WANTED! ~見かけた方は最寄りの海軍基地までご連絡ください~

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このssには 設定捏造・キャラ崩壊などが多分に含まれております

気になる方はタブを閉じた上で、ご用意した釜と油をお片付けくださいませ。





ここは海軍本部、かつて世界中に闘争と混乱を巻き起こした大海賊時代から民衆を守るために戦い続けた"正義"達の砦

ある一人の海兵の"正義"と一人の歌姫の"歌"によって時代と世界が変わった今も、海の治安を守るため海兵たちは今日も訓練に励んでいた。

そんな中、海軍元帥執務室に、"太陽の英雄"モンキー・D・ルフィと"新時代の歌姫"プリンセス・ウタが招かれていた。


「用ってなんだよ、赤犬のおっさん。また海軍復帰のことか?それなら断ったじゃねぇか。」

「まあ正確には、流石に疲れたから暫くどこか静かな場所で休みたいってことなんですけど…」

「似たようなもんじゃがな、とりあえず座って茶でも飲んどれ。」


かつて神の一族の傲慢によって、仲間である海軍そして世界から追われたルフィとウタは

紆余曲折を経て、"全て"に打ち勝ち、晴れて太陽の下を大手を振って歩けるようになった。

その過程は想像を絶するものであり、流石の彼らも疲弊していた。

そんな二人に海軍元帥サカズキは茶をすすめる。


「どうしたんだ、おっさん!?どっか頭でも打ったのか!」

「大変!誰かお医者さん呼んでー--!」

「わしが茶すすめんのがそんなに異常事態だと言うんか!いいから黙って座らんかい!!」


まったく、とボヤキながらサカズキも二人の向かいに座る。

ウタはとりあえず茶を飲み、ルフィは一緒に会ったおかきをバリバリと食い始めた。


「…お前さんらは、今の海軍の状況をどこまで把握してる?」

「今の海軍?別にいつも通りじゃねぇの?」


サカズキの問いに対し、ルフィは?を浮かべるが…ウタは思い当たる節があった。


「…今の民衆には、海軍が信用されていないということですか…?」


ウタの答えに頷き、サカズキは茶を飲み干すと二人を見据えた。


「その通りじゃ。今の世界情勢について簡単に説明するぞ。世界政府が打倒され、新たに築かれた、モンキー・D ・ドラゴンを長とする世界連盟は天竜人を排除し、天上金も世界各国に返還した。

かつての世界政府非加盟国も参加し、真の意味での民衆の為の政治に邁進しとる。

さらに新世界など、海軍も簡単には進めん島々も、シャンクス率いる赤髪海賊団を前身とする自警団を名乗る組織が、治安維持に努めている。」


そこまで言い切ってサカズキは、溜息をついた。


「しかしわしら海軍は、今まで世界政府の要請に従い島を焼け野原にし、天竜人の横暴を見て見ぬふりをしてきた。

極めつけは、何の非もないお前さんらを、世界中追い掛け回した。

民衆は、先に述べた二つの組織があれば海軍などいらんと考え始め取る。」

「そんなのあるわけねぇじゃん。」


サカズキが絞り出すようにいった話を、ルフィはあっけらかんと否定する。


「海は広ぇんだぜ、世界中起こってる事件をいっぺんに相手してたら、父ちゃんもサボも目が回っちまうよ。

シャンクス達だって、ナワバリ守ってた経験あっても、それが全部通用するはずねぇよ。

平和守ろうとしたら、強ぇだけじゃなくて、数とノーカンってやつがなきゃ。」

「ルフィ、それを言うならノウハウ。 でも私もルフィの同じ意見です。真面目にコツコツとするべき勤めを果たせば、民衆もきっとわかってくれます。」


今は黙って、行動で示すことだ。サカズキの悩みにルフィとウタは自分なりに答えを出した。


「……合格じゃ。」

「「…はあ?「クザン!ボルサリーノ!」なっ!?」」


いきなりかつての同僚たちを呼んだと思うと、海軍大将黄猿ことボルサリーノと、元大将青雉ことクザンが現れ、サカズキと共にルフィとウタを取り囲んだ


「いきなりなんだよ、おっさんたち!もう俺たちを追い掛け回す理由なんて無いだろ!!」

「…先日、世界連盟本部で開かれた会議に出席してな、そこでお前さんらを 次期海軍元帥と元帥補佐に任命することが決定した。」

「なっ なんでだよ!?なんで俺たちが元帥なんかに!」

「まあ簡単に言うと、人気取りのためだな。なんせお前らは海賊時代を終わらせ、世界を変えた立役者だ。」

「それに~世界連盟ドラゴンの息子と~…、新世界で治安維持に努めてる赤髪の娘だ~…。お前ェさんらが海軍の総指揮官になれば~そこら辺のコネも期待したいところだね~~~…」

「それにお前さんら、一部の国の王達にはエライ人気じゃったぞ、お前さんらが元帥になるなら支援は惜しまんとよ。」


混乱するルフィとウタに、サカズキにクザン、ボルサリーノは淡々と説明する。彼らの、否世界連盟の中でこれは決定事項なのだ。


「まあ、どっちが元帥でどっちが補佐なのかは、そっちで決めて構わんぞ。それくらいの自由はあってもええじゃろ。

…で返答は…?」

「「断る!」」


凄むサカズキに対して、ルフィとウタは即NOを突き付ける

と同時に、サカズキたちは二人を取り押さえにかかる。


「ギア4 タンクマン!!!」


それに対してルフィは防御・カウンター用の形態タンクマンを使用、サカズキたちの攻撃を受け止める


(これについては知っちょる!弾き飛ばされる瞬間にマグマになって、勢いを殺せばええ!)


そう考える三人だが……手ごたえが急に軽くなった


「ゴムゴムの~~~~~~ピンボォォォォ~~~ル!!!」


サカズキたちを弾き飛ばすのではなく、その攻撃を受けた勢いを活かして、ルフィはウタを抱いたまま壁を突き破り、外へと脱出した。


「あらら、逃げられちゃったよ…。いやぁ本当に強くなっちまって まぁ…」

「あっしたちが老いぼれたってんもあるだろうね~~…。レイリーじゃないが、歳はとりたくないね~~…」

「ふんっ!これくらいしともらわにゃ、もっぺん一から鍛えなおしちょる所じゃわい!

全海兵に連絡! 案の定、次期元帥と補佐が逃亡! 総力をもって確保せよ!!」


サカズキからの命令が海軍本部を駆け巡るなか、すでにルフィはパウンドマンとなって、ウタと共に本部領空を脱出しようとしていた…が


「ホワイト・バイン!!」

「「うわぁぁぁっ!?」」


突如として巻き起こった煙の竜巻に叩かれた。なんとか態勢を立て直すも、四人の海軍将校…スモーカー中将・たしぎ大佐・コビー大佐・ヘルメッポ少佐が取り囲んでいた。


「ケムリン!!」

「その呼び方はやめろっつっただろうが!!言っとくが次期元帥だからって容赦しねぇぞ、少しでもたるんだ様子見せたらボコボコにしてやる!」

「なんだよそれ!!ますますなりたくなくなったよ! なるわけぇんだけどさぁ!」

「スモーカーさん、そんな脅すようなこと言ったら反発されるだけです! ルフィさん、ウタさん、とりあえず試しと思ってやってみません?意外と上手くいくかもしれませんよ?」

「試しにやってみて、嫌だったらやめさせてくれるの!?くれないんでしょ! むしろ逃す隙を与えないつもりでしょ!!」

「ルフィさん!今回ばかりは大人しく捕まってください! 僕もヘルメッポも力一杯お手伝いしますんで!!」

「俺を巻き込むんじゃねぇぞ、コビー!こいつらの尻ぬぐいなんて、とんでもねぇ重労働に決まってんじゃねぇか!!」


空に渦巻く白煙の中で、六人はギャーギャーと言い合いを交わす

埒が明かないと判断したのか、ルフィは海軍本部の地上へと急降下するが…


「今だ、G5!撃てぇ!!」

『了解だ、スモやん!!』

「「うわわっ!」」


待機していたG5支部の海兵たちが海楼石製の捕縛網弾を発射する、それをすんでのところで避けるものの、すでに数えきれないほどの海兵がルフィとウタを囲んでいた


「なんなんだよ、お前ら!そんなに俺たちに元帥になってほしいのかよ!!」

『はい!』

「ええ…即答……。」


ルフィの怒声に勢いよく返答する海兵たちにウタはがっくりと首をおとした。


「いいから元帥になってくれよゴムやんにウタちゃん! 俺たち、二人のためなら命がけで戦うぜ!」

「ああ、たまに肉おごってくれたり、歌歌ってくれるなら最高だぜ!」

「そんなに聴きたいなら、全力で歌ってあげるよ!!」


さらに勢いづくG5たちに向かって、ウタウタの能力を発動させるウタ


「無駄だ!俺たち全員海楼石製の耳栓を…なにぃっ!!」


歌を聴き、海兵たちの優に三分の一がバタバタと倒れていく、特にG5の面々は全滅である


「そういえば、ウタさんの歌を聴けなくなるくらいなら死んだ方がマシ! とか言ってた海兵たちがいたような…。耳栓しなかったのでは…。」

「あの馬鹿どもをブッ飛ばしてでも叩き起こせ!!!」


あんまりと言えばあんまりな醜態に、いよいよスモーカーの怒りが頂点に達する。それを見聞色の覇気で見抜いたルフィは、今が好機と全速力で離脱した。


「じゃあな、ケムリン!! 俺たちを元帥にするの諦めたころにまた来るから!」

「諦めねぇよ!そもそも逃がしてたまるか!!」

「今回ばかりは逃がしませんよ、ルフィさん!!」


一瞬遅れて、スモーカーたちは追跡する。そんな彼らを離れた場所で、現海軍大将、緑牛ことアラマキと、藤虎ことイッショウが眺めていた。


「いかねぇんですか?捕まえたらサカズキ元帥も喜びますぜ…」

「いやぁ、俺前ん時に嫌って程追い掛け回したからよ、今更どんな顔すればいいのかわかんねぇのよ。そういうお前は、イッショウ?」

「あっしも気が進まねぇんで…。あの二人にはもう、平和に暮らしてほしいんですがねぇ…。」


どうやら二人は追跡劇に参加する気はなかったようだ、するとイッショウはアラマキにあることを尋ねた


「なあアラマキ…いま皆さん方ァどんな顔してなさるんで…?」

「どんな顔って?そりゃ……あんたが一番みたい顔さぁ!」


イッショウの問いにアラマキは笑って帰す。イッショウは笑みを浮かべ…溜息をついた


「目ぇ…閉じなきゃよかったな。みんなの顔 見てみたい…」

「…じゃあよぉ。やっぱ参加しちまおっか!」


そんなイッショウの後悔を聞き、アラマキは前言を撤回した


「いや、あっしは…」

「なにも別に捕まえようってわけじゃねぇよ!この乱戦だ、麦わらたちに協力したってわからねぇって!」

「アラマキ……あんたの顔も見てみたいねぇ…。」


とびっきりの男前だぜ! と答えると駆け出すアラマキ。イッショウも後に続いた。



「がんばれ、ウタ!もう少しだ!」

「うん!出口見えてきたよ!!」


以前の経験からか、追跡をことごとく躱し、とうとう海軍本部脱出目前となった瞬間

ルフィとウタの前に予想外の人物が現れた


「はっはー--!堪んねぇなぁ、このライブ感!!!」


モルガンズである


「さあ、始まったぜ。全世界に配信する電伝虫ニュース! 一番最初も最初!取りあつかうのはぁっ!

"太陽の英雄"と"新時代の歌姫"が海軍元帥と元帥補佐に就任するってニュースだぁ!!!

まずはインタビューといってみよう!!!!!!」


脱出寸前の二人の前に、報道陣を引き連れて、立ちふさがるかのようにインタビューを開始するモルガンズ。

ルフィとウタは……


「ぜ、ぜ、ぜ、


『絶対に、嫌だ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!』


英雄、歌姫。そんなイメージからは程遠い、情けない叫び声をあげながら来た道を逆走。逃走を再開するのだった。


「がっはっはっはっはっは!!!さすがはワシの孫と嫁!大物になると思っておったわい!」

「薄情な祖父だな、言っておくが…大変だぞ、元帥…。」


そんな様子を二人の老人、少し前に海軍から完全に引退したガープとセンゴクが眺めていた。

目の前の光景は、かつて若き海兵が神の一族から愛する少女を守らんと反抗した末の逃走劇を酷似していた。

ただ一つだけ違うのは…


「くく…ははははは…」

「もう、何笑ってるのルフィ、言っとくけどギア5は使っちゃだめだからね。」

「そういうウタだって、笑ってんじゃねぇか!」


笑顔、それが逃亡する二人に…否、二人だけではない

いつの間にか追いかける海兵たちも、そして電伝虫からの映像をみた民衆も笑っていた……

いつしかウタは歌を歌い始めた…なんの能力もない、しかし世界を変えた歌を……

それは、かつて悲しみと後悔に満ちた逃走劇を笑話にしてしまうかのように…

世はまさに、平和な新時代……


「「捕まって、たまるか~~~~~~~~~~~!!!!!!」」

『待てぇぇぇぇえええええええええええ!!!!!!!!!』

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