あぶれた暴食の終着点。
#宇沢レイサ #杏山カズサ #柚鳥ナツ #伊原木ヨシミ #栗村アイリ #ヘイロー食宇沢レイサのヘイローを食べた。美味しかった。食べて食べて、食べ続けた。面倒だったから、いつでも食べられるようにした。
柚鳥ナツのヘイローを食べた。美味しかった。何度も何度も繰り返し咀嚼した。面倒だったから、ヘイローをずっとお菓子にしておいた。
栗村アイリのヘイローを食べた。美味しかった。毎日毎日飽きもせずに噛み砕いた。面倒だったから、機械を使わなくてもヘイローを食べられるようにしておいた。
伊原木ヨシミのヘイローを食べた。美味しかった。今日も明日も明後日も食べるつもりだった。面倒だったから、機械を使わなくてもヘイローを食べられるようにしておいた。
杏山カズサのヘイローを食べた。美味しかった。一口、また一口と止まらなかった。
守月スズミのヘイローを食べた。美味しかった。
白洲アズサのヘイローを食べた。美味しかった。
円堂シミコのヘイローを食べた。美味しかった。
羽川ハスミのヘイローを食べた。美味しかった。
名前も知らない誰かを食べた。美味しかった。
もう誰でもよかった。キャスパリーグと宇沢レイサへの復讐なんて忘れていた。だってすごく美味しかったから。手当たり次第襲って食べた。言うことを聞かせて、襲わせて、みんなで食べた。
気づいたら、機械を使っていない生徒のヘイローも食べられるようになっていた。気づいたら、ヘイローを食べることが当たり前になっていた。
世界が、壊れ始めていた。
宇沢レイサのヘイローを食べようとしたのは?……私たちだ。
面倒だからとヘイローをお菓子のままにしたのは?……私たち。
宇沢レイサをスイーツハンターと称して生徒を拉致させたのは?……私たち。
他の生徒にもヘイローを食べさせるように勧めたのは?……私たちだ。
ヘイローを貪られて力無く倒れているのは?……あいつだ。
次に食べられるのは?…………。
「ああっ、うぁっ……!やだ!やめて!お願い!こないで!」
腰が抜けて立てない。両手で身体を押しやってどうにか距離を取ろうとする。
「あはは、そんなに泣かないでください。しょっぱくなっちゃいますから」
「観念して食べられちゃいなさい!」
「にひ、やっぱりここに逃げ込むよね、知ってた」
「トリニティのスイーツハンター!宇沢レイサにお任せください!」
「色んな生徒のヘイローを食べてきたんでしょ?なんていうか、すっごく美味しそうな匂いがするんだよね。あんたの頭の上から。複雑で芳醇な匂いがするんだ」
喰われる。食べられる。私が、私を、魂を、存在を、根底から食われる。ただの甘味として、ただのスイーツとして、こんな奴らに食われる。
怖い。怖い怖い怖い怖い!!!助けて!誰か助けて!いやだ!食べられたくない!消えたくない!!終わりたくない!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!!
「ほーら、逃げないの。宇沢、あんたが最初に食べなさい」
「えっ、いいんですか?」
「まあここまで追い詰められたのはあんたの手柄だし」
「そ、そうですかね?……じゃあ遠慮なく」
「あ……うそ、やだ……やめ──」
「いただきます!」
パキッ。
ぁ。