この、魔性の女ァ!!

この、魔性の女ァ!!


馬に転生したわけだが俺の血筋はゴミ!らしい。

なら見返したるわボケナスゥ!と周りのヤツらをボコボコのボコにしていたら…、


『『『『ホントおもしれー女』』』』

『ヒェ…』


こんなの乙女ゲーもビックリだよ!

俺の適正がチートだったばっかりに!!

短距離の麒麟児、マイルの怪物、王道を往く者、ダートの雷帝!

その四頭が俺のことを狙ってるゥ!

会うたびにおっきしながら俺のこと口説いてくるのォ!

怖いよォ!だから脚質が逃げになっちゃったよ!!!!


『お久しぶりです!…今日こそボクのことを選びますよね?』

『アッ、お帰りください』


『…キミが一緒なら、楽しいと思う』

『その気持ちは嬉しいよ』


『やっぱりお前と走るのが一番楽しい!お前もそうだよな?なァ?』

『…は、はひ。そうれすぅ……!』


『俺の伴侶になることを許そう。光栄に思え』

『はっ倒すぞクソ野郎』


なーんで!?

俺そこまで変なことしてないよなぁ!?

フツーに走ってフツーに負かしただけじゃん????

こっわいんだよお前らさァ!

周りに助け求めてもサッ、て視線逸らされるし!

助けて、助けてぇ…!


『こ、怖いよォ…』


だがそうは言っても牝馬限定戦には戻れない俺なんだよなぁ。

…人間時代が男なもんだから牝馬見たら興奮しちまうんだ。

興奮しちまってボロ負けしちゃうんだ。

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜……っ!!


『もうやだぁ〜……!』


​───────


その日、彼女に目を奪われた。

スっ、と遠く遠く走り抜けていく姿に目を焦がされて。

捕まえたいと思った。

捕まえて、一生大事にしてやりたいと思った。

つれないところも愛おしいと思う。

いつか、いつか自分だけを見させてやる…!と思っていたのだが、


((((……バチッ!))))

『…まさかこんなにライバルがいるとはねぇ?』

『『『それはこっちのセリフだが?』』』


走ることを引退したあとに引き合うようにして出会った彼ら。

…本当に彼女は『魔性』だなと苦笑するも、自分以外も同じような顔をしているのにイラッと来る。


『『『『アイツ/あの娘に相応しいのは俺/ボク/僕/私だ!』』』』


ぐぬぬぬぬ…と睨み合う。

だがそうしていてもどうにもならない。

ならば彼女に決めてもらおう!と満場一致したのだが、


『カワイイネ、ホントニカワイイ…』

『あ、あぁ、ありがとう…?』


彼女はまた新しい男を引っ掛けていて…。


***


俺:

元ヒトミミ♂現牝馬。

適正がチート過ぎていろいろ荒らし回っていた。

ヒトミミ時代♂であったせいで牝馬を見ると興奮してしまい、そのたびにめちゃくちゃな負け方をするため古馬になってからは生涯牡牝混合にぶち込まれつづけた。

なお走るたびに『おもしれー女』されるせいで実質乙女ゲー状態に。

安息を求めて海外に遠征しても現地馬に『おもしれー女』された。泣いた。


牡馬s:

俺に『おもしれー女』してるヤツら。

合法ショタしてる短距離の麒麟児、ド天然なマイルの怪物、主人公気質に見えてサイコな王道を往く者、偉そうだが実はツンデレなダートの雷帝。

恋敵が多い、恋敵が多い…!

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