ある夜の美遊
時刻は深夜。場所はマスター……藤丸立香のマイルーム。そこでわたし……美遊は、ビースト衣装を着て彼と愛し合っていた。
「んっ…♥ ふっ…♥ ん、ぷはっ…♥ キス、気持ち良いです♥ もっとしたい♥」
「甘えん坊だなぁ美遊は。キスも良いけど、もっと先のことしたいんじゃない?」
「ぁ…♥」
立香さんがチャックを下ろし、ぼろんっ、とペニスを露出させた。
それは、わたし達三人のヴァージンを奪い去ったペニス。今までの“美遊”を壊して、余すところなく“藤丸美遊”に塗り替えた力強いペニスだ。
相変わらず、硬くて大きい。塩辛くて汗臭いし、カウパーの変な味もする。でも、それも含めて立香さんのペニスだ。そう思うだけで、胸はどくんっ♥ と高鳴り、子宮もキュンっ♥ と疼いてしまう。
「ちゅっ…♥ …れる…♥ れろっ♥ ちゅっ♥ じゅるッ♥」
感極まって亀頭にキスを捧げたけど、それでは物足りなかった。
舌で味わいたい。膣内で感じたい。他ならぬ立香さんのザーメンを。その一心でむしゃぶりつく。
第三者からすれば醜悪極まりないペニスだけど、わたしにとっては世界で一番愛しい人の分身だ。怖くなんてない。
「っ…美遊、もう出そう…!」
「! …んぶっ♥ ぐぷっ♥ じゅぷ♥ じゅぽっ♥」
立香さんの射精が近いと知り、フェラにも力が入る。
「…っ…! 美遊っ! イくぞ!!」
「んむっ♥」
立香さんがわたしの頭を鷲掴みにし、腰を突き出しながら叫ぶ。そして。
───ブビュッ! ビュ! ビュルルッ!!
「んぐぅっ♥ …ぶぷっ♥♥ むぷっっ♥♥♥ …ごきゅ♥ ごきゅっ♥ …んくっ…♥」
黄ばんだ白濁が、わたしの口内に勢い良く放たれた。
…イリヤとクロ、そしてわたしを内側から塗り潰した、青臭くて不味い魅惑の精液。それがわたしの口内、喉、胃、腸を余すことなく染め上げていく。
「っ、ふぅ…。…ありがとう、美遊」
ぬぽんっ♥ とペニスが引き抜かれる。
「…本番、する?」
「…意地悪」
答えなんて分かってる癖に。そもそも、ここでやめたらそっちだって辛いのに。
「…“お兄ちゃん”…♥ わたしを、壊して♥」
“向こうのお兄ちゃん”にはオリジナルのわたしがいる。だから、わたしがお兄ちゃんと愛し合っても裏切りにはならない。お兄ちゃんとわたしがしているのは、相思相愛の男女が愛し合う正しい行いだ。
そんな思いを胸に呼び方を変え、ひくつくおまんこを両手でくぱぁっ♥ と開いてお兄ちゃんを招く。
「…ッ!」
お兄ちゃんの目つきがぎらついたものになる。わたしはそんなお兄ちゃんにのしかかられて…。
───ぬぷっ…♥ にゅぶぷぷぅ♥♥
「あっ♥ ふぁああっ♥」
子宮という名の聖杯を、お兄ちゃんに明け渡した。
「あンっ♥ おっ♥ ほォぉ♥ それイイ♥ お兄ちゃあん♥」
ピストンの度に鈴口と子宮口がいやらしくキスをして、お兄ちゃんの愛情が心を満たしていく。まるで、童話に出てくる白馬の王子様がわたしのところに来てくれたみたい。
そんな目の前の王子様は、いわゆる性豪だった。元々の素質とわたし達で積んだ経験……それら全てが、わたし達を魅了するに足る凶器だった。
「ふっ、ぅ……美遊、こっち向いて…!」
「んむっ♥ んっ♥ んぅっ♥」
ピストンの最中、お兄ちゃんがわたしの唇を奪う。クロにされたキスとも違う、男女のキス。それがわたしをより燃え上がらせた。
「ぷはっ…! 美遊のナカ、やっぱりすごくイイよ! 美遊はどう!? オレの気持ち良い!?」
「うんっ♥ 気持ち良いっ♥ お兄ちゃんのおちんちんすごいのぉ♥♥♥」
ここぞとばかりに偽らざる本音をぶちまけた。
…正直な話、お兄ちゃんのことはもっと気の利いた言葉で褒めたかった。けど、この時のわたしはお兄ちゃんのくれる愛と気持ち良さで脳みそがぱんぱんだった。だからこんな月並みな言葉で終わってしまったのだ。
「美遊っ、そろそろイくから準備して!」
「うんっ♥ わたしもイくッ♥ イっちゃうよぅ♥」
お兄ちゃんももう限界が近いんだ。
泥臭く頑張るお兄ちゃんがベッドの上でだけ見せる、スマートだったりぎらついてたりする格好良さ。それをもう少し堪能していたかったけど、それでわたしの方が先にイってしまうのは問題だ。わたしはお兄ちゃんと一緒にイきたいのだから。
ぼんやりとそう思っていると、お兄ちゃんのかっこいいピストンが激しさを増す。ああ、もう駄目……そう思った瞬間、絶頂は訪れた。
「お兄ちゃ、ッッッ〜〜〜♥♥♥」
───ビュッ♥ ブビュッ♥ ビュクッ♥ ビュルルッ♥
(あ…♥)
快楽の渦の中、お兄ちゃんの愛情がザーメンに乗って注がれたのを感じた。
…お兄ちゃんの愛情が、黄ばんだザーメンと一緒にわたしに染み込んでいく。子宮と霊基にお兄ちゃんが刻み込まれて、わたしという聖杯がお兄ちゃん専用になっていくのをひしひしと感じる。
(───幸せ…♥)
そんな想いと共に、わたしの意識は落ちていった。