VS 氷輪丸

VS 氷輪丸


「我の力は強大故 我を持つ死神も強大であるはずだ」

「私は死神じゃないんですけれど...」

「我が足止めを任されたのは村正による指示だ 我の事情とは異なる」

修行の帰り道に出くわしたのは恐らく氷雪系...それも隊長格となると

『氷輪丸』 ほぼ確実にこれだ

「正確には足止めではなく...積極的に殺せと命じられているがな」

一振り それだけで周囲が凍り付く 私には出来ない広範囲の制圧

刀を振るおうとしてもそもそも届かない 始解をしてもあれほどの重厚な壁を避ける策は生憎持っていない

あまりにも格が違う 体からはみるみるうちに温度が失われはじめている

刀一本で戦場に立つことがこうも心細いものなのかと私は驚嘆するほかなかった


「随分と手こずっていますね」

「卯ノ花隊長...」

「治療はします たとえどのような傷を負おうと治してみせますよ」

短い攻防で圧倒的に差を付けられていた私の元へ現れ卯ノ花隊長は傷を治して下がった

...つまり勝つなりなんなりしなければまた再生地獄である

「"人間"今のままでは"斬魄刀"そのものも そして氷すらも斬れはしないだろう」

「懇切丁寧に説明どうもですわ!!」

一護もほかの死神もよくもまあ刀一本で打開など出来る物だ

ともかく全力で突っ込む...それしか道は無い そうして一歩進め...


...体中が痛い 一歩だなんだと言っていたが結局その一歩を進める前に私の体は氷漬けにされてしまっていたらしい

治療をしてくれたのだろう卯ノ花隊長が横になっている私を覗き見るようにして佇んでいた

「今の貴方は正しく付け焼刃 いえ折れた刃の切っ先を素手で持っているとでも揶揄する方が余程正しいとすら言えるでしょう」

随分と厳しい言葉だ とはいえ実力差を感じた後ですし反論は無い

「...お手本のように斬る必要はありません 貴方の赴くままに刀を振るいなさい 恐らく貴方にはその方が良い」

「いつもの卑劣極まりないとか言われる奴ですの?」

「ええ その『ドス』は千年...元の持ち主などよりも貴方方虎屋家と共にあったのです そちらの流儀の方が余程なじみ深いでしょう」

どうしたものか...卯ノ花隊長から目をそらして私のすぐ近くに静かに座っていた『ドス』...いや『斬魄刀』を少し眺めた






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