loser

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フィリア side in

土御門邸で火災を起こし内部の魔術師では無い者たちを外へと逃がした後、内部の捜索をするために邸宅前へと向かう。が警察官に呼び止めまれる

「ちょっとそこの人!危ないから入っちゃダメ!!」

通報を受けた警察官や消防士が慌ただしく現場の周りを回っており本来なら人が入れる状況では無い、が変装と暗示を駆使して中へと入り込む

「失礼、私こういうものでして」

偽造した警察手帳を見せながら暗示をかける。火事の現場ということもあり精神状態が不安定なため簡単に暗示をかけることが出来た。

「───失礼しました、ご協力ありがとうございます」

さっさと邸宅内へと入る。

(マスター、どうだ何かあるかい?)

(いいえ、特に不振な点は見つからないわ)

念話でアーチャーと連絡を取りつつ、邸宅を捜索する。

無論、キャスターの陣地ということもあり本来ならば無謀極まりない行動だ。故に細心の注意を払いつつ

(…おかしい)

最初に感じた違和感は邸宅を半分ほど見て回った時に感じた。明らかに仕掛けが少ない、殆どないと言ってもいいレベルの量だ。

(傀儡兵すらいないだなんて…罠か?)

警戒度合いを上げる、明らかに誘い込まれている。

(…アーチャー、もし獣が自分の存在に気づいた行動をしていたらどうする?)

(本来なら一旦仕切り直すのが定石だが…マスター、邸宅周囲が傀儡で囲まれている退避も厳しいぞ)

…既に囲まれている!?キャスター、まさか自身の工房を囮に…!

「ほ、ほ、ほ。儂相手に火計を仕掛けるとは見誤ったのう若いの」

後ろから声が聞こえてくる、が姿は見えない

「さて自己紹介を、儂は此度の聖杯戦争においてキャスターとして呼ばれた者。気軽にキャスターと呼んどくれ」

「…悪いがそんな風には呼べないな、大賢良師殿」

「ほう?儂の真名に既に気づいておったか」

「あんな所に真名に繋がる道具を置くのが悪い」

「…ふむ、アサシンのマスターに使った黄巾か」

会話を交わしながら右手に魔力を込める、とにかくここからの離脱、それが最優先だ

「そういうことだ、しかし魔術師の癖に工房に執着しないとはな」

「なぁに、ここはあくまで表向きよ他に拠点があるに決まっておろう」

…何!?土御門の工房はここでは無いのか!?霊脈の集合地点であり工房とするならば最も最適なはず…!

「まぁ西洋の考えに染まっておるならば勘違いしても仕方なかろう、かく言う儂もあの発想を実行するものがおろうとは思わなんだ」

やれやれと言ったふうなキャスターの声が響く、悪いがお喋りはここまでだ。

「令呪を持って命ずる…!私を連れて逃げろ!アーチャー!!!」

令呪を使いアーチャーを呼ぶ、右手の令呪一角が消え本来ならばアーチャーが現れるはず…

「おや?来ないのう?」

「なっ!?一体何が…」

「まぁ簡単じゃ、ここに陣を敷いただけじゃよ」

そう言ってなにかの映像が目の前に映し出される、そこには私が放ったはずの炎が八卦図を描いていた

「…!?」

「元々ここの地脈に沿い陣の雛形を書いておっただけじゃよ、あとは魔力を込めた何かを流せばほれこの通り」

「だとしても…、私が炎を放つとは」

「何言っておる、現代においてしかも住宅街で人払いをするならば大規模な陣を組むより制御できる炎を使った方が容易いじゃろ、しかも傭兵崩れの考えならば尚更じゃ」

…全て、読まれて

「さて、ここでお主に出来ることは1つ」

───生きるために何をすればいいかわかるな。

炎が、家屋を崩すそして私は────

そして気がついたら自分の拠点で、しかも右手にあったはずの令呪が全て消えアーチャーとのパスが切れているという結果のみが残っていた。

─────────

「と、ここまでが私の覚えてることだ後は君たちに会うために動いた、それだけさ」

「はぁ!?どういうことだ!」

確か神永と言ったか、その少年が噛み付いてくる

「仕方ないだろ、そこまでしか本当に覚えてないんだ」

肩を竦めながらタバコに火をつける、実際覚えていないのだからしょうがない

「記憶を制御するなんて高等な術、キャスターと言えども簡単に使えるとは思えないのですが…」

「…記憶を消すのではなく定着させないなら簡単よ、実際そう言った魔術薬は存在するもの」

「ならなんで俺たちに…」

「簡単だ、私の敵討ちとは行かないがあのいけ好かないジジイが優勝するのが気に食わないそれだけさ」

「貴方はこの後どうするの?」

「教会で保護してもらうさ、金は必要額は振り込んであるし後は野となれ山となれだ」

「…なあ、あんたはなんでこの聖杯戦争に?」

「別に変な話でもない、金が必要だったからその流れで参加することになったのさ」

そう言ってはぐらかす、聡明な少女は気づいたのかこちらの意図を汲んでくれた様で

「…わかったわ、詳しい話は聞かない」

「な、美作…!」

「別にいいでしょ、私たちに関係有ることでは無いのだし」

「ムググ…」

微笑ましいやり取りを見つつ腰を上げる

「さて、私のやることは終わった健闘を祈るよ」

そう言ってこの家を後にする、少年たちがお礼を言っていたようだが気にする程でも無い、本当にただの嫌がらせなのだ

「…さて、教会に向かうか」

そう言って日が沈んだ街を歩いていく

フィリアside out

───

敗者は多くを語らず、ただ闇に沈むのみ

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