ご機嫌と「フキゲン」

ご機嫌と「フキゲン」

こんなのでよろしければ………。視点はコンちゃん視点です。

 最近、エピさんのご機嫌がすこぶる良い。前まで、エピさんが可愛がっていたエフ君やらタクトやらが、「早熟の天才」「消えた天才」と言われていて、その様子に胸を痛めていたのが嘘のようだ。

エピさんがご機嫌なのはいい。僕だって、エピさんが悲しそうな顔しているより、喜んでいる方がいい。それは、そうなのだが。

「エピ先輩。私、勝ったよ」

「せんぱーい!勝ったからほめてー!」

先日、同日に行われたG2日経新春杯とG3京成杯の勝者である後輩二人がエピさんに頭をなでてもらおうとエピさんに近づいてきている。いや、いい。エピさんだって、可愛がっている後輩が勝ったんだから頭をなでるぐらいのことはする。

ただ、問題なのは、僕がエピさんの後にいるのにねだっている事なのだが。

「よしよーし。よく頑張ったエピ!エピの自慢の後輩たちエピ!」

わしゃわしゃ、と後輩二人の頭をなでるエピさん。受けた後輩たちは一人はハニカミ笑顔をむけ、一人は今にでも抱き着きそうな勢いの笑顔を向ける。タイキ先輩にそっくりである。放置してたら抱き着きかねない。

僕はそれが面白くない。思わず、エピさんの背中を押すのである。

「おわっ!?コンちゃん!?ぶつかっちゃうからおさないで!?」

「ほら、今日は買い物に行くんでしょ?店が閉まっちゃいますよ」

「「ええー」」

「ええー、じゃない。エピさんは忙しいの」

ぐいぐい、とエピさんの背中を押して進ませる僕。エピさんが、頭をなでるのは僕だけいい、なんて幼い嫉妬心を後輩たちに向けているのだから、随分と大人げないのはわかっている。

「じゃあ、エピ先輩。私たちがG1取ったら、もっといいご褒美ください」

「そしたらもっと頑張れる気がする!」

「そ、そうエピね。かんがえてお…」

「…………」

「こ、これはまた今度にしておくエピ。じゃあね!」

ぐいぐい押されて、後輩二人から離れていくエピさんをしぶしぶ見送る後輩二人。なんか僕に対して、舌を見せてるような気がするがここは我慢である。

後輩二人から、離れたところでエピさんが口を開く。

「あ、あの。コンちゃん…?」

「なんですか?」

「コンちゃん不機嫌になってない?」

「そうですか?僕はいつもこんなですよ?」

「不機嫌だよぉ!?ごめんね、機嫌直してよ。僕コンちゃんに嫌われたらどうしたらいいか…」

「………はぁ………。そうですね、じゃあ」

僕は背中を押すのをやめ、エピさんを僕の方に向かせる。エピさんの手を自分の頭の上に乗せ、なでろと催促をした。

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