いつかの日の思い出

いつかの日の思い出

誰も傷つけないって難しい

ある日のこと。


「い~~~や~~~~だ~~~~!!!歯医者なんて行きたくない!!!」

「ダメ!放置したらもっと悪化します!」

ふたりと遊びたいから隣の家のインターホンを鳴らそうとしたけど、なんだか騒ぎになってるみたい

「…なんか巻き込まれる予感する、鳴らすのやめとこうかな…」

なんて葛藤してたら向こうから玄関の扉が開いた

「あ!リツカ!!助けて!!!」

「待ちなさい!!あ、立香!そこのアルトリアを捕まえてください!」

「えぇ!?」

猛スピードで突っ込んでくるアルトリアにオレは全く反応出来なかった

お陰様で吹っ飛ばされました。

「い、イノシシタックルだこれ…」

背中が痛い

「わ、ごめん!でも助けて!お願い!!歯医者だけはいやだ!」

「アルトリア~?夜中にいっつもお菓子を食べてたのはあなたじゃないですか~?」

「そ、それはトネリコだって…」

「私は歯磨きしてるので何も問題ないですよ?」

うわぁ、そういう事だったの。じゃあ10:0でアルトリアが悪いじゃん

「虫歯かぁ…じゃあ見過ごせないね」

「ちょ、リツカまで!?」

「さぁ、大人しく歯医者にいきましょう!予約はとってあります!」

オレとトネリコはアルトリアの腕をそれぞれ掴んで拘束。そして歯医者に連行した

「これアルトリアが逮捕されてるみたい」

「いやぁ…いつかやると思いましたね」

「警察が路上インタビューに出るなぁぁぁぁ!!!」


























「麻酔って変な感じ……」

「まぁまぁ、大変なことになる前に治療できて良かったじゃないですか」

アルトリアの悲鳴は凄かったなぁ、今までに聞いたことないくらいの声量で叫んでたからびっくりした

「ちゃんと歯磨きするんだよ?また虫歯になっちゃうから」

「…気をつけますぅ」

涙目になってむすっとしているアルトリアであった。

「…そういえば、今日も遊びに来たんですか?」

「あ、そうだよ!サッカーでもしたいなって…でもアルトリアに悪いか」

オレ達は小さい頃からよく色んな遊びをしている

ゲームとかスポーツとかその他諸々。

その中でもサッカーは特に遊んでいて、一緒に試合を見たりとか、プロの人の真似をしてみたり…

小学生の頃なんて3人でおなじチームで大会に出てたんだよね、2人がめちゃくちゃ強いからオレは空気だったけど

「じゃあ家でやろっか!私達最強チーム作ったんだよね!」

当然サッカーのゲームももちろんやり込んでる。

定期的に2人の育てたチームと対戦するんだけど、なかなか手強い

「そうそう!リツカに負けないチームに仕上げたんだから!」

「どうせフォワードばっか入れてるんでしょ」

「「……………」」

…スコアボードが大変愉快なことにはなるんだけど

「じゃあオレ一旦家に帰ってリモコンとコントローラー持ってくるよ」

「うん!すぐ来てね!」




























「やっぱりフォワード多いじゃん!!」

何このメンバー、まともなディフェンダー全然いないじゃん

しかもフォワードがベンチ含めて10人って

「いやぁ…この技がいいこの技がいいって言い合ってたらこうなっちゃって…」

「だってかっこいい技が多くってぇ…」

2人らしいっちゃ2人らしいけど…正直うちのゴールキーパーの気持ち考えて欲しいな

「これ一生シュート打たれるよなぁ…」

「そのつもりですが?」「うん」

「恐ろしい姉妹…!!」

いざ試合開始。予想してたけど、向こうの守備は悲惨なことになっていて…

「トネリコ右サイド!!止めて止めて!!」

「ブロック技持ってないんですけどこの人!!」

「よし、ハットトリックもーらい!」

ボール運んですぐシュート打てばあとはキーパーとの1体1になるので楽に点が取れた

「そんなにフォワード入れるならこの選手とかディフェンスに下げればよかったのに」

「それは考えましたけど…この人の合体技がかっこいいじゃないですか」

「いやそれはわかるけど…」

とはいいつつも、それで下げられたら困るのはオレなんだよね、そいつのシュートでカウンターされるのが怖い

「反撃だ反撃ー!!覚悟しろー!!エクスカリバー!!!!」

「うわ、そんなロングシュートある?」

センターサークルからシュート打ってくるやつなんてアルトリアしか知らないよ。

…ただ、2人の怖いところはこういうところで

「これを待ってました!繋げますよ!」

「えぇ!!?そんな事ある!?」

簡単にシュートを繋げてくる脳筋戦法をかましてくるから、これをされると簡単に止められない

「よっしゃーー!!勝ち越し!!!」

「やった!やりましたよ!!アルトリア!!」

「7-8て、スコアおかしいでしょ」

「いつも通りじゃないですか」

感覚麻痺してらっしゃる…いや、このふたりとやるといつもこんな事になるんだけど…

「このまま追加点取りますよ!もう1回繋ぎます!」

「よーし!!今度はこの人で!!」

向こうのゴールキーパーが前に出てシュートを打ち出した。

…うん、だろうと思った

「よし、蹴り返しとこ」

こうなると分かってて中盤にカウンターができる選手を配置しててよかった

「「あ」」

当然だけど、ペナルティエリアを出たキーパーは手で止めれない

それがどういうことを意味するかというと…

「ゴールがら空きだー!?」

「なんてことをするんですか!!」

「よし、同点」

相手はなすすべもなくゴールを許してしまう、わかってたはずなのに…

「悲しい生き物たち…キーパーのルールもわからないなんて…」

「…今の聞きました?アルトリア」

「うん、これは許せない。戦争だよね」

今のがふたりの逆鱗に触れてしまったらしい

火をつけてしまった。オレ殺される気がする

「「復讐だー!!!」」

この後オレはボコボコにされてしまいました

10-13で負けた。なんだよこの馬鹿試合

「勝った!!!やっぱり持つべきものはストライカーだよね!!」

「さすが私の妹、話がわかりますね」

「くそ~~!!!!」

とても悔しい、こんな事になるならオレもフォワードたくさん育てておけばよかった

「あ、そうだ。そろそろおやつにしませんか?」

「オレドーナツ持ってきたよ!食べよ!」

「わたし食べれるかな……」

「多分大丈夫じゃない?そろそろ麻酔も切れる頃ですし…」

「わーい!!」

オレ達はこのあともいつものようにゲームをしたりご飯を食べたりした

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