お人好し

お人好し


佐代「あ…あのっ!」

おばあさん「はい?なんでしょう」

佐代「よ…良ければお荷物…お持ちします…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

おばあさん「お姉ちゃん本当にありがとうねぇ。お陰で助かったわ」

佐代「い…いえ…じゃ、私はそういうことで…」

おばあさん「あ…よければなにかお礼したいのだけれどねぇ…」

佐代「あっだ…大丈夫です!失礼します!」

佐代「ふー…」

女の子「うえーん!」

佐代「!?ど…どうしたの?」

佐代(あ…まずい…!思わず声掛けちゃったけど今わたし完全に不審者みたいになってるんじゃ…)

女の子「うう…あれ…木に…」

佐代「…?あ、風船か…… だ…大丈夫、わたしが取ってくるね」

佐代(…くっ…ぬぬ……よし…!取れた!)

佐代「はい、これ…」

女の子「わーい!ありがと、お姉ちゃん!………あ、ママだ!ママー!」

佐代(!?ヤ…ヤバい…子供に近づく不審者だと思われるかもしれないっ…!)

佐代「えっと…じゃあ私はこれで!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

お姉さん「あの…」

佐代「はいぅっ!?」

佐代(し、しまった…いきなり声を掛けられたからびっくりして奇声を上げてしまった……最悪すぎる!!)

お姉さん「少しお時間をいただいても大丈夫でしょうか?」

佐代「え?あ、は…はい…」

お姉さん「ありがとうございます…お優しいんですね」

佐代「い、いえ…」

お姉さん「貴方は神を信じますか?」

佐代「え」

お姉さん「私には分かります…貴方は今悩みを抱えていますね?」

佐代「い…いy」

お姉さん「でも、大丈夫です。神を信ずれば貴方のこれまでの…そしてこれからの悩みは全て綺麗に消えてなくなってしまうでしょう」

佐代「え…えっt」

お姉さん「ここでこのまま話すのもなんですし…場所を変えましょうか。丁度この突き当りを左に曲がったすぐそこに私達の事務所があるんです」

佐代(やばいやばいやばい)


真希「あ?佐代ちゃんじゃねぇか。何してんだよこんなとこで」

佐代「!?ま…真希さ…」

お姉さん「あら、お友達ですか?よろしければぜひご一緒に事務所でお話を聞いていかれませんか?」

真希「あー…そういうことね」

真希「悪い、私達これから外せねえ用事があるんだわ。ほら行くぞ」

佐代「あっ…は…はい」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

真希「ったく…ああいうのははっきり嫌だって断れよ」

佐代「すす…すみません…」

真希「お人好しなのは良いけどよ、あんま遠慮しすぎだと付け込まれるぞ」

佐代「うう…」

真希「……ま、いいや。帰ったら稽古付き合ってくれよ。それでさっきのはチャラな」

佐代「はい…」

真希「…っと、用事があるのは本当なんだよな。急がねえと…じゃあな佐代ちゃん!稽古の事忘れんなよ!」

佐代「あ、はい…ありがとうございました…」

佐代「………ドーナツでも買って帰ろうかな…」

その後、結局人助けが長引きようやくドーナツ屋に寄った頃には閉店時間で入れなかった佐代なのであった…

Report Page