curse&golden

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神永 side in

「──────は?」

理解が追いつかない、時代錯誤な鎧姿の男に殺されかけたと思ったら鞄が光って橋の欄干に少女が現れる。

何が起きているのか理解が及ばない、ただ一つ思ったの満月の光を受ける彼女が、美しかったということだけだ。


「む?貴方が私の喚び人で間違いありませんよね?」

欄干から飛び降り此方へ近づく少女、少年のようでそれでいて美しさを称えた美貌が近づいてきたことで混乱してしまったのか

「ッア、そう、なのか…?」

状況が飲み込めずただその言葉に頷いてしまった。


少女は納得した表情を浮かべ笑顔で

「では、このライダー!貴方のために誠心誠意尽くさせていただきましょう!」

その一言とともに佩いていた太刀を抜き鋒をランサーに向ける

「我が主に槍を向けし兇賊よ!覚悟せよ!!」

その一言と共にライダーの姿が──消えた。


神永side out


ハインリヒside in

ハインリヒは素直に感嘆した

(──────なんと言う速さか)


ランサーの敏捷が低い方であるのは事実、だがそれ以上にライダーの速度が想定を越えたものであったのだ。

ランサーが槍を一度振るう間に二度、三度太刀による攻撃を差し込んでくる。たかが太刀の攻撃など西洋の鎧からすればせいぜい傷を表面につける程度のもの、だがランサーに幾度となく致命傷にはならない傷が刻まれて行く。一太刀一太刀その悉くが鎧の隙間や首などに差し込まれているのだ。


(不味いですね…ランサーの槍だけではアレを捉えきれない)

状況を判断したハインリヒはランサーに声をかける。


「ランサー、宝具の限定開帳を許可します」

その一言を聞いたランサーは獰猛な笑みを浮かべ


「我が槍よ!敵を貫きたまえ!!!」

地面に槍を突き刺した。

ハインリヒside out


ライダーside in

(相手はランサー、耐久力は相手の方が上のようですが速度は此方が上回っている)

相手の鎧の隙間に斬撃を差し込み跳びはねるように移動する。

奥の長髪男はおそらくランサーのマスターであろう、狙えればいいがそれを許すほど鈍重では無い。

「ランサー、宝具の限定開帳を許可します」

その言葉が聞こえた瞬間、ランサーの纏う雰囲気が武人から怪物のようなものに近づいた。

(離れなければ!!)

回避行動に出ようとする、だがそれよりも早く

「我が槍よ!敵を貫きたまえ!!!」

槍が地面に突き立てられた。

その瞬間──────地面より無数の槍が突き上がって来た。


ライダーside out


神永 side in

「我が槍よ!敵を貫きたまえ!!!」

その声が響いた瞬間に、地面より無数の槍が生えライダーの身体を貫いた。

「ライダーッ!!?!」

ライダーに槍が突き刺さる。致命傷は防いだようだが、右脇腹を槍が貫いたのか左手で抑えている。

「…まさか槍を生やすとは、しかもこれは呪いか何かでしょうか?たかが槍に抉られただけにしては痛みが強すぎる」

冷や汗を垂らしながらランサーを睨みつけるライダー。

顔は我慢しているようだが苦痛に歪んでいる。


「我が槍は悪徳と不義を貫く粛清の槍、なれば貴様は生前に相応の悪徳を働き重ねたのであろう。」

冷徹な目でライダーを見据えるランサー、後ろの男に問うように

「マスターよ、あのライダーは我が槍を持って贄としよう。血塗られた我が槍にて殺戮という罰を与えるべきだ」

「…わかりました、ランサー。その槍を持ってライダーの罪業を精算してください」

諦めたような声でランサーに許可を出す。

(ま、ずい…このままだとライダーは…)

ランサーの体に校庭の時と同様かそれ以上の魔力が集まっていく。

「地獄の具現、我が槍を持って不徳を貫かん!『串刺…」ランサーが何かをしようとした瞬間直上より

「ゴオオオオォォォォルデン!!!」

黄金の雷が降り注いだ。


「なっ!?一体何が…」

土煙が巻き上がり、状況が分からない

「一言だけ聞かせてくれ、今助けがいるか?」

目の前からは精悍な声が聞こえてくる、闇を割くような響きが目の前から

「ッア、ああ!ライダーを助けてくれ!」

無我夢中だった、罠かもしれないそんなことは百も承知、ただそれ以上に。

──────自分を守ってくれた彼女を助けたかった。

「任せろ、このオレがなんとかしてやるよ!」

土埃が晴れる、そこに居たのは黄金の偉丈夫だった。

神永side out

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