ifルート「触手部屋」の「ifバッドエンド」
私は元スレのスレ主様ではありません
スレ主様の投稿されたifルートである「触手部屋」のさらにif(バッドエンド)を書いても良いと許可をいただけたので書かせてもらいました
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その触手がウタの左腕をも絡め取ろうと蠢き、ゾワリゾワリと肩まで這い進んできたところで触手の動きが止まる。
知性どころか生物としての本能があるのかすら疑わしい、悍ましきバケモノ。
その触手がまるで何かを感じ取っているかのように左腕の肩口で止まっている。ウタの他の部分を這っていた触手も同様に動かなくなった。
「……ァえ?ひっぎっ♡ふゥっ♡うゥ゛う~……!」
全身への刺激が急に止まったため気の抜けた声が出てしまうが、直後に強烈な快感が脳を突き刺す。
両耳から内部に侵入していた細い触手が急激な勢いで、だが内部を決して傷つけることなく一気に引き抜かれ、それと同時に全身も解放される。
「あ゛っ♡ぐっう……はひっ、ひっ、はー……ァっ♡」
どういう性質の液体なのか、耳の中には一切粘液が残っておらず、ダイレクトに自分の声が聞こえてくる。
ヘッドフォンを外され、物理的にも聴覚的にも塞いでいた触手から解放された耳に響く自分の声が酷く煩わしいが、それでも息を整える。
触手がなぜ動きを止めたのか、そしてなぜ自分を解放したのかはわからない。だが、進むならば今しかない。
「ウタ、大丈夫か!なにがあったんだよ!?返事してくれ……!」
「ら、だい、だいじょ……ォぶ!すぐに、いくから!」
「ウタ……!」
触手のせいで聞こえなかった間も声をかけてくれていたであろうルフィに返事をする。
私からの返事がない間は不安だっただろう彼を少しでも安心させられるようにと。
実際、私が返事をしたことで彼の声は少し安堵の音が混じっていた。
大丈夫、私が必ず守るから。
「っう、ぐ……ひっ♡ル゛、フィィ……!かな、らずゥ…………!」
刺激が止まったとはいえこれまで積み重ねられた快感で思考も体もうまく動かない。
左腕以外は粘液が残っているため、進むことに関して大して役に立っていない。
それでも、左腕1本だけでも、たとえどんなに弱弱しかろうが進む。
ぼやけた視界の先に見える、大切で幼馴染。ルフィを助ける。守る。
その一心だけで這って行く。
「はっ……!ふうゥっ……!」
首輪や薬がもたらした根底の疼きは消えていないが、刺激されていなければ当然少しずつ収まってくる。
体の動きもだいぶ戻ってきた。
はやく、はやく、はやく。
あのバケモノは今は止まっている。そう、今は、なのだ。
いつまた動き出して全身を絡め取ってくるかわからない。
そんな不確かなものを頼りにする気はないし、なにより一刻も早くここから脱出してルフィを解放しなければ。
そう必死で進むウタに、ビヂャリ、と絶望の音が聞こえる。
「ぐっ、この……!」
その音が聞こえたと同時に足首を掴まれ、くい、くい、とゆっくり手招きするかのようなリズムで引っ張られる。
最初の時のような力強さはないため左腕だけでも対抗できるのだが、そこに粘液のぬめりが加わるせいで少しずつ後退してしまう。
引っ張られる。手招きの合間により多く進む。引っ張られる。進む。引っ張られる。進む。
一度の距離はこちらが僅かに上回るものの、終わらないシーソーゲームのようなそれは確実にウタの体力を奪っていく。
「はー……はァっ、はァー……ふー……」
披露に夜息切れも汗もここで体験した大半に比べればいっそ清々しい。
妨害されていても進んでいる、体力が尽きようとも気力だけで進んでやる。
そうして部屋の半ばまで進んだウタの体に対し、触手はまた這い始める。
「っふ、んゥ……♡……!」
太腿に感じるその感触に思わず艶のある声が出てしまい、慌てて口を押さえる。その瞬間引っ張られてしまったため、ズルリと引き戻されてしまう。
失態だ。
部屋の半分まで進んだという事はそれだけルフィとの距離が近くなったという事であり、聞かせたくない声を出したことによるとっさの行動で小さくないマイナスを生んでしまった。
反省とともに強く口を噤み進む。
太腿から腰回りに這いあがってくる。気持ち悪い。
背中をなぞり、脇腹を擽られ、胸を嬲られる。気持ちよくなんかない。
体がビクビクと跳ねる。ただの反射だ。
肩や首筋をちろちろと舐めるように這い回る。やめろ、気がちる。
右腕を丸ごと抑えられる。じゃまを、するな。
「ふゥ゛ーっ……!ゔゥ゛ー……!っぐ、ゥー……!」
触手が体を覆う部分が増えるたび出そうになる声を必死で押さえつけ、体から抵抗の力を奪おうとする快感を邪魔だ消えろと捻じ伏せる。
ウタはまたもや体のほとんどを覆われ、露出しているのは左腕と首から上だけだ。
それでも進むための手段と進む意志が残っている。まだ、負けない。いや、絶対に負けない。
そんなウタにゾクリと悪寒が走る。それと同時に触手はウタの女性器に触れていた。
イヤ!本能的な怖気からくる叫びも意志の力で無理やり飲み込み、わずかに頭をそらして触手をにらみつける。そんなことは無意味だとわかっていても、湧き上がる怒りと蔑みでそうせざるを得なかった。
「最っ低……!」
油断していたといえばそうなのだろうか。
前回も今回も外的要因が"そこ"に触れてくることは無かった。
私達の感覚と感情を弄り、捻じ曲げ、自分とルフィにそういうことをさせるのが狙いだと思っていた。
こんなわけのわからない空間ではそんな考えが通用するはずもなかたのだ。
「っひ、ゃ……♡やめっ♡いやっ……!」
肌をはい回られるよりも強烈な快感が襲ってくる。聞かれたくない、聞かせたくないと必死に紡ぐも漏れ出てしまう。
ルフィの方をちらりと見ると聞こえてはいない様子で少しだけ安堵した。
するとカシャリ、と音がして、目の前には私のヘッドフォン。
触手に取られたまま置いてきてしまったそれがなぜ目の前に? と思う間もなく、触手がそれをつかみどこかへ……いや、ルフィの元へ向かって伸びていく!
その瞬間、怒りが思考を染め上げる。
「っ!う゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
決して大きな声ではないが、腹の底に、いや、全身に力を込めて唸る。
ルフィに何をする気だ。何かしたら粉々に引きちぎってやると殺気を迸らせ、衝動のままに前へと進む。
怒りの力か大きく前進するも触手を止めることはできず、ルフィまで近づいた触手はその鎌首をもたげルフィに――。
「やめっ……!」
「うわっ、なんだ!?」
カシャリ、と。ヘッドフォンを付けた。
「……は?」
「これ……ウタのか!?う、ウタ!無事か……!?どうなってんだ!?……くそ、なんも聞こえねえ……」
今までの経験からルフィにも何かされると思っていた。だからこそあそこまで怒り、憎悪したのだ。
本当にそれだけが目的だったのか、触手はスルスルと戻ってきた。
あまつさえ、挑発するかのように目の前でちっちっちっとでもいうようにうねり、ひっこんでいった。
「はっ、はは、ハハハハ。アハハハハハハ!」
この野郎。
挑発するかのように、じゃない。明らかな挑発だ。
先程とは別種の怒りが湧き上がるが、直接ぶつけようにも弾力と滑りのあるコイツには殴る蹴るじゃ効かないだろう。
ならば、もたらされる刺激を踏み倒して一刻も早く脱出するのがこいつらへの復讐になる。
ルフィにヘッドフォンを被せた事も後悔するといい。声を気にしないで済むのならば逆にできることもあるのだ。
そうして怒りのまま進もうとして……自分の脚にこれまでの触手とは違った硬く熱いナニカが触れたのを感じた。
「!?ちょっ――」
ちょっと待ってとそう言って振り返ろうとしたウタの頭は押さえられ振り向くことができない。
下半身に感じたソレは、まるで形を想像しろと言わんばかりに太腿をぴたぴたと叩いてくる。
嘘だ、信じたくない。そんなワケない。
それは明らかに男根を連想させる形で、ウタの脚を叩きながら女性器の方へ近づいてくる。
嘘だ。ウソだ。うそだ。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、とそれが表面をなぞる。
嫌だイヤだいやだ。
入り口にピタリとあてがわれる。
やめて。いやだ。お願い。いや。やだ。
体がカタカタと震えている。最悪を連想させられて気持ちの悪い汗がじっとりと拭きだしてくる。
セックスに関する知識はある。自分も相手ができればいずれそういう経験をするんだろうなという理解もあった。
だが、こんなわけのわからない空間で人ですらないバケモノに今奪われようとしている。
「ふぐっ、う゛うゥ……う゛く゛~」
それが恐ろしく、悍ましく、汚らわしくて涙が出てくる。
心が折れたわけではない。むしろ、屈して溜まるかとより強く心を保っている。
ただ、理性も本能もすべてがこの事態を拒絶してるがため、勝手にあふれてくるのだ。
必死に進む。ピタリと吸い付いてるかのようについてくる。振り払えない恐怖と共に進む。
奪われること自体も嫌だが、もしそうなってしまったらここを突破しても確実に体に悪影響が出る。
そうなるとルフィに気づかれる。
ルフィが動けない間に私に何か重大な事が起きたと知られてしまう。
彼がしつこく食い下がっても私がだんまりを決め込めば詳細を聞くことはしないだろう。
だが、確実に彼が心に抱えるものが増えてしまう。
そんなのはだめだ。そんなことは到底受け入れられない。
「ぜっ、だい゛……!ぞん゛っ、な゛の゛、や゛だっ……!」
これ以上私が原因でルフィに重荷を背負わせたくない。守ると決めたのだ。
その願いも虚しく、これ以上動けないように腰を押さえつけられ、ずっとついてきたそれがグッと力を籠め――。
「!?っ……!」
ヘッドフォンをしているとはいえルフィに聞こえる可能性を少しでも減らすために口を閉ざし――その硬い触手はまるで最初からなかったかのように消えた。
「は……? ァ……? は、はは……」
何が目的だったのかまるで理解できず、呆けた笑い声を出す。
助かった、などとは到底思えない。
ソレが消えただけで他の触手は依然として体中を這い回っているし、ゴールしなければルフィを解放できないのだ。
一度動きを止めた時みたいにあくまで一時的なだけであって、いつまたそうなるのかわからないのだ。
「は、ァ゛っ……もう、少し……、絶対、抜け出して、や゛るっ……!」
ルフィまでだいぶ近づいた。もういろんなところがドロドロで、グチャグチャで、ボロボロだけれども。
想像していなかった最悪をいくつも想像させる事態がたくさん起きたけれど。
危機的状況からの脱出のうちいくつかは触手、あるいはそれを操るものの気まぐれで助かったのかもという事に腹が立つけれど。
もうすこし、もう少しだけ近づいて、なんとか立ち上がって、スイッチを――ズゾュル――はぇ?
「っ!? ぎっあ、がっ!? ひィっ♡や゛っ、こごっ、まァっでェうっ♡」
ウタの進みに反比例して動きがだんだん弱まっていた触手が、最後の最後。希望がもうすぐウタの手に届くというところで耳の中に侵入してきた。
それと同時にほぼ動きを止めていた全身を覆う触手も活発に騒めきだす。
「はゃっ♡あっ♡ごの゛っお゛ォ゛♡なァン♡でっ♡きゅ、にィ……♡」
ルフィがすぐそばにいる。手を伸ばせば触れられる距離にいる。
なのに抑えるべき嬌声を抑えられない。
「る゛ゥっ……ふひィ……い……♡きか、きかな、で……♡」
ヘッドフォンを付けられているとはいえこの距離ではきっと聞こえてしまう。いやだ。またしても。なんでルフィにこんな声を聞かせなければならないのか。
「っふぐっ♡う゛ゥ……♡っあ♡ふゥ、う゛ー……♡」
クチョクチョピタピタズルズルと頭の中に響き渡る音と快楽に耐える。
もはや力もまともに入らない体を動かし、脳を直接弄られるかのような感覚の中でもゴールを目指し腕を上げ……グジュル、と触手の壁に飲み込まれる。
「は、やっ♡なん♡こ゛っれぇ♡なっあ♡あっ♡あっ♡あ゛っ♡」
時間制限はなかったはずなのに、頭に浮かぶのは時間切れという四文字。
うそだ、そんなわけがない。でもこれはもはや妨害ではない。捕食だ。
「や゛あ゛ァっ♡や゛っ♡だしっ♡ん、ぐっ♡」
出して、懇願しそうになるが飲み込む。出して、ではない。出て行ってやる、だ。
こいつらに媚びたりしない。まだ心は折れていない。こんなやつらに……。
「あ?がっあゥいあああ゛っ♡ィぎっ♡……ゥア?」
肉の空間の中、ひたすら全身を愛撫される。体の表面だけでなく耳を通して体の中からも刺激され、快楽に板挟みされた意識は飛んでは戻って来て戻って来ては飛んでとすでに朦朧としてきている。
それでも耐える。ルフィを助けるために。ここで自分が折れてしまってはルフィも助からないのだ。
もし、左腕も一緒に取り込まれていればその瞬間に奮起していたかもしれない。
もし、今目の前にあの誓いのしるしがあれば飛ばされ続けても意識を、自分を保てていたかもしれない。
だが、触手は最初に離れた時同様その左腕には一切干渉しなかった。
「ゥあっ♡やあ、だァ……!ゥ♡」
第三者がその光景を見れば、巨大な肉団子から人間の細い手が1本生えているという気味の悪いオブジェとして移っただろう。
彼女の心の芯にして、不可侵たる幼馴染との繋がり。その起爆剤がない今、彼女のココロはゆっくりと、だが確実に蝕まれていった。
「ァ……?♡はっ……へっ♡ひっ♡うひっ♡ひっィ、ひひっ♡」
そうして普通の人生では考えられないほどの刺激にさらされ続け……ブツリ、と何かが切れてしまう。
口はだらしなく開きっており涎と共に白痴のごとき笑い声をあげている。
どうにか脱出しようともがいていた体はベッドで寛ぐかのように弛緩し、触手の壁に身を委ねている。
彼女の強い意志を宿していた瞳はドロリと濁っており、もはやどこをみているのか、いや物を見ているのかすらも不確かだ。
これから先彼女がどうなるのか彼女にはもうわからないし、最後の最後まで守りたいと願っていた少年のこれから先もわからない。
唯一の救いは、彼女がその事を思い返すことがもうないことだろう。
自らの心の支えだった幼馴染も、アームカバーに宿した誓いも、今は"外"にあるのだから。