VSナキーム編
1
敵が来て...どうやら"ゲンテイカイジョ"とやらが必要だという第六感からの情報により乱菊さんのやられた振りを見つつ私もやられた振りをと考えていたのですが...
「そういえば私はか弱い人間でしたわ⁉死神ほど丈夫ではないですし破面にやられて軽傷とか起こり得ませんわ!」
死神である日番谷隊長と乱菊副隊長は死神であり、ある程度の怪我を負っても致命傷にならない...だからこそ乱菊さんはやられた振りをして通信を行おうとしていた。だが私という誤算があった。
「霊圧が辿れない...!どういう動きなんですのそれ!」
「霊圧はあるようだが...大したものではないな」
ふとっちょな破面の動きに翻弄されうまくガードしきれず攻勢にも出られない...手札である道具を消費して敵の攻撃を潰すしか生き残る道はない
アニメも真っ青の動きを見せるベ〇ブレードやら青く光るドスやらを使って幾らか時間を稼いだがやはり敵の動きに対して反応しきれない、スタミナは削られ息が乱れ始めている。
そんな私を見て我慢ならずに乱菊さんが動こうとしているのが見えてそれを目で制止するが乱菊さんから抗議の声が上がる
「後ろに下がっていなさいと言ったでしょう!?遊びではないのよ!」
「やられて伸びているのですからそのまま寝ておいてください乱菊さん!」
まぁそもそも私がこの破面と戦っているのは第六感が来る前に乱菊さんが倒れたのを見てこれはマズいと勇み足を踏んだのが原因なのです。
しかし仮に下がれるとしても、仮に私が何もしなくても勝てるとしても何もせずにはいられない...そうしてこの窮地に陥った。後悔はしていませんが!
「何もせず...いや"何も出来ないまま"なんて死んでも嫌ですので!」
そう言っている内に目の前の敵が霊圧ごと消え唐突に背後に現れる、直ぐに全力で空気を踏み込み距離を離す。寸での所で回避しまた大きく距離を開ける
「距離を開けても感知できない...距離は関係な...ッ!」
考え込んでいる内に再度移動し既に真横にいた破面に殴られ地面に叩きつけられる
二人とも仲良く地面を舐めたところでようやく"限定解除"の許可が下りたらしい。
限定解除による霊圧の変化に驚く破面の目に目掛けて今、全力の!
「喰らえ!硫酸目潰し水鉄砲!(ハイリッヒ・ボーゲン)」
正直硫酸関係なく失明しそうな水圧で硫酸を射出し、後は乱菊さんの邪魔にならないように井上さんの元へと転がりながら下がった。
直ぐに乱菊さんも日番谷隊長も破面を倒してくれたが...井上さんの表情は晴れなかった
彼女は私のように争いに乗り込み我を通すような性格ではなくそれは長所と言える、現に私は無暗に首を突っ込みかき乱しただけに終わった。だが彼女にとってそれは私の言う"何もできないまま立ち尽くす"ことしか出来ない不甲斐ない自分と比べれば青く輝いて見えるのだろう。
どれだけ傷ついていても守り救う力をもつ井上さんにその優しさの強さ尊さを伝えるにはどうすれば良いのか私は考えることにした。