この後、仲良く医務室行きとなった
※全員カルデアにいる謎時空
※キャラがおかしいかも
※キャットとマシュが友情出演です
※キャットのエミュは捨てた
「料理、それ即ち戦場なり!酒池肉林、血みどろの果てに愛を込め、愛しの殿方へHERE YOU ARE!さあ溶かすのだ!縁側でくつろぐキャットを暖める日差しのように、愛で溶かすのだワン!!」
「ああ、先生!」
厨房から聞こえる意味不明な言葉。声からしてタマモキャットだろう。そして元気よく返事をするのはオレのマスターであるデイビット。
・・・意味が分からん。どういった組み合わせだ。てか先生ってなんだ。
そんなに気になるなら見に行けば良いだろうと思うが、それが出来ない理由が目の前にある。
厨房の入り口を陣取るのは完全武装のマシュ・キリエライト。オレを厨房に入れまいと盾を構えている。
朝起きたら部屋から姿を消していたデイビットを探し、此処に辿り着いてからずっとこの調子だ。
「・・・流石に不愉快だ。オレはマスターの側にいようとしているだけなんだが、何故それを邪魔する。」
「すみません、テスカトリポカさん!ですが、デイビットさんに頼まれた事なので引き下がるわけにはいきません!」
先程から同じようなやり取りを何度も繰り返している。いい加減うんざりだ。
最近デイビットの様子がおかしかったのはこれが原因か。此処の所どうもよそよそしかったし、オレに隠れて何かしているようだった。
オレに対する隠し事。オレを放置して他のサーヴァントと二人きりで行動。
・・・少し仕置きが必要なようだな。
「どけ、盾の戦士。これ以上邪魔するなら怪我では済まないぞ。」
「っ!」
オレの精神に呼応し、周囲が煙で満ちていく。相手も盾を構える。まさに一触即発、という瞬間ー
「テスカトリポカ!」
嬉しそうなデイビットの声が響いた。
「やはり此処に来ていたか。すまないなマシュ、予測していた事とはいえ、迷惑をかけた。」
「いいえ、お構いなく。それより・・・」
「あぁ、完成した。先生のおかげだ。」
「おい、デイビット。一体どういうことだ。オレに隠し事とはお前、随分なクソ度胸だな。」
「・・・丁度いい。ここで渡すとするか。」
そう言ってデイビットはオレに小箱を渡してきた。
「ハッピーバレンタインだ、テスカトリポカ。」
「・・・・・・は?」
思考停止。バレンタインという行事自体は知っている。確かー
「今日は大事な人にチョコを渡す日だと聞いた。だから、受け取ってほしい。」
「可愛いすぎんだろお前・・・」
溜息をつきながらデイビットの頭を掻き混ぜる。わっ、とデイビットは驚きながらも嬉しそうに頬を染める。オレのマスターマジで可愛い。
「開けてもいいか?」
「!ああ、是非食べてくれ。」
さあ一体どんなものが入っているのやら、マシュも興味津々といった風に覗いてくる。
「「え゛っ・・・・・・・・・・・・」」
そこにあったのは到底チョコとは言えないものだった。形は普通なのだが、色がおかしい。この世の色を全てマーブル状に混ぜたかのような、食べ物とは思えない色をしていた。
オレ達は二人揃ってタマモキャットの方を見た。おいどうなってんだ監督、何があったらこんな惨状になるんだ、といった具合で。
「わかんねぇんですキャットにも・・・途中までは上手くいってたのに・・・冷蔵庫から出したらこうなってたんだワン・・・あの冷蔵庫は亜空間にでも繋がってたんですかワン!?うぅ〜料理出来ないタマモはキャットに非ず!!ご主人〜〜!!」
「きゃ、キャットさーん?!!」
泣き言を吐いて駆け出していくタマモキャット。だが正直そっちはどうでもいい。問題はこのブツだ。
「・・・デイビット、これは何だ?」
「?何ってチョコだが。作る際に俺の魔力も込めておいたぞ。」
どこか得意気に話すデイビット。成る程、チョコとコズミックパワーが超反応を起こしてこうなったのか。
正直に言うとこれを食べる気は起きない。だが捨てるという選択肢は欠片も存在しない。後でどうにかしよう。
「・・・ありがとなデイビット。後で食べ」
「今食べてくれないのか・・・?」
「いただきます。」
グッバイ、オレの内臓。だがあんな悲しそうな顔をされたら食べないと言う選択肢は取れない。
意を決して口に放り込む。
・・・うん、想像以上だ。一応チョコの味はするのだが、その後にどっと押し寄せる苦味、渋味、酸味、辛味の四重奏。そしてオマケと言わんばかりに炸裂する強烈な刺激、謎のバチバチ感。電流でも走ってんのか?
正直今すぐ吐き出したいが何とか堪える。デイビットの悲しむ顔は見たくないの一心で何とか飲み込む。
「・・・・・・美味かった。オレのためにありがとな、デイビット。」
「!そうか、良かった。始めてだったらから少し不安だったんだ。」
「よ、喜んでもらえて良かったですね、デイビットさん!」
「あぁ、マシュも相談に乗ってくれてありがとう。これはお礼だ。試作品だから少し形は不出来だが・・・」
そう言ってマシュに小袋を渡すデイビット。
先生にも渡してくる、と言ってデイビットは駆け出したが、マシュは受け取った体勢のまま硬直している。
「・・・無理しない方がいいぞ嬢ちゃん。」
「・・・・・・・・・頑張ります・・・」
「・・・・・・・・・そうか・・・お゛ぇ」