holy grail war
神永side in
ひとまず俺の家に着いてからまっさきにライダーの傷を治療することになった、と言っても傷口を包帯で多い治癒効果のある札(親の遺産だ、俺じゃ作れない)をその上から当てて応急処置をした程度だが。
「どうだ、ライダー」
札を貼り付けた後にライダーに尋ねる
「多少は楽になりました、主殿ありがとうございます」
札に手を触れながらライダーはお礼を言ってきた、戦っている最中の修羅のような顔ではなく唯の年相応の少女のようでいて…
「治療はもう大丈夫かしら?」
…余計なやつが声をかけてきた
「ああ、ひとまず応急手当は終わった」
「そう、なら二人ともこっちに来てちょうだい今の状況について説明するわ」
そう言って居間に二人で向かう
居間にはお茶をすすっているバーサーカーと呼ばれた偉丈夫が胡床で待っていた。
「おう、先に飲ませてもらってたぜ」
いつの間に家のお茶入れたんだ…
「いいじゃない、お客さんがいるというのにお茶の一杯も出せないだなんてそんな貧乏臭いことは言わないわよね?」
そんなことを言いながら優雅に座布団へと正座する美作、ただ座ってるだけなのになんでそんな優美に座れるんだ
「一々嫌味ったらしいんだよお前は、で説明ってのはなんだ?」
そう言ってどっかりと胡座をかく。
「ライダーもこっち座れよ」
そう言って隣の座布団をぽんぽんと叩く、万が一がある。あのバーサーカーが此方に牙を向いてくるかもしれないのだ、対抗出来るのはライダーだけ。念の為自分の近くに座ってもらう。
「ええ、失礼します」
そう言って座るライダー、…やはり治療中も思ったが珍妙な格好だな…人によっては目に毒だろう、あバーサーカーが目を逸らした。
「そうね、一先ずは聖杯戦争とサーヴァントについて説明するわ」
そう言って話された内容はにわかには信じ難い内容だった。
──万能の願望機、聖杯を巡り7人の魔術師が使い魔として七騎のサーヴァントを召喚し争い会う魔術儀式それが聖杯戦争。
本来行われてた冬木の聖杯戦争は大戦末期に行われた3度目の儀式の際にナチスが参加者の1人、の協力を得て強奪、その後世界中に聖杯の製造法と儀式の内容が広まり様々な亜種聖杯戦争が勃発したという。
「私たちが参加しているこの聖杯戦争も亜種聖杯戦争の一種よ、本来ならば七騎は呼べない貧弱な聖杯をふたつ連結させることで呼び出せる英霊の数を本来の七騎に強引に戻したもの、戦闘規模だけで言えば本家に近いとも言えるわ」
指を2本立てながら説明をする美作
「続けるわよ?そしてサーヴァントというのは過去に存在したあるいは空想上の物語の英雄を呼び出し使役できるようにダウングレードした存在、人間なんかよりもよっぽど協力で魔術師でも勝てないわ」
「…待った、それなら使い魔には出来ないだろ、なんで従うんだ?」
「英霊にも叶えたい願望があるからよ、この聖杯戦争を勝ち抜いて願いを叶えるために英霊は私たち魔術師に従う、そしてその条件を元に枷を付けているの」
「…枷?」
「貴方の右手にも浮かんでいるでしょう?サーヴァントに対する絶対命令権、令呪。無論対魔力なんかを持っている場合は効きが弱くなるそうだけれどもサーヴァントが命を狙ってきた場合はこれを使って自害させることもできる」
自害だと…そんな無茶苦茶な命令を聞かせられるのか?
「それ以外にもこの令呪自体が莫大な魔力の塊でもあるからこれを使ってサーヴァントを一時的に強化したりなんかもできる、使い方は何となくわかるでしょ?」
「まぁな、とりあえずは理解した…と思う」
実際は中身は未だ理解しきれていない、ただここでそう言っておかないとコイツはキレる、間違いなく
「まぁざっくり言っちゃえば魔術師同士がすごい使い魔を使って殺し合いをしている、この認識でいいわ」
随分コンパクトにまとまった、最初にこれを言ってくれと思った
「何よ、文句でもあるの?」
「イイエマッタク」
「そう、ならいいわ。で、ここからが本題なんだけど」
「何だ本題って」
「簡単よ、貴方たちを助けたんだから借りを返してもらいたいのよ」
「借り…何をすりゃいいんだ?」
「簡単よ、同盟を組みましょ?知らない仲ではないのだし」
そう提案された、その時の俺の顔は多分すごく間抜けな顔をしていたと思う。
神永side out