猫いらず
我が子からの殺鼠剤ルート
勇作さんと姉様の息子(息子の独白)
母はどんな人だったか、ですか。変わった人だったんだと思います。女だてら銃が得意で、鳥や獣を撃って俺を養ってくれました。近隣の猟師も一目置いていたようで、近くの山で熊が人を襲った時は熊狩りに駆り出されてましたね。俺は母に憧れて銃の扱いを教わりました。基礎からみっちり叩き込まれたお陰で母ほどではありませんが中々の腕だと自負しています。
失礼、話が逸れました。母はお喋りな人ではなかったです。無口でもなかった。俺が銃のことを聞いたらそれはもう流暢に喋って面食らったことがありますから。でも自分のことは殆ど話さなかったです。母の家族のことも、父との馴れ初めも、俺は何も知りません。だから今日まで俺の親戚は父方だけだと思っていました。
……でもね、花沢勇作さん。俺はあなたのことを知っていました。そうです、初対面です。俺も母に弟がいるだなんて今日初めて知りましたよ。
父の戦死が知らされて暫く経った頃だと思います。まだ幼かったですがよく覚えています。母がぽつりと零すようになったんです。ユウサクって。あなたのことですよね。母は知っていたんでしょうね、あなたのことを。
俺はユウサクが誰なのか聞けませんでした。名前を呼ぶ母の顔があまりにも悲しそうだったんです。それに、父が亡くなってから聞くようになった名前です。もしも、もしも。「望まない結婚だった。夫が死んでもお前がいるからユウサクの元へ行けない」そう言われたら。母の本心を聞くのが怖かった。
……先ほど母に憧れたから銃の扱いを教わったというのは半分嘘です。俺は母に。俺のことを見て欲しかった。俺を置いてユウサクの所へ行かないで欲しかった。俺が鳥を狩ってくればおっ母は側にいて撫でてくれたから。だから頑張ったんです。でも、おっ母が無理をしてるのは分かっていました。いつも迷っているようで、それは俺に触れる手のひらで感じていました。ずっと、ずっと…!
だから俺は…! おっ母を! あの時、おっ母は、おっ母は苦しかった筈なのに、何で、何で笑って…!!
〈END〉
息子:ユウサクの正体を知り現在罪悪感が危険域
勇作さん:姉の存在を知って出向いたら甥っ子からデカい爆弾を投下されたお労しい人
姉様:家族を優先して勇作さんの諸々をスルーした罪悪感で幽作さんを幻視。夫の戦死で悪化した。息子のことを愛していたが表現がド下手だった
夫:日露戦争で戦死。姉様が子供を儲けて家族を優先する程には愛があった
◆dLRgV/snvo5/