あなたと一緒なら

あなたと一緒なら

ガンダムXおもしろいよ

理由って。なんだろう


理由にならない理由は沢山出来た。


そんな世界のためー!とかそれが使命だから!とか

そう言ったありきたりなものばっかり思いつく


でも、わたし自身の理由は?


……そんなの、ずっと見つからないと思った


おさないときからひどいことをされて

こわくてもにげだせなくて

それでもすすむしかなくて


春も、夏も秋もどこにもなくて。ずっと寒い寒い冬のような日だった


でも、色々忘れて投げ出したくなった時に。暖かいひだまりがわたしを照らした


はじめは、ひたすらに困惑した


わたしが酷い事を言っても、そのヒトは優しく受け止めてくれた


こんなヒトがいたなんて信じることが出来なかった。

もっとはやくあいたかった

わたしを見つけ出して欲しかった


彼と、逃げ出したくなるくらい。彼のことが好きで、苦しかった。切なかった


自分の運命がわかっていたから、彼の傷になってしまうから好きだなんて言えなかった


…だからかな、最後に、楽しかったことを聞いた。

彼との旅は暖かくて、時々怖がるわたしの手を握ってくれた


何度手を握ってくれたかわからない、震えるわたしをいつだって彼は落ち着かせてくれた

……だから、一番の思い出は、11日目のグロスター。

あなたは、ただのなんでもない出来事だったと思う

でも、わたしは忘れない。この気持ちと、手の感触を



きっと彼は、何度も体験したことだろう。ちょっと妬けるけど。わたしとは潜った修羅場が違うんだ。

…でも、わたしからしたらこれが最初で最後になる旅路で、何もかもが忘れられない一時


眩しくて、ずっと望んでた煌めくような日々


そんな素敵なものをくれた彼は、わたしの全てだから。せめて恩返しはしてあげたい


彼が諦めないなら、例えこの穢れたからだがそのままでも。

絶対に、助けてあげたい


あぁ、でも。その時はわたしはわたしじゃないのかな、いやだなぁ…


ほんの少し。いや、かなりかな。彼とのお別れが辛くなってきた


…今更逃げようなんて思わない。だけど、思うくらいは好きにさせて…?



祭神との闘いが始まる。彼は管制室で見ている

…隙を見て、すぐにキャメロットに向かおう

みんなが頑張ってるんだ、わたしだって負けないぞ



…今だ!


わたしはストームボーダーから飛び降りて、キャメロットの壁に強引に着地した










…彼と目が合ってしまった、無意識に彼の顔を見ようとしたんだろう。

いやな子だなわたし、彼は今。目の前の厄災に全力を注いでるっていうのに



…まぁでも、どうせもうお別れだし!

お別れの挨拶は…言えてない気がするけど、でも言いたいことは言えたし、いいよね!!


「リツカ、……わたし…あなたが……」











































「呪いの層が剥がれただけだ!すぐにまた再生する!」

「防衛戦というわけだ…気張れよマスター!」

「……っ!!」

「おい藤丸!どこに行く貴様!」

「所長…ダヴィンチちゃん、マシュ。…みんな、ここは任せた…!!」

「…任せたまえよ!行くんだろう?…その代わり、しっかり一緒に帰ってくるんだぜ?」

「うん、ありがとう!!」

着地用に一瞬だけ召喚したサーヴァントと共に、1人の青年が飛び降りた


それは無謀か、勇気か。それとも……






「1人でカッコつけて…!」





「間に合ってくれよ…!!」




































キャメロットの玉座にたどり着く。

息も絶え絶えだが整える時間が無い

…彼のためにも、ここで全てを終わらせないと


何度も逃げ出したわたしだけど

望むものは叶わなかったわたしだけど


キレイになれなくても、わたしは……




真っ直ぐな彼に、誇れるわたしでありたい!!!!



「霊脈閉塞型兵装、装填。円卓聖槍、12基並列抜錨!!」


かつての先代、かつての女王が残した遺産を、わたしはこの為に解放する


「対厄災大儀式、開門!」


あぁ、でも。本当のことを言えば

…全てが終わっても。まだ一緒にいたいなぁ


「救世の槍よ、罪を流す最果ての雨となれ!!!」


並べられた聖槍が、祭神に向けて一直線に飛翔する







…あれ、わたしいま何を考えたの…?



















「ぅ………あ…!」

聖槍は祭神を吹き飛ばすには及ばず。爆風でわたしは吹き飛ばされてしまった


…理由なんてわかってる、わたしは。まだ彼と一緒にいたいと心の中で願っていた

その為に帰る力を残してしまった

「は、はは…何やってるんだわたし……最初からわかってたのに」

本来はあの場で消えるはずだったのに、わたしはまだ生きている。


その意味は、全てこの時のためだ。


ここで使わなかったら何になる



…彼と一緒に要られなかったはずの「すこし」をあの人から貰っただけで十分だよ





原因はわかってる、だから次は絶対に失敗しない











わたしが使うべきなのは……槍ではなく……


























わたしは吹っ飛ばされたが、なにかがわたしを受け止めてくれた


嘘、誰もいないはずなのに。なんでこんな所に…


…でもこのあたたかな感じ、わたしは知ってる


…だからこそ、信じたくなかった


「リツ…カ……?」


彼が、わたしを受け止めていた


「あの…みんなは…」


「向こうで戦ってる、まだ大丈夫」


彼は仲間を信じていた。彼の感情は信頼の色に染っている

…じゃあわたしのことは?信頼してないから来たということ…?


「君も信じてる、でもだからこそ。オレはこっちにきた」


「なん……で……」


信じられない、わたしを信じてるならなんで…

この期に及んでまだ欲張ってしまう自分が情けない

今彼の顔を見たら、自分がこれからする事なんて…


「一緒に終わらせよう、役不足だろうけど。オレがついてる!」


「…!!」


彼はきっとわたしを見送りに来た。

当然だ、お別れの挨拶をまだしていない。だからこうして最後に会いに来てくれた


…尚更、失敗できなくなった


「手を、握って」


彼が手を握ってくれる。もう何度目か覚えていないけど

この温もりに触れたら、わたしはいつだって力が湧いてくる


「……回線を、玉座からこの心臓に!」


思えば前まで男のヒトは怖かった。今もだけれど


「使用魔力をキャメロットから、アヴァロン・ル・フェに!」


でもあなたは、もう怖くない。

太陽のように眩しいあなたは、わたしの心を照らしてくれた


「霊脈閉塞型兵装から、龍脈焼却型兵装に変奏!!」


あなたという太陽に灼かれたから、この全身の痛みだって…


「…ここで、お別れにさせるものか…っ!!」


「え…?!」


彼の行動は予想外だった。わたしの手を握るばかりか、背後からわたしと同じように杖を持った


「魔力を使い切るつもりなんだろ!?…オレのも使え!!」


「リツカ!ダメ!!あなたまでこんな事する必要なんてない!!」


「全部終わらせて、一緒に帰るんだ!!アルトリア!!」


「…!!リツカ…っ!!」


泣きそうになる、堪えろわたし

今泣いたら全てが無駄だ、彼の覚悟まで無駄にさせてたまるか


彼が渡せる魔力なんてたかが知れてる、その令呪と呼ばれるものだってこの後の為に一画残してるはずだ


「キャスター!!これでもまだ足りない!?」


キャスター…そうか、わたしに向いてるクラスなんだね

…もう、精一杯の手を尽くしちゃって


「全っっ然足りない!!」


思えば、星の内海でも彼は必死になってくれたんだっけ、嬉しかったなぁ

こんなわたしでも、わたしの為に頑張ってくれる人いたんだ


「…少ししかないけど、オレの魔力全部使っていい!!」


「ほんとにいいんだね!?」


「…あぁ!!」


彼の魔力がわたしに澄み渡るのを感じた

全身に奔る細胞の痛みがスっと消えたような感じがした

彼の魔力は微々たるものだけど、量の話じゃない

あなたと一緒なら…


……無敵になった気分だ


「聖剣、抜刀!!!」


もう迷わない、逃げ出さない


彼がすぐ後ろについてる。彼と帰るためにわたしは……わたしは!!!!


「祭神よ、我らが罪を。赦したまえッーーー!!!!」


身体が爆散しそうなほどの魔力だ。

わたしと彼の全てを使った一撃だ


失敗は、絶対にさせない!


「「いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」





































「アルトリアっ!!」

「ぅ……あれ……終わった…?」

ちょっとだけ気を失っていた。記憶も飛んでいて、最後なにをしていたか覚えてない


…でも、祭神がいないってことは、やったんだねわたし。


目の前の彼も、夢じゃないんだよね


「なんか…疲れちゃった……けど、帰れるんだよね…?」


彼に抱かれながら、役目を果たしたわたしは安堵する


「戻ろう…ボーダーに」


「えへへ…からだが動かないや……」


あれ、なんか安心したら眠くなってきたな……

まぁ……いいか………寝ちゃっても……


「…寝ちゃった…しょうがない。おぶって行こう」


「…君が飛び降りた時、もう会えなくなると思った」


「…でも、こうして一緒に帰れてよかった」


「よく頑張ったね、アルトリア」























































「あれ、まさかこれで終わりだなんて思ってる?」


「まさか、だってまだ」


「役者は揃ってないだろう?」


「えぇ、その通りです」


聖剣の概念になったわたしは、本来は消えるはずだった。


でも、彼との繋がりがわたしという少女をつなぎ止めた


「…驚いた、まさかそんな奇跡が起きるなんてな」


平行世界の自分から力を借り受け、今一度立ち上がる


「彼は私の命とも言えるヒト、だから私は……いや、わたしは!」


彼への恩返しは、これから始まる


「彼の剣となって、あなたを打ち倒す!」

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