ss注意

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トレ……学園的な擬人化世界で同室設定 史実産駒との血縁はない感じ

「コンちゃーん!ただいま!」


「はいはい、おかえりなさい。エピさん宛の荷物が届いてましたよ」


冬の足音が近づいてきた秋の夜、静かな空気を引き裂いて騒々しい同居人が帰ってきた。


「今週は後輩さんのG1応援で関西でしたっけ?荷物の配達日はちゃんと自分で受け取れる日にして欲しいです」


エピファネイアさんには懇意にしている後輩が何人もいるそうで、週末はいつもその応援のため部屋を空けている。また、その後輩達のグッズも蒐集しているため僕が毎回のように荷物を受け取ることになっているのだ。


「ごめんごめん。……これはもう収まりきらないかな、空いてるカラーボックスはっと」


「……大変じゃないんですか、それ」


「ん〜?どれのこと?」


「毎週後輩さんのためにレース場に行って、グッズだってゲームセンターのプライズまで揃えたりして。そういうこと、僕にはできそうにないです」


「なるほどねえ……大変だなんて思いもしなかったけど、確かにそう見えるのかな」

「でも、慕ってくれてる後輩を応援するのは当たり前のことだと思うし。それに、誰かをめいいっぱい応援するのって楽しいよ、悲しい事だって起きるけどさ」


 コンちゃんもその時になったら分かるんじゃないかな、と言って笑う顔は普段のそれとまるで違う、我が子を慈しむ父親のようで、僕は胸がむず痒くなって目を逸らした。


「あ、まだ荷物残ってたんですね」


箱の中にはエピさんが買い集めているのと同シリーズのぬいぐるみらしきものと、それよりかなり小さな包装が一つずつ。


「これ?これはね、自分用っていうかなんていうか……」

「大きいのはコンちゃんのでね?」

「こっちは…これ」


そう言いながら包装から取り出したのは、エピファネイアをモチーフにしたらしい手乗りサイズのぬいぐるみだった。


「お揃い…じゃないけどお互いのを持つやつ一度やってみたくて、もし嫌じゃなかったらもらって欲しいな……」


「……」


「や、やっぱり迷惑だった?ごめんね!気持ち悪かったよね……俺、コンちゃんみたいな友達ができたの初めてで舞い上がっちゃって、ごめん……」


「もっと大きいの、くれないんですか?」


「へっ?」


「キズナ先輩にもタクトにも、あなたの大きなぬいぐるみ渡してましたよね。僕はそれ、貰えませんか?」


「コンちゃん……でも、いいの?アレ絶対邪魔になるよ?」


「今更ですよ。エピさんに邪魔されるのなんか慣れっこです」


「うっ……ごめ」


「謝らないで。……それでも一緒にいる意味くらい、分かってくださいよ」


「えっ?えっ?」


「……はぁ、もういいです。何でもありません」


コ、コンちゃぁん……と情けない声で鳴く生き物の手からぬいぐるみをひったくり、壁に顔を向けてベッドに籠る。

強い力で握りしめられていたそれにはまだ温かさが残っているような気がして、思わず口をついた言葉が伝わらなかった安堵と怒りがぐちゃぐちゃに溶け合ってその日は眠れそうになかった。



「しっかしキズナのやつあのぬいぐるみまだ持ってたんだな〜、邪魔になるしすぐ捨ててると思ったのに」


「キズナ先輩は義理堅いですから、仮にも他人からの貰い物を簡単に捨てたりはしませんよ」


「ふーん?いいこと聞いたかも……と、タクトにアレ送ったのも知ってたけど、部屋入ったりしたことあるの?」


「あっ」


「えっ」

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