Unrivaled
アサシン side in
───さて、どう動くか。
アサシンは気配遮断スキルをフル活用し木の上からライダーとそのマスターを観察していた。
(あのライダー、拙者では少々手に余りそうですね)
ライダーの獲物には退魔の力があるようで呪を用いて口寄せした蛇単体では不利となる
故に数と狙いをマスターに絞ることで相手の動きを制限する。いくら一騎当千の強者と言えどもそれを上回る数と策をもってすれば隙などいくらでも作れる。
(ライダーが動きを鈍らせた瞬間があのマスターの最後でござる)
クナイに手を添え隙を伺う、攻撃態勢には入らない。
気配遮断スキルには欠点として攻撃に入るとランクが著しく下がる、故に攻撃体勢にならない。
「───なら、こいつを使う」
マスターが何かを話している、見せているのは…令呪!?
あの男、こんな序盤に令呪を使うつもりなのか!?
「───お任せ下さい」
ライダーもライダーでそんな意見に賛成するな!
…このままだと離脱される最悪の場合は令呪を用いて捨て身で私を仕留めに来る。
(ここは蛇に任せ拙者は1度退散するべきでござるな)
相手に令呪を切らせた、これだけでも戦果としては十分だ。忍びは引き際を心掛ける者なのだ。
(───退散でござる)
そう言ってクナイから手を離し闇へと溶け込む。
アサシン side out
神永 side in
「令呪を持ってライダーの主が命ずる」
右手の令呪に魔力を通し、命ずる。それだけで令呪は起動する、そして令呪を持って命じればサーヴァントは空間すら跳び超えるならばそれを敵の殲滅に使ったらどうなるか
「"蛇の群れを倒し路を開け!!!!"」
その命令を受けたライダーは凄まじいほどの魔力を纏う。具体性のない命令のため令呪の膨大な魔力がライダーに注ぎ込まれるだけだ。だがそれで十分
「了解しました!」
その一言と共にライダーの姿が一瞬掻き消えたと思いきや包囲していた蛇の一角が切り刻まれる。
それを皮切りに蛇たちが此方へと襲い来る。それをライダーはまるで紙のように斬り捨てては新たな蛇を斬り捨てる、俺たちの方に襲ってきた蛇たちは徐々にライダーへと集まっていく、蛇達から倒すべき敵として狙われているのだろう。だが宝具を使っていないとはいえ英霊、たかが妖蛇如きに遅れはとらない。ましてや令呪を用いて強化されているのだ。その強さは普段の実力以上になっている。そして5分も経たぬうちに蛇たちは全滅した。
俺たちを守りながら戦っていたにも関わらずライダーの身体には傷一つ付いていなかった。
「ではアサシンが来ぬ内に一度拠点に」
そう言って俺たち2人を抱え家へと駆け出した。
───
「…なんとかなりましたね」
ライダーは家の前で俺たちを降ろし一息ついた。相応の消耗をしているようで、息が少し乱れている
「───悪い、俺のせいで令呪を使う羽目になっちまって、ライダーにも負担をかけた」
自分の仕出かしたことが今になって重くのしかかってくる。
「いえ、気にしないでください」
そう言って先生を見る
「しかし彼はどうしましょうか、ここに置いておく訳にもいかないでしょうし…」
「…仕方ないけど教会に向かおうか、そこならこの人を預かってくれるだろ、多分」
「そうですね、では向かいますか」
───
疲れた…学校からアサシンが追ってこないか警戒しながらだったためより疲労が残った。
「無事に引き取ってくれて助かった…」
あの状態は蛇を媒介にします呪いが原因らしい、俺では呪いの対処は不可能だったからより助かった。
「そういえばどうします?穂乃果殿に報告しなければならないのでは?」
…忘れてた、絶対叱られる
アサシンの脅威を説明したその日に勝手に行動して挙句の果てに令呪を一角無駄遣いする始末
「黙ってる訳にはいかないよな…」
「令呪を使ってしまいましたからね」
「アサシンの情報と併せてトントンかな?」
「それでも収支は赤字でしょうね、今まで積み重ねがあります」
突きつけられた事実に頭が痛くなる。
「…とりあえず今日は寝よう、そして起きてから考えるか」
そう、結論付けた。疲労が限界だ、さっさと布団に入って寝てしまいたい。
「主殿、私は警護に入りますので」
「任せた…俺は限界だ…」
その言葉を交わし俺は布団に倒れそのまま眠りに落ちた。
神永side out