くもりのちはれ
「………」
最近どうにも2人きりになれる時間が減った気がする。それはまぁ必然というか当たり前の話で……簡単に言うとわたし以外にもマスターさんのことが好きな人がいるというだけの話なのだ。とはいえ、たまには彼のことを独り占めしたくなる時がある…それが今日だ
「初めてはわたしなのに…」
そんな暗い感情がわたしに影を落とす。別にみんなのことが嫌いになったわけでは全くない。むしろ大好きだから何も問題はない。ないはずなのだけれど……どうしても自分が一番最初にマスターさんと付き合い始めた、という事実が頭の中にチラついてしまう
「………やだよ」
思わず最悪の事態を想定してしまう。それは今のわたしにとって死と同じぐらい辛いもので……こうなってしまうともう止められない。ひたすら悪いことばかり考えてしまう
「………」
「ただいまー……あれ?イリヤ以外はお出かけ中か」
「マスター……さん」
そんな状況など知る由もなく、いつものようにここへと帰ってきたマスターさん。その顔を見た途端、様々な感情が溢れ出しては消えていく。そうして黙り込んでしまったわたしの方を心配そうに覗き込んでくる
「イリヤ?顔色悪いよ。もし体調が悪いなら…」
こちらに気を遣って話しかけてきてくれてるのに何も言葉が出ない。このままだと全部がダメになってしまう。けれど考えても考えても何も浮かばず、ついに…
「……ふえ…」
「えっ、イリヤ!?」
思わず泣いてしまったのだった…
〜〜〜〜〜
「……グスッ…」
「落ち着いた…?」
「………うん」
あの後、泣きながら自分の想いを包み隠さず打ち明けた。そんな負の想いも入り混じった言葉もマスターさんはただじっと聞いてくれた…
「そっかー…イリヤには我慢させちゃってたんだね」
「そ、そんなことないよ!これはただのわたしのわがままだし…」
「イリヤは良い子過ぎるからもっと甘えてもいいんだよ?」
「…それはすごく嬉しいけどまたわたしのこと子供扱いしてない?」
「うっ、それは…」
そんなちょっぴり意地悪な答えに対して慌てふためくわたしの愛しい人。そんな自然体な彼を見ている内に、わたしの中の暗い思いはどこかに消えてしまった
「えへへっ、マスターさんっ♡」
「!?」
「ん……ちゅ…♡」
まるで先ほどまでの感情を塗りつぶすかのように唇を重ね合わせる。こうやって自分から積極的に求めていくのも案外悪くないかもしれない…
「……ぷはっ………あはっ、マスターさん顔真っ赤だよ?」
「いや、その…普段のイリヤよりも情熱的だったからというか…」
「照れてるマスターさんも可愛い♡……ねぇ…もっと恋人っぽいこと、しよ?」
「…そんなふうに求められたら断れるわけないじゃん…」
「じゃあOKってことでいいんだね。それじゃ早速…気持ち良くしてあげるね♪」
逃がさないようにもう一度唇を押し付けながら、ズボンを下ろす。すると中から待ってましたとばかりに脈動する''それ"が姿を現す。普段は口ですることが多いのだが、今日は手でしてみようと思う
「どう、かな?いつもと違う感じにしてみたんだけど…」
「イリヤの手、柔らかい…すごく気持ちいいよ…」
「……良かった♡」
どうやら効果は絶大だったみたい。そういうことならもっと気持ち良くなってもらおう
「はむっ」
「ちょっ、今耳甘噛みされるのはまz…」
「んむっ……じゅる……」
「〜〜〜!」
最早されるがままでしかないマスターさん。普段はわたしを含めみんな受け身になることが多いのだけど…今日はそれをひっくり返させてもらった
「……そろそろイっちゃおっか♡」
「イリ……ヤ…」
「っ〜〜〜!!」ゾクゾクッ
「つあっ…!」
言葉にならない叫びと共にわたしの手の中に溢れ出す命の源。そしてなるべくそれをこぼさないようにして口へと運び、見せつけるようにして喉へ通す
「んくっ……」
「はぁ…はぁ…」
「…ごちそーさま♡」
「なんかいつもより搾り取られた気がする…」
「いっぱい気持ち良くなってくれたんだね♪……でも、本番はこれからだよ?」
そう告げてから下着を下ろし、濡れに濡れたわたしの秘部を晒してまだビクビクと脈打つものに当てがう
「んっ………はぁ…入っちゃった♡」
「さ、流石に続けては刺激が…」
「マスターさんなら平気平気。ほら、そう言ってる間に動いちゃうよ…?」
一番気持ちいいところを探すかのようにして腰を動かす。そうして前後に、上下に体が揺れる度にマスターさんが強くわたしを抱きしめる。わたしはよく顔に出やすい方だ、と言われがちだが…マスターさんも同じ仲間だと思う
「ふあっ♡マスターさんっ♡」
「イリヤっ!……大好きだぞ!」
「うん、わたしも♡だからわたしでたくさん気持ち良くなって♡」
「それなら遠慮なく刻みつけるからなっ!」
「来て、マスターさん♡」
「っ〜〜〜!!」
「ああっ♡♡♡」
さっき出したばかりとは思えないぐらいの量がわたしに注ぎ込まれる。まさに溢れんばかりの愛というやつだ
「………ずっと一緒だよ、マスターさん♡」
〜〜〜〜〜
「ふぅ…」
「やっぱりお風呂は気持ちいいねー」
「体力を消費した後の湯船…最高の贅沢の一つだな…」
背中から伝わる心臓の鼓動に笑みをこぼしつつ、体を預けるようにしてもたれかかる。今はまだわたしが子供だからこんな風にできるけど…いつかできなくなってしまう日が来るのだろうか
「…それはやd…ひゃうっ!?」
「あー……えっと…」
「……今わたしの胸触ったよね?」
「偶然!偶然だから!ただタオル取ろうとしただけで…」
「マスターさんのえっち…」
「さっきまでもっとすごいことしてたよね!?」
「それとこれとは別なの!」
「……これが乙女心か」
………多分この調子ならもうしばらくは大丈夫だろう。おそらく、きっと