この後めちゃくちゃせっ◯◯◯された
晴信は部屋を見渡してため息をついた。
穴の開いた壁。凹んだ床。散乱した服。
そして、ボロボロのサーヴァントが二人。
冷静になってみれば酷い有様である。
「………どうすりゃいいんだろうな、これ」
「それを私に聞きます?」
「駄目元だ駄目元」
景虎に解決策を求めたというより独り言に近い呟きだ。穴を塞ぐ技術も、敷布を元通りにする方法も、晴信達は持ち合わせていない。残された手段は一つだけ。
「よし、二人で謝りに行くか」
「えー、元はと言えば悪いのは晴信じゃないですか」
「えー、じゃない。お前も俺のことを散々投げ飛ばしただろう」
床の凹みは投げ飛ばされた晴信がぶつかった時のもの。壁の穴は景虎の蹴りがかすった時のもの。ダヴィンチ謹製の寝具は兎も角、床と壁は英霊同士の喧嘩に耐えられる強度を有していなかった。
「閨事の最中に変なこと言い出す晴信がいけないんですよ」
「そんな理由で俺の肋は折れたのか…」
本当に、どうしようもない、越後の龍だ。
頑丈で景虎の奇襲に慣れている晴信以外だったらどうなっていたことやら。
「ええと、先ずはダヴィンチの所へ「晴信が一人で行って、一人でお説教されればいいと思います。私は穴開きのままでも構いませんよ?」
景虎はどうにかしてお説教から逃げたいらしい。
相変わらず変な奴だなァ、と晴信は思った。
普通なら壁に穴の開いた部屋なんて使いたくないのに。
────そもそも今の自分達がお叱りから逃れる術は無いのだ。
「まあ医務室へ行ったらどの道お説教だがな」
「ハァ?医務室へ行くなんて聞いてませんが!?」
「駄々を捏ねるな。俺もお前も、このままだと戦闘に支障が出る」
晴信の腕はぶらぶらで、景虎は足を引き摺っている。動けなくはないが不快感と違和感が物凄い。
「それはちょっと困りますね……川中島もできないし………」
「なら大人しくついて来い」
「晴信が運んでくれるのなら、行きます」
「………………ああもう!」
幸か不幸か右腕は無事である。
景虎一人小脇に抱えられぬ程ヤワな鍛え方をしているつもりはない。
ひょい、と抱え上げると何がおかしいのか景虎がけらけらと笑う。
「あはは!まるで米俵になった気分です!」
「うるさい喋るな舌噛むぞ」