(if)FOX小隊vs最悪の二人
「───ッ!」
狐の仮面が砕け散り、『災厄の狐』こと狐坂(こさか)ワカモは地面に倒れた。
ヘイローは消えている、完全に気を失っているのが確認できた。
《目標沈黙、FOX2、FOX3目標を確保しろ》
《《了解》》
FOX小隊のリーダー、ユキノの命令に従い
ニコ(FOX2)とクルミ(FOX3)が前に出る。
《待って!皆、誰か来る!》
《《《ッ!?》》》
後方でスナイパーライフルを構えていたオトギ(FOX4)が静止をかけた。
「いやぁ~、流石はFOX小隊!!SRTの中でもトップクラスの実力を持つだけの事はあるねぇ~♪♪」
楽しそうに笑みを浮かべながら現れたのは、白いコートとガスマスクを着用した生徒だった。
《な、なんでここに生徒が?避難勧告はされてる筈なのに・・・》
《・・・【髑髏に薔薇】?何あの校章は、どこの学園の生徒???》
困惑するニコとオトギ。オトギはSRのスコープであの生徒の校章を見ていたらしいが、私もその校章に見覚えがなかった。
「おい!!そこで止まれ!!!止まらなければ撃つぞッ!!!」
所属不明の生徒にクルミが銃を構えて叫ぶ。
ドドドドドドドドドッ!!!
「───がぁ!ぐぅッ!!!」
《《《《ッ!!!????》》》》
突然、所属不明の生徒は────
“気絶していたワカモに発砲した”。
「おはよ♪ワカモちゃん!」
「────っう・・・あぁ、アレスちゃんでしたか。起こすならもう少し優しく起こしてくださいよ」
「えぇ~?これでも優しく起こした方だよ~??」
所属不明の生徒と災厄の狐が親しげに会話を続けている。何が起こっているのかはわからなかったが彼女達の関係は理解できた、彼女達は──────
《共犯者だッ!拘束しろッ!!!》
《了解ッ!!!》
ユキノの叫びにクルミが即座に動いた。
クルミのシールドに取り付けられたフラッシュが強い閃光を放つ。
しかし、所属不明の生徒─────『災厄の狐』はアレスと呼んでいた────は、素早く腕で目を庇い、閃光で目を潰されるのを防いだ。
「なっ!?」
「遅いよ♪」
そして、そのままシールドバッシュを仕掛けて来たクルミをヒラリと躱すと彼女の金色の髪を引っ付かんで体勢を崩し、勢いよく脚を蹴り上げ転倒させた。
「まず、1人♪」
ズガガガガッ!!!
「あ゛ぐッ!!!」
転倒し無防備になったクルミの腹に容赦なく銃弾が叩き込まれた。
「クルミ!!!このぉ!!!」
ニコがショットガンを撃つが、アレスは素早い動作でクルミからシールドを奪い取りそれで弾丸を受けながらSMGで反撃する。
「ッ!!!」
顔のすぐ近くに着弾し、ニコは素早く遮蔽物に隠れる、そして、射撃が止まったタイミングで飛び出し銃を構えて────
「ぐぁっ!!!??」
その顔にシールドが激突した。
アレスがタイミングを読んで投げつけたのだ。
そして、怯んだニコを背負い投げの要領で投げ飛ばし地面に頭から叩きつけた。
「2人目(ズドンッ)ッ!!!????」
アレスの頭が大きく揺れた、オトギの狙撃だ。
《今だ!ユキノ!拘束し────》
「御返しですわ」
その声に振り替えると、『災厄の狐』がこちらに銃を突きつけていた。
ドンッ!
「あぐぁッ!?」
「・・・私を助けに来た、訳ではなさそうですね?」
痛みに飛び起きると、ワカモがどこか不機嫌そうにこちらを見ていた。
「いやいや~♪何を言っているのさ、ともだちのピンチに駆けつけたに決まって───」
「───のわりには、随分と楽しそうに戦っていましたね?私が、黒髪の方(ユキノ)を相手にしてなかったら2人と戦っている最中に頭を撃ち抜かれて気絶していたところでしたよ?」
「・・・まじぃ?」
「まじです。あと、スナイパーにも気づいていませんでしたよね?思いっきり頭を撃たれてましたけど」
「・・・あははー♪」
「笑って誤魔化さないで「ぐっうう・・・」」
アレスがクルミを無力化したのと同時にワカモに襲われて気絶していたユキノは、呻き声を上げながら、二人を見上げる。
「・・・お前は、一体何者だ・・・『災厄の狐』の何なんだ・・・」
憎々しげに、睨み付けるユキノ。
少し考え込んでから、アレスは答えた。
「『災厄』のともだちです♪」