beforeDay&night

beforeDay&night



???side in


ランタンの灯り程度しかない暗い地下室にて金髪の偉丈夫と小柄な少女が向かい合う


「サーヴァント、バーサーカー。召喚に応じ推参した、問おうアンタがオレの喚び人(マスター)かい?」


「ええ、そうよバーサーカー。私が貴方のマスターよ。…真名を教えてくれるかしら」


少女の声が少しだけ上擦る、バーサーカーの放つ圧倒的な魔力と威圧感に気圧されているのだろうか。冷や汗を垂らし、生唾を飲み込んでいる。その姿を見たバーサーカーは放っていた魔力を抑え、軽く苦笑しながら応える


「真名、坂田金時だ。これよりオレはあんたに刀を預けりゃ良いんだな?」


坂田金時、平安に名高い神秘殺し、源頼光。その部下である頼光四天王が1人、"金太郎"というおとぎ話の名での方が一般での知名度は高いかもしれない、熊と相撲を取りその剛力を見込まれ京にて武者として活躍する物語だ。


「ッ!!えぇ、そうよ。貴方の力、存分に奮ってもらうわよ」


(勝った!京都という彼が最も知名度補正を受けられる土地での聖杯戦争、しかもバーサーカーとして呼んだことによるステータス上昇、消費魔力量は心配だけどそこは父様の残してくれた宝石たちで何とか賄えるはず!)


「とりあえずマスター。アンタの名前を教えてくれねぇか?マスターってのはゴールドな響きなんだが名前を知らねぇってのは座りがわりぃ」


「(ゴールド?)あ、そうね。私の名前は美作、美作 穂乃果(みまさか ほのか)よ。呼ぶなら穂乃果、或いはマスターと呼びなさいバーサーカー。」


少女は胸を張りながらバーサーカーへと宣言する。

その言葉を聞いたバーサーカーは頷きながら


「了解だぜ、マスター!今後の方針はどうすんだ?」


斧を地面に突き立て左手に握りこぶしをぶつけながら穂乃果へ問う


「そこら辺に関しては上に戻ってから話しましょ、ここじゃ暗すぎるわ」


ランタンを指さしながら穂乃果はバーサーカーへ言った。


──────

カップの中で紅茶が湯気を立てている。

「とりあえず動くのは明日からよ」

紅茶をソーサーにのせバーサーカーへと言い放つ

ここは美作の家のダイニング、紅茶は執事が入れたものだ。


「なんでだ?動こうと思えば今すぐ動いて確認する方がいいだろ」

茶器を壊さないようにプルプルとカップを持ちながらバーサーカーは穂乃果に問う


「明日から私は夏休みに入るのよ、そうすれば1日街の探索や戦争の準備に当てることが出来るわ」


なるほどなぁと頷きながら紅茶を口にするバーサーカー

「それなら明日は護衛でついて行った方が良いか?」


「…そうね、霊体化して学校に着いてきてちょうだい、幸い明日は午前だけで授業が終わるもの。」

(それに、平日の昼間から攻撃を仕掛けてくるような痴れ者がいないと限らない)


「よっしゃわかったぜ、じゃあ明日から行動するってんならさっさと寝るか!」

グイッと紅茶を一気に飲んだ金時は穂乃果へと言い放つ


「…あのねぇ、確かに寝た方がいいのはその通りなのだけどそれ以上に貴方の能力の確認だったりが必要でしょ?」

ため息をつきながらバーサーカーへと文句を言う。


「そんなん戦いになりゃ否応なしにわかることなんだからそれよりマスターの睡眠のが大事だぜ」

そう言いながら穂乃果を抱え階段を登っていく


「ちょっ?!バーサーカー!?あぁもう!わかったから降ろしなさーい!!!」


──────

「(へぇ、ここが当世の学校ってやつか。知識としては知ってるがこうやって見るのは新鮮だな!)」


霊体化したバーサーカーが念話で穂乃果へ話しかける。


「(聖杯からの知識ってやつ?現代の知識が頭に入るのよね)」

教師の夏休みの注意を聞き流しながらバーサーカーへ話しかける。

「(まぁそんなもんだ、しかしマスター。この学校にマスター以外の魔術師はいるのか?いるんならより警戒しねぇと行けねぇんだが)」


そうは言いつつも警戒を緩めている訳では無いのは源氏武者たる所以か


「(…いないわ、魔術師と呼べるような奴は。)」

何処か苦虫を噛み潰したような声で返す


「(…そうか、んじゃなんか用があったら声掛けてくれ)」

そう言ってバーサーカーの気配は離れていく


(しかし、バーサーカーなのに話がここまで通じるなんてね…)

そんなことを考えながら教師の話に耳を傾ける


「というわけで今日から夏休みだ、羽目を外しすぎるなよー」

そんな注意は聞く耳持たずと言わんばかりにクラスメイトたちは夏休み何をするかで盛り上がっている。


(これで今夜から本格的に聖杯戦争に取り組めるわね、しかしアイツは…)

教室の角、最後尾の角の席に座っている少年に目を向けるとさっさと支度をして帰って行った。その右手には赤い痣のようなものが出来ていた


(アイツ…まさかね…)

考えたことを振り払いながら帰路へ着く、バーサーカーを伴いながら

──────

日が沈み月が顔を見せる夜、一度帰宅した穂乃果はいくつかの宝石と礼装を持ちバーサーカーを連れて学校へと向かった

「(しっかしマスター、なんでわざわざ学校なんだ?)」

霊体化したバーサーカーが穂乃果に問う


「簡単よ、あの学校ああ見えて霊脈の一部に乗ってるのよ。だから陣を展開する場所としては悪くないのよ」

人差し指を立てながらバーサーカーへ説明をする。少々得意げなのは若さゆえか


「(はぁ〜、なるほどなぁ。てことはその持ってる礼装は)」

そう言いながら肩に掛けているバックを見やるバーサーカー


「ええ、陣地を作るための簡易礼装よ。と言っても工房のようなバックアップが受けられる訳じゃなくてあくまで魔力が多少融通効くようになるってだけ」

そう言いながらバックをポンと叩きバーサーカーへ応える。


「さ、無駄話してないでさっさと終わらせるわよ。ほかの陣営が襲ってくる可能性があるのは変わりないんだから」

そう言いながら彼女たちは足早に学校へと向かう。


──────

学校、体育館にて

「さて、ここのステージ上当たりがポイントね」

バックの紐を握りしめ意気揚々と体育館へと踏み込む

「そんなとこに陣とか置いたら目立つんじゃねぇか?」

バーサーカーが実体化して質問を投げかける

その言葉に穂乃果は

「設置するのはあくまで魔法陣だけよ、人避けと景色に溶け込ませる結界も併せて使うからそこまで目立たないわ」

そんなことを言いながらバックから宝石やら特殊な道具を取り出して陣の設置に取り掛かろうとした─

「待て、マスター。敵だ」

「何人?」

「2人だ、場所は校庭」

「誘われてるわね、いける?バーサーカー」

「問題ねぇ、力を見せてやるよ」

端的にそれでいて無駄のない会話が2人の間で交わされる

「…そうね、ここじゃ袋小路になるし迎え撃つわよ」

そう言ってバックの中に礼装を放り込み片手に宝石を握りしめ体育館から校庭へ向かっていった


穂乃果side out

Report Page