ある日の事務所
今日も今日とてマネージャー業務をこなす僕。妻のアイは社長と同行でラジオ収録。
そう、僕は現在そんな妻のラジオを聴きながら仕事をしている。
「ははは、アイがまたウチの子、て言ってますよ。wikiに『アクアマリン、ルビーという猫を飼っている』て書いて正解でしたね」
「あの子はもう…ヒカルくん、フォロー大変じゃない?」
本日はミヤコさんが社内に残り業務を行なっている。
今日は他のB小町の子達はスケジュール調整の結果午後はトレーニングなため、その子達についていたミヤコさんが自然と午後は社内業務に、
僕は社長と交代して僕宛に来た案件をチェック中というわけだ。
…僕宛のオファーがビックリするぐらい溜まってたよ。あのドッキリ番組で顔出しOKするべきじゃなかった。今はマネージャーなのでお断りしていきたいのだが、全部が全部断るとカドが立つため一つ一つ精査しないのいけない。
「いやーアイ自身に気を付けてもらうしか無いのがもどかしいですけど、SNSで火消しするの疲れますね!」
「そ、そう…あと飲み過ぎじゃない?エナドリ」
「そうですかね?」グビッ
最近はエナドリが友達になって来ている。
アイが売れて忙しいのもあって更に、だ。
エナドリが親友で幼馴染な気がして来た。
いや、そうなのでは?
「ひ、ヒカルくん?目がうつろよ…?あとなんかぶつぶつ言ってない…?」
「ミヤコさん、エナドリは僕の幼馴染なんでアイに紹介しようと思います。良いですよね?友達ですし」
「ヒカルくん⁈」
ミヤコさんに休憩するように言われた。解せぬ。
⭐︎
「お邪魔します。」「お邪魔しまーす」
「アクアくん、ルビーちゃん。よく来たね。お菓子食べる?」
「アクアくんにルビーちゃんだー!」「アクアくん、ルビーちゃん久しぶり!!」
今日は学校帰りに事務所に寄る日だったので苺プロにお邪魔する。
事務所に居たスタッフ、ボイトレ中だったB小町のメンバーに声かけられ、お菓子をもらいながら事務所の中に進む。
ミヤコさんのもとに向かうまで両手いっぱいのお菓子が積まれていた。
ちなみにルビーはそのままB小町の子達とマリパし始めた。仲良いのは良いことだ。
…アイと他のメンバーを繋ぐ鎹になれないかな。僕たち。
「あら、アクア。いらっしゃい。相変わらず事務所で大人気ね。ルビーは?」
「つ、疲れた…ルビーは芽衣さんたちと遊んでるよ」
「貴方達本当に可愛がられてるわね…あ、そうだ。ヒカルくん、かなり疲労溜まってるみたいなのよ。何か癒しになってあげてくれない?」
「無茶ぶり過ぎない?」
確かにミヤコさんが言う方を見ると
「エナドリエナドリエナドリエナドリ…あ、アイのマネジメント…今日は社長に代わってたんだ…アイアイアイアイアイアイ…」
「うわぁ…怖い」
「ヒカルくん真面目だから…流石に休ませてるのよ。ルビーに見せられたものでもないし」
「ルビーには甘いよなミヤコさん」
僕にアレをなんとかしろ、はきついな…とりあえず、肩こり酷い、とか言ってたし…
「肩、もむか」
「喜ぶと思うわ、それ」
ミヤコさん、良い笑顔だな。僕に押し付けてホットしてないか?
✴︎
「アイの女優転身のタイミング…いや考えるのは後で良いか…アイアイアイアイアイアイ…」
「と、父さん?お疲れ様」
「アクア!!アクアじゃないか!学校終わりかい?」
アクアだ!我が子を職場で見るとなんか癒された。不思議。
「そ、そうだよ?父さん、肩揉むよ
肩こり、酷そうだし」
「良いのかい?お願いしようかな…」
最近肩こり酷いんだよね…30代になるともっと酷くなりそうだ。嫌だなー
「じゃあ父さん、上着脱いで」
「ありがとう。じゃあ頼むよ」
アクアによる肩もみが始まった。
⭐︎
父さん…ヒカルくんの肩を揉む。気持ち良いのかどうかはわからないけど。揉み始めてからは静かだ。
(ヒカルくん…あんな小柄な少年が背が伸びて男らしくなったな。父親らしく頑張ろうとしてるし、家事も頑張ってる。本当にお疲れ様)
感謝を込めて肩を揉む。
すると小さな声が聞こえてくる。
「うう…うっう…うう…ぁ…うう」
「と、父さん?」
ヒカルくん…父さんが嗚咽を漏らしていた。
「ごめん…手のひらからアクアの優しさが体温から感じてね…同時に君の成長を感じて…」
「そんな気にしないでほしい。息子として感謝を肩を揉むことで伝えただけだよ」
「アクア…」ブワッ!
父さんが更に泣き出した。
どうしよう?
(ミヤコさん!どうしたら⁉︎)
助けを求めてミヤコさんの方を見る。ミヤコさんは…
「うーわ…ヒカルくん限界だったのかも…休ませなきゃ。壱護も壱護よ、ヒカルくんの様子ちゃんと見ておきなさいよ…」
ドン引いて、社長に怒っていた。
とりあえず泣き続ける父さんを放置して肩を揉み続けた。
後から来たルビーがドン引きしていたが、訳を聞くと父さんの頭を撫でて余計に父さんは泣いていた。
…その後父さんは2日間有給をもらい、休憩し、3日目にはすっきりした顔で出勤したようだった。