あなたが必要

あなたが必要


「ルフィ〜!勝負よ!」

サニー号の食堂のテーブルで座ってたルフィにウタが抱きつきながらそう言うとルフィは「ニシシ!イイぞ!」と笑顔で答える。仲間たちはからかったり火だるまになりながら血の涙を流したりと微笑ましくみていた。

エレジアライブでの事件後奇跡的に助かったウタはルフィの提案により麦わらの一味の客人兼仲間として迎えられた。テロを起こした以上政府に狙われてるのは明白でゴードンの下に預け直す訳にもいかずシャンクスたちも海軍を牽制していたためその場で預ける訳にもいかなかったためだ。

ウタは最初戸惑っていたが数日後にはルフィにべったりとするようになりルフィもそれを受け入れていた。仲間達はなんとなく今の二人の関係を察してウタが心から笑顔になれたことを自分のように喜んでいた。

フランキーもルフィに頼まれ二人のための部屋を用意したほどでルフィとウタはそこで寝泊まりをしていた。他の仲間たちは流石に驚いたが二人の幸せな姿を見て文句は出なかった。(流石に風呂も一緒に入ろうとした時はナミとサンジによってルフィはボコボコにされたが)

今夜も二人は自分たちの部屋のベッドで抱き合いながら眠っていた。

ルフィはウタを抱きしめピロートークをする恋人のように耳元で何かを囁きウタはそれ聞いて…



震えていた



「なぁウタ覚えてるか…?俺の夢否定したりエレジアで俺を無理やり捕まえたこと…危うく熱くなったお前のファンの連中に殺されかけたなぁ?いらないって言われたのもキツかったし俺の説得にも耳を貸さずに加減なしでボコってたけどアレ結構痛いんだぞ?」

「…ッ!」

ウタはそれを聞き顔面蒼白でガタガタとルフィの胸に縋りつきながら震える。

「挙句俺を置いて死のうと…いやお前の言い方だと『逃げる』だっけか?置き去りにしようとしたなんてなぁ?置き去りにされたくせに…」

「…めんなさ…ごめんなさい…ごめんなさい…!」

それを聞いてウタは涙を浮かべながら謝り出す。

「いいんだぜ?そんなに俺のそばが嫌なら次の島で『降ろして』やるよ?なんならシャンクスのところに連れてっても良いぞ?また『捨てられる』かも知れねーけど?」

とうとうウタは泣き叫び出した。

「ッ⁉︎ごめんなさい⁉︎ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!もうそんなこと言いません!殴ったりしません!!置いていったりしません!!!だから…だからそれだけは許して!!!お願い…します!」

ウタはもう置き去りにされることに捨てられることに耐えられなかった。

そんなウタをルフィは優しく抱きしめ自分の胸に埋めさせる。

「悪りぃ冗談だ!お前を手放すなんて出来るわけねーよ!だからもう…寂しい思いはさせねえからな?」

ルフィの温もりを感じてウタはようやく落ち着きを取り戻し安堵しながら眠りについた。

ルフィはそんなウタの頭を優しく撫で続けた。

ようやく手に入れた宝物。12年引き離されようやく見つけた彼女を手放す気など誰かに譲る気など毛頭ななかった。

たとえ相手が恩人だろうと…

「ルフィ〜!今日はこれで勝負よ!」

「おう!望むところだ!」

そしていつもの日常が繰り返された。


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