reconnaissance
フィリア side in
行動を決めた当日、市内を見渡せるビルの屋上にて、アーチャーと私は標的であるキャスターの屋敷の観察をしていた。
「あれが奴さんたちの拠点か」
アーチャーが片目で観察しながらそういった。
「ええ、ただ外からは無理ね十重二十重に結界が張られてる」
明らかに現代魔術──西洋魔術とは形式の異なる結界を見ながら呟く
「明らかにキャスターが改良を加えてるわね…」
「キャスターか、確かアサシンのマスターを倒したのは…」
「ええ、おそらくキャスターね」
そう言って懐からジップロックに入れた黄色い布を取り出す。
「黄巾…そして明らかに東洋の魔術系統、ここまで来れば聖杯戦争に参加する魔術師なら真名を絞れる」
───張角
「黄巾の乱を起こした軍師、仙人から術を授かった導師として魔術世界では捉えられてる傑物よ」
「へぇ…ただの狩人の儂じゃ見劣るな」
「確かに、ただこれは戦闘ではなく狩りよ」
そう言って指をならすと邸宅から火が複数箇所より上がる
「中から出てこないならいぶり出すまで」
邸宅内に複数の術式を刻んだ使い魔及び発火装置をつけた野生の動物を放ち適当なタイミングで発火させる。
「とある聖杯戦争ではビルを爆破解体した魔術使いもいたそうだけどあのタイプの家屋じゃそれは不可能、ただ木造だから火には弱いのよね」
そう言って家から飛び出してくる人を確認する。
「…使用人ばかりね、マスターと思しき人物は無し」
「ふーむ…となるとあそこの蔵が怪しいな」
唯一火の手が回っていない蔵を見ながらアーチャーが進言してくる、確かにあそこまで本邸が燃えているのに蔵に火が回っていないのは異常といってもいい
「…火の手が収まり次第向かうわよ」
「了解した」
そう言って私たちは1度その場を離れた。
フィリア side out
神永 side in
「と、ここまでが前置きだな」
お茶で喉を潤しながらフィリアは口にする
「───は?え?家を、燃やした?」
「ああ、それが最も安全且つ簡単な方策だったからな」
なんでもないように言い放つフィリア
「まぁ君たちからすればこの聖杯戦争に無関係な使用人を巻き込むなと言いたいだろうが魔術師の家にいる使用人は少なくとも"こちら側"の住人だ、問題は無いだろう」
「神秘の隠匿的には?」
「問題ない、複数箇所に燃えカスのタバコを置いてある、警察側ではタバコのポイ捨てによる出火として扱われるだろうな」
協会側の根回しもあるだろうしと言い一息つく
「さて、続けるか」
そう言って再び話を再開する、その話からはキャスターの恐ろしさが伝わってきた
神永 side out