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ヘルメリウスとマンドリカルドの出会いの話、なんでも許せる方向け。


100%何もかもが捏造

生前マンドリカルド注意

一応ヘクトールの鎧を手に入れてからデュランダルを手に入れるまでの間くらいの時系列のつもりです。



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 運が悪いにも程がある。


 目的のない放浪の最中、たまたま一緒になった行商人がどうやら盗賊の類だったらしく、食事に毒を盛られ動けないところを身ぐるみ剥がされた。命まで取られなくて幸運だったというべきか、警戒を怠った俺が阿呆だったというべきか。

 ……あの頃は色々と未熟だったもので。


 とにかく一文なしの上に馬も武器もないときた。

 そんな時に獣の群れにかち合ってしまった。ステゴロで何匹か殺し、残りをなんとか撒こうと逃げたはいいものの、飢えた獣たちはとにかくしつこかった。森を抜け、草原を駆け、また森を通り……。今思えばあれはただの獣じゃなくて魔獣の類だったんだろうなぁ。


 あっ、これは死ぬ。

 

 そう思ってしまったのも無理はない。

 目の前には獣の群れ、対する己は丸腰だ。

 背後にはそびえ立つ崖。とてもじゃないが登れるような高さではないし、ずっと逃げていたのでもうそんな体力は残っちゃいない。

 もう限界だと膝が震える。座り込みそうになるのを堪えて立つ。せめて少しでも道連れに……。


 背後から蹄の音がした。


「おい、大丈夫か?」


 どうやら背後の崖を馬で駆け降りてきた頓狂な誰かがいたらしい。

 息も切れ切れで声が出せない俺を前に、その男は言った。


「まあいいか、俺の荷物持ってろ。死にたくなきゃそっから動くなよ」


 投げ渡された荷物をなんとか受け止めて男の姿を見る。白黒混じりの髪に輝く鎧、しかし腰に差しているのはただの木刀だ。


 馬を駆り獣を荒々しい太刀筋で叩き斬っていく姿から、不思議と目が離せなかった。


 つまるところ俺はこの人に、運命的な何かを感じてしまったのだ。


 そして俺がようやく動けるようになったのは、獣が一匹残らず木刀で始末されてからだった。とにかくお礼を言わねばと声を絞り出す。


「あの、ありがとうございます。助けてくださって」

「そういう気分だったからな」


 欲が出た。少しでもいいからこの人のことが知りたいと、いくつか問いを投げかける。


「……その、あなたの名前を伺っても……? 見たところ、高名な騎士の方なのでしょう? その鎧、それに馬も立派なものです。……それなのにどうして木刀を?」

「は? もしかしてあんた、俺のことを知らねぇの?」

「申し訳ございません!」

「しょうがねえから教えてやるよ。……俺はマンドリカルド。デュランダルを身につけるまで剣を持たぬと誓ったタタールの王だ」

「ひえっ、王様であらせられましたか……。とんだ失礼をば……」

「……追われてたとはいえ、あんたはどうしてこんなところにいるんだ? 丸腰でこの辺りをうろつくなんて、獣の餌になりにいくようなモンだと思うが」


 この立派な王様に俺のみじめな現状を伝えるのは少しためらわれた。ただでさえ鋭い目つきがどんどん鋭くなっていくので、本格的に機嫌を損ねる前に諦めて口にする。


「……盗賊に毒を盛られ身ぐるみを剥がされました。馬も、武具もその時に失くしました。……王様に払えるような謝礼を、俺は持ち合わせておりません」


 王様は額に手を当て、ため息をついて天を仰いだ。そしてなにかを決断したようにこちらを見据えた。


「よし、あんた今日から俺の荷物持ちな」

「……え?」

「なんか文句あんのか? 俺は荷物を持てとは言ったがいつまで持てとは言ってない。つーわけで黙って俺についてこい」

「いえいえ滅相もないですよ! むしろ本望というか……その、えっと」

「ああ? 言いたいことがあるならはっきり言えよ」

「ありがとうございます! 誠心誠意お仕えさせて頂くので、やっぱりやめたはなしですからね!」

「うわ、うるっさ」


 俺は荷物を抱えて歩いてついていく。見かねた王様がひょいと俺を馬に乗せた。


 こうして、俺と王様との旅は始まったのだ。




 ──お気に召しましたか、マスター? うんうん、王様はカッコいいですよね。よく分かります。他にも色々王様のカッコいい話が……って、王様? いつの間に後ろに。怖い顔してどうしたんですか……いたたたたたっ! 肩掴まないでください! え? マスターに黒歴史を吹き込むな? ……黒歴史なんかじゃないですよ、ちゃんとカッコよかったですもん! ね、マスターももっと話聞きたいですよね? 聞きたいですよね!?


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