証
※まずかったらレス消しておきます。
部屋には互いの吐息が満ちている。呼び合う名前の音が、更に二人の頭を酩酊させた。
「ね、うりゅう、痕、つけて?」
交わし合うキスの合間に、甘えるように撫子が強請る。
「っは、なでしこ、鬱血痕は、皮下出血だよ。無闇に、つける、はぁっ……、もの、じゃない」
「ぁンッ、それ、でも、ぁう……、ええの」
眼下の女を揺さぶってやれば、応えるように喘いだ。
「アタシが、雨竜のモンやって、証、いっぱいほしい」
「これだけじゃ足りない?」
雨竜は自身の右手と繋いだままの撫子の左手を軽く持ち上げる。その薬指には、指輪が収まっている。
「たりない……」
もっとほしい、と呟く撫子の目は情欲に濡れている。きっと自分も同じような目をしているだろうと雨竜は思う。
眦を蕩けさせ、証を刻むために雨竜は撫子の白い首筋に唇を寄せた。
今宵も二人は蕩け合う。