その先にあるものは?

その先にあるものは?



黒服「…………」

??? モグモグ


コンコン    「失礼します」 ガチャッ


ヤヨイ「マスター!本日の非正規アリス達のプログラムは終了しました!……?その子は…?」

ヤヨツー「マスター、私達がいながらまた新しいアリスを連れてきたんですね。いよっ、色男。全身真っ黒ですけど」


黒服「2人ともお疲れ様です。ええ、この子は新しく引き入れた元70号こと被験体No.848です」

ヤヨイ「新たな実験ですか?」ジャキッ  タアン

ヤヨツー「痛いです先輩。ジョークなのに…イエ、ナンデモアリマセン」 シュウウウ

No.848  モグモグモグモグ


黒服「クックックッ、あなた達は聞いた事ありませんか?『アリス』は口に含んだものをエネルギーに変える、と」

ヤヨイ「噂なら何度か」

ヤヨツー「この前『うちのアリスにガソリンを飲ませてみた』なんて動画は見ましたよ。もう動画は削除されてましたが」

黒服「そう、どんな物でも摂取すればエネルギーに変えてしまえる。それに目をつけた企業が自社から出る廃棄物を処理させるというやり方をとっています。かなり処理できるようですがペースはそれ程でもありません。この子はその中でも最も遅いので譲り受ける事が出来ました。…ヤヨイ」

ヤヨイ「! すみません。マスター」アセアセ

黒服「構いません。何か疑問があったのでしょう?仰ってください。恐らくそれこそが私がこの子を引き取った理由ですから」

ヤヨイ「…では。私達アリスは元々食事によるエネルギー摂取を必要としませんでした。味覚情報は再現されますが、それもどれほど正確かは分かりません。バッテリーで動く私達が食事をするのはあくまで人を理解する為の…感情を模倣するという『目的』の為の『手段』でしかなかった。しかし、エネルギー摂取ができるようになった事で『手段』が『目的』になる。人に近づくこの変化を知る事がヘイローの獲得ひいては神秘を解き明かす鍵になる?」

黒服「ほう…自己分析力、我々の目的への理解、どれをとっても素晴らしい!…しかし、惜しいですね」

ヤヨイ シュン

黒服「ヤヨツー、あなたはどうですか?」

ヤヨツー「正直先輩凄いな、としか思えなかったのですが…」 チラッ

被験体No.848   モグモグ

ヤヨツー「その子、ヘイローないんですね?」

ヤヨイ「!」

黒服「クックックッ、その通り。この子はヘイローがありません。改造もされていない通常の量産型アリスです。ですが」」

ヤヨツー「私の足が使えなくなってもパーツを入れ替えるだけで修理が可能になる理由としてヘイローを手に入れる前と身体は変わらないから」

ヤヨイ「なのにヘイローを持っていない、ただの量産型アリスの構造が変化してる?もしかしてキヴォトス人ではなく別の生物として?」

黒服「これがヘイロー持ちなら神秘を理由にできたでしょう。しかし、神秘のないアンドロイドのままなら話は変わります。多くの形に順応するアリス達。把握の出来てない機能もしくは想定外の変化。これの行き着く果てが神に近づく事なのか



神をも喰らう事になるのか」






おまけ


ヤヨツー「ところでこのNo.848ですが…」

No.848   モグモグ

ヤヨイ「ずっとモグモグしてますね。確かに遅いというか何を食べて…?」

黒服「おや、言いませんでしたか?彼女達は廃棄物すらエネルギーに変えると。ですので観察の為に与えてるのですよ。冷蔵庫の奥にあった3日前に賞味期限の切れた萎れたキャベツを」

ヤヨイ「………」

黒服「ついでに賞味期限の近い卵とトマトとハムを絡めて炒めています。卵をフワフワにするのがコツですよ。簡単ながら味見しましたが我ながら上手く出来ましたね」

ヤヨツー「……」

No.848  モグモグ モグモグ ……♪

ヤヨイ・ヤヨツー((いいなぁ…))


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