あるいお夜の後
「はぁ……」
朝、ベッドに腰を掛けてため息をつく。
隣には、幸せそうにむにゃむにゃと寝ながら私の服の裾をつかんで離さない風紀委員の姿。
やってしまった。
すっきりして、クリアになった頭にはその言葉がずっしりとのしかかる。
正直な話、行為自体は一回や、二回ではない。
私の【これ】の精力は、もうムツキたちを抱くだけでは収まらないのをムツキたちですら理解してる。
だから、依頼の度、というわけじゃないけれど、依頼人の女の子だったり倒した相手だったりをしたことは……正直にいえばある。
それで依頼につながってる面はあるから、それはいい。
……女の惚れた腫れたに牽制を入れながら依頼は請け負う。それもまたアウトローだろう。
けれど、これは、違う。
やったことは、たまにやってたことと同じ。
しつこい相手に対して、ふたなりとして手を出した。
だが、相手は風紀委員。
手を出して、プラスになることなんて。きっとない。
むしろ、身内に手を出したことに対しての報復だってありうる。
普段なら、やる気のないヒナでさえ、今回ばかりは怒り心頭で襲い掛かってきてもおかしくはない。
今までの人生の中で一番のピンチ。といっても過言ではないだろう
「……んっべんりやぁ……」
だというのに、隙だらけに私のことを呼ぶこの子をみると毒気が抜かれてしまう。
「……後のことは、後で考えましょ」
そういって、私は彼女の頬にキスを落として……。
料金だけ先払いしてホテルを後にするのであった