ここから何も始まらない物語
きおきお此処は男の欲望が詰まりに詰まったキャバクラ、ラブ・パンドラ。
しかど常にネオン輝く場所は無く、此処も今は欲望集う男衆の夢とは言えない。
その様な場の事務室に二人の姿有り、名はそれぞれライティーヌとレフティーナ、ラブ・パンドラが営業中の間は案内役を務めている。
「ダブルチェック…問題無いな、これであとはオーナーに渡せばいいだろう」
「うあ゛ぁぁぁぁぁ〜〜〜〜お゛わ゛っ゛だ〜〜あいあむたいら〜どぉ〜〜」
数刻の間少しの応答とタイピング音のみが鳴っていたこの事務室だが、レフティーナの言葉を聞きライティーヌが喧しく喚き出した。
「あーもー!!いつも何て事してるんだよだよゴルゴーネー!!君が指名されるといっつも会計が呑んだくれた僕レベルで面倒になるじゃないかー!!」
「驚いたな。お前はてっきり酒の事について自覚してないと思ったが」
「ひっどぉーい!!!僕の事なんだと思ってんのさー!」
そう抗議するライティーヌを適当にあしらい、そういえばとレフティーナは口を開く。
「ライティーヌ、お前は会計の仕事がが終わったらやりたい事があると言っていたな」
「あ、あー?あ!うんうんそういえばそうだよ僕!!すっかり忘れてた!レフティ言ってくれてありがとねん」
「礼には及ばない。で、何がしたいんだ」
そうレフティーナが問えば、ライティーヌは芝居がかった口調で話し始めた。
「皆さまご存知の通り此処は男の欲望全部叶えるでお馴染みの──「そんな馴染みは私の知る限り聞いた事は無いし、今此処には私一人しか居ないはずだが」──今そう言う話じゃないから!…えー、ごほん。と言う事で此処には見た目も性格も多種多様な嬢が揃うこのラブ・パンドラですが、この度ワタクシどぉーーーーしてもがありまして、この事を知るまでワタクシは夜も眠れなくなると言う事がありましてねぇ〜」
「御宅はいい、簡潔に話せ」
「これ以上やるとせっかちさんの火山が大爆発しそうなので……このワタクシ!此処にいる嬢たちの性感帯が知りたいのです!!」
「聞いた私が馬鹿だった」
「待ってレフティ出て行こうとしないで!!どうか御慈悲を!!」
ライティーヌは足早に事務室から出ていこうとするレフティーナの足元に縋り付く。そうしてしばらく喚き、このままでは埒が開かないと会計の書類を持って出て行こうとしたその時。
「随分面白い話をしていた様ね、ライティーヌ」
そこには彼女達が働くこのラブ・パンドラのオーナーであるマダム・セントレアが佇んでいた。それにライティーヌは渡りに船と言った様子でセントレアに先程の事を話し始める。
「あ!オーナーじゃないですか!!聞いてくださいよぉ大将、今レフティーナに一緒に穣様達の性感帯を一緒に調べようって話していた──もごぉごぉ!!!ういうああないえ!!」
「大変申し訳ございませんオーナー。この馬鹿のせいで書類の提出が遅れた上、あまつさえこの様な不快な事を聞かせてしまいました」
「別にいいのよ、レフティーナ。この程度遅れとは言わないわ。それに──ライティーヌ、今の話気に入ったわ、嬢達の性感帯調べてみなさい」
それを聞いたライティーヌは、さぞ嬉しかったのだろう。これ以上ない程目を輝かせ、子供の様にはしゃぎ始めた。
「──って事は、いぇーーーーーーい!!やった!やった!僕ずっと気になってたんだよこれーーー!!」
「いいのですか、オーナー。この様な事を許可して」
「別に減る物でもないわ、レフティーナ。」
「でも──「ちなみに私は耳と脇よ」──え、そうなのですか」
「わーーーい!しょっぱなから激レア情報ゲット!!ね、こうなったら一緒に調べよーよ、レ〜フティ」
レフティーヌは少しの間苦い顔をした後、
「わかりました、もうここまできたからにはやりましょう。」
と若干ヤケになった顔で頷いた。
燃え尽きた