ある女の記憶②
その猫を家に連れて帰った私はとりあえず水を取り出しその猫の口に流し込む。
確か餓死寸前の生き物に大量に食べ物を与えるとかえってショック死してしまうらしい・・・
だから対応としてはこれで間違っていないはず。
・・・飲ませていると目が覚めたようだ。
こんなに早く覚めるものだっけ?
「フー・・・」
・・・まぁ警戒している様子だ。
とりあえず初手に襲われてデッドエンドになる事は避けられた。
さてここからどう仲良くなるか・・・
一日目
「ヨシ!ボーボボの読み聞かせを・・・」
「フシャー!!!!」
「イッタイテガァー!!!」
二日目
「そうだ!実際に漫画で仲良くなった方法を試せばいいんだ!」
「そうと決まれば猫ちゃんをフェンスの外に連れて行って・・・」
「ニャー!!!」
「アッ爪が胸に!!でも過程は省けた!このまま・・・」
「・・・って私は別に不死じゃないから再生しないんだった・・・ガクッ」
三日目
「うるせぇ!!!行こう!!!」
「ニャー!!!」
「アシィィィィィィィ!!!!」
四日目
「私は君の夢を聞くのが好きだった・・・」
「シャー!!」
「もう片方のウデェェェェェェ!!!」
五日目
※
※
※
七日目
「はぁ・・・はぁ・・・」
まさかここまでの強敵だとは思わなかった。
今の私は全身が包帯まみれのミイラ女だ。
「・・・ニャァ」
そんな私を見て猫は心なしか嗤ってるような気がするがきっと気のせいだろう。
それに・・・今の私には秘策がある。
「ふふふ・・・これならどうだ!!!」
私が持ってきたのは私の大好物・・・
ゴキブリの素焼き揚げである。
これなら間違い無く私に懐くはずである。
「・・・・・・!!」
お、露骨に反応をしている。
さーて食いつくかな・・・?
「・・・・・・ニャー!!」
そしてそれを見た猫は私に飛び掛か・・・飛び掛か!?
「えっ!?ちょっ!?」
そして当然脊髄反射で後ずさろうとした途端。
ツルッと足元が滑った
どうやら偶々背後にあったジャンプを踏んで思いっきり私はすっ転んでいるらしい。
そして私がすっ転んだ事により私が持っていたゴキブリも飛んでいく。
「・・・ニャー!!!」
そして猫はそのゴキブリを的確に咥え着地した。
そして美味しそうにゴキブリ食べ始めた。
・・・はー中々上手くいかないなぁ。
それにしても本当に暴力的な猫である。
なんとか大人しくなってくれないんだろうかこの猫・・・猫・・・あっ
そういえば名前をつけるのを忘れていた!?
・・・そうだなぁ
折角なら今とは真逆になるような・・・大切な人に優しくできるような・・・
あっ!!そうだ!!彼の名前を付けよう
前半二文字は吹っ飛ばして・・・
「ヨウ!!君の名前はヨウだよ!!」
と私が言った瞬間だった。
突然さっき私がすっ転んだ事で上に積んでいた漫画が大量に落下した。
そしてその下にはヨウの姿。
「・・・!?」
ヨウは避けようも遅く次の瞬間大量のジャンプ漫画が頭に激突しヨウは気を失った・・・
「・・・え!?ちょ!?きゅ、救急車ー!!!いや違う動物病院ー!!!」
・・・その後動物病院で見てもらった所幸いにも命に別状は無かった。
ただあの時からヨウが妙に大人しくなったというか・・・賢くなったというか・・・
気のせいかな?