atナイトプール

atナイトプール

 

 

 薄暗い通路を抜けると、そこはモモスタで見た豪華なナイトプール――

 だけでなく、


「見てください10号!このミレニアムが誇る超天才デザイナー兼トップモデル兼発明家が開発した水上用特殊外骨格……その名も! エビ・アシュフを!」


 エビ。


 アリス10号は視界に入ったものの存在を疑いました。目の前にいたのは巨大で真っ赤なエビでした。ヒマリ部長はエビに抱きしめられていました。

 顔はアニメっぽいデフォルメがされていますが、ハサミはやたらリアルに作り込んであります。痛そう。

 丸くなった尻尾の内側にヒマリ部長のお尻がすっぽり収まっています。……そこには足とかいっぱいあると思うんですけど、いろいろと大丈夫でしょうか?


「つまり浮き輪……ライドフロート?ってやつ」

「エイミ」


 アリスの後ろからエイミが出てきて言いました。

 ヒマリ部長を抱き締めるエビをもう一度よく見ると、ビニールのような部分が所々に見えました。どうやらすごく凝った塗装がしてあるみたいです。

 エイミはいつかの作戦で使ったという黒ビキニでした。今日はマフラーなどの耐寒装備は着けておらず、水着だけ。エイミのとてもとてもすごいあれこれがこれでもかーと強調されています。


「わぁー! すっごく似合ってます!」

「ありがとう。10号」


 アリスも成長したらああなれるのでしょうか?

 そういった改造パーツがあるのは知っていますが、エンジニア部公式からは出ていないので、装備するのはちょっと怖いです。


「このエビ・アシュフはツインドライブシステムを搭載し、プールを縦横無尽に動き回れるのです!すごいでしょう?」


 ツインドライブシステム?

 すごくかっこいい名前ですけど、あのエビからはメカメカしさを感じません(むしろ生々しいです)。

 エイミがヒマリ部長の下を指さしました。

 ……よく見るとトキが、エビの下で、ヒマリ部長をエビごと支えていました。一人だと大変なのか、腕がプルプルしています。あ、エイミも加わりました。

 なるほど。ツインドライブシステムというのはつまり、エイミとトキのことでしょう。エイミとトキがヒマリ部長を左右から動かすみたいです。

 トキはスク水でした。大きなひらがなで、「とき」と書いてあります。

 ナイトプールで着るようなものではないと思いますが、トキのスレンダーな体型にはフィットしていました。

 ユウカが7号お姉ちゃんに着せていたのを思い出しました。イメージビデオ?を撮ろうとしていたらしいですがよく知りません。ちなみにその時撮った写真は、火災にあったらしいです。


「トキもかわいいです!」


 トキは返事する余裕がないのか、指でピースを作りました。


「そして搭乗するのはこの私!夏の夜を照らす宵の明星――」


 エビのハサミや足が動き、ヒマリ部長にポーズを取らせます。グラビアアイドルみたいな、手を後ろに回して腰を捻るやつ。


「ヒマリ!」


 ヒマリ部長の水着はエイミとは対照的に白い――


「10号も早くこっちに来てくださいみんなで写真を撮りましょう!!!!!」

「は、はい!」


 アテナ3号先輩に頼んで、盛れる画角から写真を撮ってもらいます。


「ルート4の正の平方根はー?」


 にーーーー!!!!!


 アテナ3号先輩が高速で飛び回り、写真をたくさん撮ってくれました。

 アテナ3号先輩に生のデータを送ってもらいます。うん。よく撮れています。これならユウカに見せても大丈夫。たまにあるちょっと過激な写真は消しておきましょう。

 アテナ3号先輩は水面に写真を写してくれました。

 みんなの笑顔が映っていました。



 その後体を洗っていたヴェリタスのみなさんと合流し、楽しく遊んだのでした。






































「……ところで10号。少し寒くないですか?」

「? 普通だと思います」

「むしろまだ暑い……」

「夏の夜はこんなものですよおばあちゃん」

「ヒマリ。確かこのエビ加温機能があったよね?」

「あぁそれは温水を注入する――」

「このボタン?押してみよう!」

「押しましょう!」

「マキ、3号、ストップ」


 ぽちっ。


「まっ! 沈む! このプール! 深いッ!」

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