたいな奴にはならない。僕は海に出て、自由になるんだ。

カイドウの一撃を受け止めたヤマトが力の限り叫ぶ。


「この国から…出ていけ!!!」


その気迫が通じたのか。カイドウの金棒を遂にヤマトは弾き返した。


「……!!!」


「”雷鳴……”」


弾き返した勢いのまま、ヤマトは必殺の構えを取る。カイドウは体勢を崩し防御も回避も間に合わない。

無防備になったカイドウを見据え、裂帛の気合と共に武器を振り絞る。


「”八卦ェ”!!!」


迅雷の一撃が轟音と共にカイドウの肉体に直撃した。



Report Page