『USA君が女装した訳』

『USA君が女装した訳』



「——USA君女装してみない?」


事の始まりは園子のそんな一言から始まった。


「絶ーっ対にNoだ!!」


何が悲しくてレディの格好なんてしなくちゃならないんだ。

女装するならフェイスの良い大赦ワイや童顔の防人ワイの方が似合うに決まっている。

手足が細く王子様フェイスなゆゆワイや、気は強いが所作が丁寧な犬ワイだって悪くはないはずだ。

フロンティアスピリッツ溢れる男児である俺がそんな真似できるわけがない。


「どうか頼むんよ~。最近になって書き始めた女装男子の小説のネタに詰まっちゃったからインスピレーションが欲しいんよー」

「NoなものはNoだ!」


そう、大和男児でもある俺だ。

男に二言は無いのだ、絶対に。


「ハァー、こないだわっしーが罰ゲームで来てくれたアメスクの写真があったんだけどなー」

「——はぁ!?」


美森がアメスク!?

それは似合わな……いやでも美森だぞ。

きっちり着こなして……でも解釈違いじゃ……いや、しかし……。


「ちょっとサイズを間違えて渡しちゃったからー、服がわっしーの牡丹餅ではち切れんばかりだったんよー。普段よりも肌色成分マシマシでエッチだったなぁー」

「ぐふぅ!?」


美森のあのビッグな牡丹餅が……!?

くっ、負けるな俺、男に二言は——


「ここだけの話だけど……わっしーの牡丹餅が大きすぎてボタンが弾け飛んじゃって、谷間が丸見「やる——!」え……? やってくれるんだー。良かったんよー!」


仕方が無い、仕方が無いんだ。

園子は俺にとってはマイフレンド。

マイフレンドの助けを断るわけにはいかないんだ——


「じゃあ先に写真を渡しとくね。はい、どうぞ♪」


——貰ったフォトの美森は本当にアメージングだった。




・・・・・・・・・・




「——これが俺……!?」

「ふっふっふ、やっぱり私の目に狂いはなかったんよ!」


目の前の鏡に映る俺の姿はまさしくレディとしか言い様が無かった。

黒い長髪のウィッグを被り、化粧を施され、レデイのクロスを纏った俺の姿をジェントルマンだと思うものはほぼ居ないんじゃないだろうか。

鏡の前で試しにくるっと回ってみると、長髪がバサッと翻ってCMやドラマの中のレディが目の前にいるように感じる。

……っていうか、うん。


「なぁ、園子。レディの格好をするのに胸に詰め物をするのは分かる、……だが、これはやり過ぎじゃないか?」


実際に俺の胸にはたくさんの詰め物が入っており凄く重い。

俺の手でも覆いきれないほどの大きな牡丹餅はデカすぎるだろう。

世のレディたちはこんな重い物を吊り下げていたのか。

……っていうかこのサイズって。


「えー? でもUSA君は大きいの好きでしょ?」

「そりゃあ勿論ライクだけどさ、美森と同じぐらいあるぞコレ」


フニフニと自前(偽)の牡丹餅を揉みながら園子に答えると、園子の笑みが深くなった。

……あ、しまった。


「へー、USA君はやっぱりわっしーのサイズを良く分かってるんだー。さすが毎日揉んでるだけのことあるんよー」

「違っ! 毎日は揉んでない!!」

「揉んでることは否定しないんだね……」

「……」


もう何も言うまい……。


「まぁ、ともかく。これからUSA君改めウサちゃんにはミッションを与えるんよ!」

「ミッション!? 女装して終わりじゃないのか!?」


そもそも、写真をゲットする代わりの女装だったはずだ。

それに、園子が考えるミッションなんて碌なモンじゃないよな……。


「なぁ、園子。俺はこれ以上は「わっしーが水行している写真があったんだけどなー。スッケスケで見え見えだったんだけど、これはもう捨てちゃう「園子ォー! 俺は何をやればいい――ッ!!」ん……? えへへ、やったー! 助かるんよー!」


仕方が無い、仕方が無いんだ。

決してフォトに釣られたわけじゃなくて、マイフレンドが困っていたらヘルプするのが当たり前なんだ——!


「じゃあ、先にご褒美を渡しておくんよー。はい、どーぞ♪」


——ご褒美のフォトの美森は開いた口が閉じないくらいにシュープリームだった。



そして俺は、園子の『勇者部全員に会ってきてね』——という地獄の様なミッションに苦しめられる事に成ったのだ——



……to be continued?

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