ううう、ヤシの木ぃ…
パワーカードの氾濫から幾数年。
ユーザーの声や公式の暴走が進み過ぎた結果、過激なリミットレギュレーションの強化が進みとうとうヤシの木環境と呼ばれることになった時代。
俺は今の環境も好きではあった。実際、CSでも結果を出せていた。
「正直きのこマン、人喰い植物、マンイーターと共に制限にされた時はどうしようかと思ったよ」
しかし制限になっても彼らは暴れ続けた。【ヤシの木コントロール】【きのこマンワンキル】がWCS決勝で対戦したことが最後の一押しになったのは言うまでも無かった。
正直普段から【ヤシの木コントロール】を愛用してた俺には非常にワクワクするマッチングになった。【きのこマンワンキル】は前回の改定でとうとう落とし穴が制限復帰したことでようやく抑制された為、今は【ヤシの木コントロール】が覇権を握ると信じていたからだ。
結果から言うと【ヤシの木コントロール】は勝った。最後の最後、【きのこマンワンキル】の天声の服従で指定されたきのこマンを、【ヤシの木コントロール】がサイドチェンジできのこマンをコマンダーと入れ替えていたおかげで勝てたのだ。
「天声の服従の採用率がMDでも95%を超えているし、その対策は必要ってことだな」
などと興奮と共に感想を考えていたが、既にその興奮は別の物に変わっていた。
「ヤシの木、ヤシの木ぃ…うう…」
「ううっ、ごめんよヤシの木、ううう…」
そう、元々ヤシの木が環境になる前から愛用していたのは性能とは別の理由があった。
普段からヤシの木に有り余る劣情をぶちまけていたからだ。
あまりにも蠱惑的な体、局所のジャングルを思わせる葉っぱ、しまいにはその2つの実はたわわな2つの実にしか見えなくなった。
「ヤシの木!ヤシの木!ああああああ!ごめんよ!お前のその!たわわな2つの実が!常に誘っている肢体が!そして俺を受け止めてくれるその口が!全てが!愛おしい!」
「ごめんよ!ごめんよヤシの木!あああああああ!うあああああ!あああああああああああああ!」
「今日もヤシの木に全てをぶちまけてしまったな。すまない。いつもありがとう。」
今となっては制限指定されても価格が高騰し続け、再販の見込みが無いヤシの木の取引価格はもはや天井知らずになっていた。
この規制環境になる際に、1期から集めていたノーマルカード達を少しずつ売却して口に糊するような生活をしていたが、ヤシの木が高騰した際は一気に生活が楽になった。
「お前が今やキズ有りでも1枚5万か、昔は考えられなかったな」
「まさしくお前の中のミルクはおいしかったよ笑」