麦わらの一味 マチカネフクキタル スリラーバーク編 3~4話
モリカフェの人
これまでのあらすじ
マンハッタンカフェの先導でゾンビたちの森を抜け屋敷へとたどり着いた、ナミ・ウソップ・チョッパー・フクキタル。
戦闘要員と逸れた非戦闘員組の表情は暗い。ただチョッパーだけが伝説の医者に会えるとよろこんでいた。
第3話【ドクトル・ホグバックと2人の女優 前編】
真ん中がトンネルになっていて奥に中庭が見える、森の中に建つ屋敷
マンハッタンカフェが先導し、トンネルの前に立ち大きく声を張り上げた
「今、戻りました。……シンドリーさん!」
((((……シンドリー?))))
「留守なんじゃねぇか?」
「ここまできて、それは困るわ」
「私、もう一回ゾンビの中というのはちょっと勘弁してほしいです」
ウソップたちは懸念した。その姿は、ゾンビたちから逃げ回るうちに泥で汚れていた。
「いえ、大丈夫そうです」
カフェはウソップらに振り返り、トンネル中ほどにある扉を手で示した。正確には、その横のスポットライトで照らされた井戸を。
一行はカフェを先頭に歩き、木製で輪っかのノブが付いた扉の前に立つ。
「なんだこの井戸?」
「なんだか私、嫌な予感がするのですが」
フクキタルが怯えた声を出すと滑車が動き、顔に縫い傷の目立つ女性がせり上がってきた。その胸の前には大量に平皿を抱えている。
「いらっしゃい」
「「「「ギャアアアアア」」」」
悲鳴を上げるカフェ以外の一同。
ギロリ、と井戸から出てきた女性はウソップを睨むと、皿をウソップ目掛けて投げる、投げる、投げる。
「1枚2枚、3枚4枚5枚6枚……」
「なんだなんだ!皿を投げてくるぞあの女、しかもなんかおれ集中攻撃!!」
「そっちの3人は入っていい。あんたは行っておしまい! 7枚8枚9枚」
胸の前の皿が1枚になったタイミングで、カフェは皿を投げつける女性の前に立ち制止した。
「それくらいでやめてください、シンドリーさん」
「……カフェか」
言葉もなく、二人が視線を合わせ動きを止めた。
すると中から男の声がし、扉が開いた。
「もういい、一人くらい特例でかまわねぇぜシンドリーちゃん!」
「なんだ、だれか出てきたぞ?」
それは細長い脚と丸い体の、黒い丸眼鏡をした男。
女性2人と比べて陽気で元気な声で話しだした。
「驚かせて悪かったお前ら! この女は昔、婚約していた大富豪の主人の愛を試すために主人の宝物の10枚の皿を全て叩き割った所、婚約破棄され顔にハナクソをつけられて追い出されたという不幸な過去を持つ皿嫌いの使用人、シンドリーちゃんだ」
「いや…どうでもいい」
「そして紹介が遅れたこのおれは! 世にも名高きドクトル・ホグバック! 通称"天才"だ! フォスフォスフォス」
「10枚」
「ちょちょちょシンドリーちゃんもういいって! 言うこと聞いてもらえないとおれ、立場ないぜ」
「皿なんてこの世から消えてしまえばいい」
コメディアンめいたやり取りがされ、ウソップはチョッパーへとささやく。
「チョッパー……アレが、お前の言っていた?」
「ドクトル・ホグバック! 本物だ!」
「なんかマヌケっぽいわよ」
「いや~私は親しめそうに思えてきましたよ、天才とか奇跡とか言うからどんな人かと」
胡乱な目を向けるナミと対照的に、フクキタルは笑みを浮かべていた。
カフェはコントが一息ついたタイミングで、シンドリーに声をかける。
「シンドリーさん、その方たちは大丈夫です、4人とも入れてください」
「そうか、お前が言うならいいだろう、じゃあ、カフェに免じて。4人とも入っていいわ、いらっしゃい」
「ちょ、許可ならおれが、」
「とにかく入れてもらうか」
「そうね、外のゾンビよりはマシよ」
ドクトル・ホグバックが言い切る前に他の全員が中に入り、扉が閉まった。
(許可ならおれが……出したじゃん……)
彼は屋敷内ヒエラルキーが低かった。
屋敷のダイニングらしき広間、食卓を囲む椅子にウソップたちが座る。
各席にはマンハッタンカフェが淹れたコーヒーが配られる。(何も言ってないのにチョッパーのコーヒーは砂糖多めだった)
カフェが部屋の隅に控えたのを見て、ホグバックが話し出す。
「フォスフォスフォス! よく来たな我・が!! 屋敷へ!! まったく汚ぇなりをした奴らだなここへ何をしに来た」
「話はいろいろあるんだけど…まず…墓地でゾンビに襲われて、私達ここへ逃げ込んできたの」
「ゾンビか……」
「他にも目を疑うような生き物をたくさん見た、この島いったい何なんだ!」
ウソップの質問に、ホグバックは笑って答える。
「そうか、よく無事にここへたどり着いたな、なによりだ。……質問の答えならこうだ。おれはあれらが何かわからねぇからここに住んでいる」
「じゃあドクトルは今、ここでゾンビの研究をしているのか!?」
チョッパーは楽しそうに聞いた。ウソップらと違い一人上機嫌だ。
「いかにも! たしかにゾンビと聞けば人は恐怖する。しかし、死者蘇生と聞けば、それは全人類にとっての永遠の夢じゃねぇか!」
静かにフクキタルに呼ばれ、砂糖を渡すマンハッタンカフェはわずかに眉をしかめたが、それに気づける者はここには居ない。
「し、しかし死者は供養してナンボですよ? お別れもせずに呼び戻すなんてバチがあたるんじゃ……」
「確かに人の生死を操ろうなど、神を恐れぬ邪道の医学だ。だが、誰しも生き返ってほしい者の一人や二人、いるはずだ!」
フクキタルの脳裏に、死に別れた姉の姿が思い浮かび言いよどむ。
「そ、それはそうですけれど」
「こいつは欲望なんだ、言葉で止められるもんじゃねぇ。だからおれはこっそりとこの島で研究を続けている」
「そ、そういうことだったのか! でもその研究が成功すれば、喜ぶ人はいっぱいいると思う。おれは応援してるぞドクトル・ホグバック!」
「柔軟だな、ありがとうドクトル・チョッパー」
「え~そんな、ドクトルなんて言われても嬉しくないぞコノヤロー」
言いながら、あからさまに嬉しそうに小躍りしている。
「なあ、サインもらってもいいか!」
「いいとも」
ホグバックはチョッパーにサインした色紙を渡す。
「後で研究室を見せて貰ってもいいか!」
ホグバックはチョッパーに鼻が触れるほど顔を近づけて言う
「絶対に……研究室は覗くな!」
その変わり様にチョッパーとフクキタルは目を見開いてビビった。
「プリンをどうぞ」
その時、空気を読まずにシンドリーがホグバックの前にプリンを置いた。皿はないのでダイレクトにテーブルだ。
「え~ちょっとシンドリーちゃん、プリンくらい皿にのせてくれよ!」
「世界から皿なんて消えてしまえばいい」
「こういう時のためにテーブルクロスは死ぬほど洗ってあるから安心しろ」
チョッパーとウソップは置かれたプリンに顔を近づけて食いつく。
「じゃ、いただきます」
「スプーンは使っていいんでしょ!」
フクキタルは気合を入れてプリンに顔を近づけ、ナミが後ろ襟をつかみ止めた。
「あんたもやめなさいみっともない!!」
「ア……アップルボビングで鍛えた技の見せどころかと思いまして」
女性2人に、カフェはそっとスプーンを差し出した。
犬食いをする男3人、ふと気づいたようにウソップは口に出す。
「そうだおっさん……おれはどうでもいいんだけどよ、おれ達より先にここに変なガイコツが来なかったか?」
「「ガイコツ……?」」
ホグバックとマンハッタンカフェはピクリとし身じろぎした後、動きを止めた。
「あ~、アフロで、ノッポで、妙に明るくて……まぁガイコツが動いて喋ってる時点で変なんだけどな」
その言葉にホグバックが困惑した時、マンハッタンカフェは入口へ向かって歩き出す。
「失礼、急用を思い出しました」
あからさまな動きに、ナミはいぶかしげに訊ねる。
「何? あなたの知り合い?」
「……誰であれ、お客様なら歓待するのがこの島での私の仕事です」
そう言い残し、扉を開けてカフェは退室していった。
「なんでしょう? ガイコツに心当たりでもあるのですかねぇ?」
「さ、さぁ? カフェちゃんはオカルト話が大好きだから、それでじゃねぇかな!」
ホグバックの誤魔化すような声で、食事会は終わった。
屋敷の外、懐中時計で時間を確認したマンハッタンカフェは霧で覆われた空を見上げる。
「やはりあなたも、ぬるいコーヒーでは満足できない人でしたか」
そして彼女は駆けだす―――屋敷の上へ向かって、外壁を。
かの者の向かう先は、わかりきっていた。
第4話【ドクトル・ホグバックと2人の女優 後編に続く】
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これまでのあらすじ
ゾンビたちを振り切り屋敷にたどりついたウソップたち。
歓待され、シンドリーちゃんの用意した浴室で女性陣二人は体を洗うことになる。
入浴中のナミが切り出した話は……。
第4話【ドクトル・ホグバックと2人の女優 後編】
「夜になったらここを出る?おめえ何言い出すんだ、泊めてくれるっていってたじゃねぇか」
シャワーカーテンを開けて抗議するウソップに、フクキタルが桶を投げつける。
「……屋敷をちゃんと見渡した? 廊下も部屋も……私の勘が正しければ、すでに屋敷はゾンビだらけよ」
「「「ヒィ~~~」」」
「ど、どどどこにいるんですかナミさん!」
恐怖の予見に怯える三人。チョッパーとウソップは抱き合い、フクキタルは浴室内を首を振って見回した。
「そうなると一番怪しいのはホグバック、それにマンハッタンカフェもね」
「カフェさんが? どうして!? 私たちを助けてくれたじゃありませんか」
「そうだぜ、おれはあいつに命を救われたぞ」
「そこらへんの事情はわからないわよ、生け捕りにしたかったのか、一枚岩じゃないのか」
頭からお湯をかぶり、推測を言葉にしていくナミ。その後ろで湯気が奇妙な形に歪んだ。
「ただ……根拠はある、あいつらとゾンビに繋がりがなかったらこの島で暮らしていけるわけがない。あとは……ゾンビたちの体に数字があったヒルドンの頭にも……それから、あの女の刀にも551って数字があった……この状況じゃ、偶然とは考えられないわね」
「……なかなか、かしこい女だ」
湯舟に入りながら、ナミはなにか声が聞こえたような気がした。
「何…? フクキタル、何か言った?」
「へっ…? なんにも言ってませんよ?」
ナミの腕が上に伸ばされる。
「えっ……なに……手が!?」
隣で見ていたフクキタルは、躊躇なく持ち込んでいた十字架を投げつけた。
「悪霊退散――!!」
「貴様、おいらの花嫁にな、ハウッ!!」
何もない空間で十字架が跳ね返り、宙を舞った。
騒がしくなったことで見張りのウソップとチョッパーがシャワーカーテンをくぐり入る。
「おいっ! 二人ともどうした! うおっ」
そこにはナミが胸を隠し、フクキタルが当てずっぽうで十字架を握り振り回す光景が広がっていた。
「ありがとうございます!」
「お礼言っちゃったよ!!」
「悪霊退散、悪霊退散」
その時、いきなり窓が開き湯気が外へと流れだす。
「窓から逃げてるわ!」
「なんで窓が勝手に! 必殺、火薬星!!」
"何か"いる。それだけは理解したウソップは窓へ火薬星を打ち込んだ。それは空中で爆発し黒煙を上げた。
「おい、ナミ! 今のはどういうことだ」
「悪霊です、やっぱりこの島呪われてるんですよ!」
「違うわ……透明人間よ、ずっとここに居て……全部聞かれてたんだわ。……逃げ切れるかしら」
先行きの不安に、ナミは弱音を呟いた。
風呂場を出て、一行は道すがら話し合った。
ドクトル・ホグバックたちが善人か悪人か、今のは何か、ナミは見物料をとる気か否か。
答えのでないままダイニングに戻れば、そこは明かりのない暗闇の部屋。
「はてさて、先ほど通された部屋に戻ってきたわけですが」
「何で真っ暗なんだ?」
「ここ、さっきの部屋よね?」
誰もいない部屋に向かって、4人は声をかけた。
「ドクトル~!! どこいったんだ~!?」
「かくれんぼでしたら今はちょっとシャレになりませんよ~?」
恐怖に怯え、不安げな声が響く部屋。
その声に答えるものは残念ながら、"いた"。
「お二人はもう、お休みになられましたでし、あなた方も寝室へご案内いたしまし」
頭上からシャンデリアに逆さ吊りになった男が声をかけた。そこに居たのは森で突如消えたヒルドン。
「フンギャッ!!! ヒルドンさん!!?」
「てめェ! さっきはよくも墓場に置き去りにしやがったな! また性懲りもなくご案内だと!?」
「そこが本当の冥界への入口かしら? せっかくだけど私達、今すぐお暇させていただくわ」
「えー、ちょっと待って。もうすこしドクトルと話させてくれよ」
ナミの宣言に抗議するチョッパー。
そこで、横から女の声が会話に入ってきた。
「ホホホ、振られたわねヒルドン」
「ん?」
「放っといてほしいでし、ちゃんと部屋にお連れしまし」
横を見れば、そこには壁に掛けられた絵だけがあった。
絵の中の女が、口を動かしていた。
「もういいじゃない、色々と勘づき始めてるみたいだしヘマをする前に」
「なんで、絵が、しゃべって?」
恐怖するチョッパーに、絵から女が飛び出し、襲い掛かる。
「逃がさないわよボーヤ達!」
「チョッパーさん!」
「絵の中からゾンビが!」
それを合図に、次々と擬態していたゾンビたちが襲い掛かった。
「ブヒヒ、この部屋のゾンビ部長はこのブヒチャック様だ。部屋から出られると思うなよ!」
「そいつらを捕まえろ!」
「おれの背中にいつまでも乗ってる奴は誰だ!」
敷物のゾンビが盛り上がり、ウソップを跳ね上げた。
「ぎゃああ、ナミの言った通りだった。やっぱり、この屋敷は! ゾンビで一杯だったんだ!」
「コンニャロ! ……?」
フクキタルが敷物を叩くが、薄くやわらかい胴部は手ごたえがない。
跳ねあげられたことでシャンデリアに乗ったウソップは、燭台から蝋燭を外し火をつけて投げまくる。
「お前たちの弱点はわかってるんだ、全員くらえ!」
「あぶねぇ! 火事になるぞ」
怯んだ隙にチョッパーとナミは走り、屋敷の入口へと向かう。
フクキタルは部屋の中央で腕を振り回し牽制しながら後ずさって追う。
「とにかくここから逃げるわよ! ……??」
ノブを掴み扉を開こうとし、押し、引き、固まるナミ。
「なにやってるんだ……ナミ?」
「お、おいまさか!」
追いついたウソップとチョッパーは顔を青ざめさせた。
「扉が開かない! 閉じ込められてる!!」
振り返り、敷物のゾンビの一撃が入口付近を薙ぎ払う。間一髪回避した3人は部屋へと引き換えすはめになった。
「とにかく逃げるぞ、この部屋はあぶねェ!」
「逃げるって、どこにだ!」
「どこへだっていい別の部屋だ!」
部屋に残っていたフクキタルは、戦いながらつぶやく。
「……レンガのゲート?」
「どうしたフクキタル!」
左右を見渡し、"それ"らしいものがないか探すフクキタル。
3人は(それとゾンビも)、突然わけのわからない行動をするフクキタルを数秒眺めた。
「レンガ……レンガ……! こっちです!!」
暖炉へ向かって走るフクキタルを追いかける3人。
後ろをゾンビたちの拳や剣が飛ぶ。
たどり着いた4人、行き止まりでもはやここまでかと思ったその時、暖炉の奥がぐるりと回転し彼女たちを外へと放り出した。
ゾンビたちは突如消えた侵入者に困惑する。
「おい、あいつら消えたぞ! 暖炉で!」
「しまった、隠し通路が開いたんだ!」
「なんでこの屋敷の構造を知ってるんだ!?」
「向こうから扉を抑えている! ホグバック様の研究室に行かれてしまうぞ!」
直接追えないことに気づき、ゾンビたちは手分けして屋敷を捜索しだした。
廊下に放り出された4人。チョッパーはフクキタルの起こした奇跡に目を輝かせた。
「スゴイな、占いか!」
「わ、わたしじゃないですよ。」
手を振り、否定するフクキタル。手を広げ、何かを感じるかのように体を揺らす。
「この島の誰かが導いてくださいました。シラオキ様ではありませんが、神様かそれに近しい存在を感じました」
「……こんな場所だもの、もう何がいても驚かないわ」
「さてと、急がねぇとすぐに追いつかれるぞ。どっちへ行けばいいんだ?」
回り込んでくるまでの時間は一握りしかない。
悩むウソップに対して、フクキタルは指で廊下の闇を指し示した。
「……こっちへいきませんか?」
明かりのない通路の突き当り、扉が闇に浮かんでいる。
「また導き?」
「ハイ、左回りに走れとお告げがありました」
「なら行こうぜ、こんな狭いところであいつらに追いつかれたらヤベェ」
扉を開けて部屋に入ると、そこは大小さまざまな写真が額縁に入れられて壁に掛けられていた。
それに写されているのは全て、同じ女性だ。
「これは、お皿が嫌いなシンドリーさん?」
「写真がたくさんあるぞ?」
「あらためて見るとキレイな人ね」
「でもあいつはよ、顔にも体にもすごい縫いキズがあったぞ」
チョッパーは写真と実際の違いを指摘した。
「確かに……ここの写真にはどれにもないな。別人ってわけでもないだろうし、昔の写真か」
ナミは考え事をしながら歩き、おもむろに机に積まれた紙を手に取った。
「ビクトリア・シンドリー……ずいぶん有名な舞台女優だったみたい」
「ナミさんそれ、新聞ですか?」
「舞台女優? この屋敷に来る前もどっかで使用人をしていたとか言ってなかったか?」
ウソップは首を傾げた。皿を投げられた身なので、話に聞いた経歴は真実だと思っていたが。
ななめ読みをしながら、新聞記事の要点を拾うナミ。
「これを見る分にはそんな経歴とは思えないわね、貴族の生まれで子供のころから人気者。劇団の2枚看板の一人で……えっ?」
「どうしたんだ? 続きを読んでくれよ」
読み上げるのを止めたナミに、チョッパーが続きをせがむ。
青ざめた様子でナミは、その続きを口に出した。
「舞台から転落……彼女、10年前に事故で死んでる」
「え~~何言ってんだよお前」
「ほら、ここ見て!」
床に新聞記事を広げるナミ。ウソップは指で示された部分を読み上げる。
「女優シンドリー、舞台から転落して死亡。先日のマンハッタンカフェから立て続けの悲劇に、ファンの悲しみは留まることを知らない!?」
マンハッタンカフェ、ホグバックとの話し中に突然どこかに出かけたウマ娘。
シンドリーとも親しげに話していた屋敷の使用人。(バリスタという単語は、ウソップたちの頭に記憶されることはなかった)
「そ……そういえば島にいたころ聞いた覚えがあります、シャンデリアの下敷きになった女優の大先輩がいたとか」
怯えた様子でフクキタルは、幼いころに聞いた怪談話を思い出す。
「な、なに言ってるんだよお前、生きてたじゃねぇかよあいつら」
「まさか、まさかよね!?」
「それじゃああいつらは一度死んで生き返ったことになるのか!!?」
「この島にいるのは、本物のゾンビだったということに……!?」
恐怖の真実に一行はそれぞれの顔を見回し、
「「「「ぎゃあああぁぁぁ」」」」
甲高い悲鳴を上げた。
次回予告
墓場で、屋敷で、節操無く暴れまわる麦わらの一味、戦闘員組。
道中大けがした年寄りから七武海ゲッコーモリアの名を聞き、この島の敵を知った。
突き進みながらも姿を消すサンジ、ゾロ、ルフィ。
一方、ウソップたちがたどり着いた研究室にはホグバックとシンドリー、そしてベッドに寝かされたウマ娘のゾンビ。
彼らの後ろからヨホホと声をかけた男の正体は。
第5話【サムライ・リューマ】に続く