ある夜のこと
何かできなかったのかな?「雛ちゃん、さよならまた明日。」
「うん、また明日!」
友達と別れて、帰り道を歩く。中学2年生になってから数ヶ月。暗殺任務はほぼなく、学校にも沢山通えている。このまま暗殺者も辞めたいな…人を殺すのはいつまでたっても嫌なのに。
「…クィエ」
そんな私を嘲笑うかのように携帯が震えた。
今回は、エネミーを作って放ち、自分たちで倒す…いわゆるマッチポンプをしている人とその家族が対象だった。
夜、静かな高級住宅街を歩き家にたどり着く。音もたてずに忍び込み様子を伺えば、ターゲットの人とその奥さんらしき人は楽しそうに笑いながらエネミーの話をしていた。
「…お願いね」
イトロちゃんが歌い始めると、2人は見開かれた目をこちらに向ける。ついで逃げようとしたのだろうか、立ち上がろうとしたが歌の効果でそれは叶わずに転ぶ。
何も言わずに仕込み傘から刀を抜き、近づけば彼らは静かにこちらを見上げた。
「…そうか、お前が……報いが来たのだな。」
「あんた……っ。そうね。」
「…何か言い残すことは。」
「娘は助けてくれ。あの子はまだ戻れるはずだ」
「私も夫と同じ。…お願いできるかしら」
「…わかりました。……痛みや苦しみは、ありませんから」
「ありがとう」
2人は歌が効いたのか眠り始めて、しんと部屋には静寂が満ちた。
どうして、どうして?わからない。だけど、やるしかない。私がやらなくても別の人に酷い方法でやられるだけなんだから。
刀を振り下ろせば血が飛び散る。返り血がついてないか確認しようとした時、かたりと音が聞こえた。