『USAと生ものと癒しの牡丹餅』

『USAと生ものと癒しの牡丹餅』


 

 

「I'm back. だぜー……ってまだ誰も部室に帰ってないのかよ……」

 

俺の担当のworkを終えて部室に戻ると部屋には誰もいなかった。

何時もは誰かしらがいて賑やかな部屋だが、今はquietすぎて調子が狂う。

 

「早く皆帰って来ねーかなー。……ん?なんだこれ?」

 

机の上に㊙と書かれた一冊のnoteが置いてあった。

誰かの忘れ物……いや、次のrecreationで行う出し物の台本か?

園子か風先輩辺りが書いた後に置きっぱなしにした……ってところかな。

園子の話は起承転結がぶっ飛んでて続きが気になるstoryだし、風先輩が書いたのは皆がhappy endingを迎えるから好きだ。

killing timeがてらに読んでみようかとnoteを手に取って表紙を捲ると……そこには俺の知らないworldがあった。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

「USA?どうしたんだい?ボーっとしてるけれど。気分でも悪いのかい?」

「うわああああぁ~~~~~~っ!?」

「わっ、びっくりした。どうしたんだいUSA。大丈夫かい?」

 

余りのshockで放心して立ち尽くしていた俺は急に耳に届いたゆゆワイの声に慄いた。

周りを見るとどうやら部員全員の姿が見える。

どうやら意識を飛ばしていた間に皆部室に帰って来ていたらしい。

 

「く、来るな!来るんじゃねぇ!ゆゆワイ、頼むから俺に近づくなぁ!」

「え、えっと……。本当にどうしたんだいUSA?」

 

今の俺にとってゆゆワイは劇薬だ。

断じて近づかせてはならない。

確かに俺にとってゆゆワイは親友であり唯一無二のfriendと言える存在だろう。

だがしかし、決してこのnoteに書かれているような関係では絶対ない。

野生動物の様に「ふしゃー」と威嚇する俺へと美森が近づいた。

 

「もう、どうしたのワイ君?そんなに暴れて……あらその帳面は……」

「やめろ美森ぃ!見るなぁー!俺の尊厳を損なわないでくれぇー!」

「そのっちの帳面でしょう?どうしたらそんなことになるのよ……」

 

嗚呼、やっぱりこれを書いたのは園子だったのか。

頼むからこんなもんを部室に置きっぱなしにするのはstopして欲しい……。

思わずnoteの内容を思い出して涙ぐむ俺に美森はよしよしといわんばかりに頭を撫でてくれる。

たまらず俺は美森を抱きしめようとするも、「駄目よワイ君」と拒絶された。

打ちひしがれてガクッとfallする俺の頭を両手で抱くと、美森は包容力がたっぷり詰まった自身の牡丹餅へと押し付けた。

 

「みもっ、っぷ」

「こら、くすぐったいから喋らないで。良い子だから静かに……ね?」

 

喋れないからコクコクと頷くと、弾む牡丹餅がむにゅんもにゅんと顔に当たって気持ち良い。

もっとと言わんばかりに顔を押し付けても、美森は嫌がる素振りをすることなく優しく受け止めてくれた。

制服越しなのに柔らかくて、美森の良い匂いがしてなんだか溶けてしまいそうなくらいに心地良い。

俺の後ろ髪を美森の細い指先が梳く様に撫でてくれて、安心するようにほっと息が漏れた。

 

「落ち着いた?」

 

美森の穏やかな声にこくりと頷くとむにゅっと顔がさらに深く牡丹餅に包まれる。

擽ったそうにしながらも、美森は俺の頭を抱きしめて胸から離さなかった。

 

「わわ、東郷さん凄い!」

「むむむ、さすがわっしーなんよー」

「やるわね東郷。ん~アタシも帰ったらワイにしてあげようかしら?」

「うぅ~羨ましいですぅ~」

「ま、まあ、あれぐらい私だって……」

 「アタシもワイの奴に……無理ぃ、あんなのできるかぁ!」


何だか外野が何か言っている気がするが、それが気にならないくらいに俺はもう美森の牡丹餅に夢中だった。

 

「びょおおおおおおおお! 制作意欲がもりもりなんよー!」

「園子様?」

「あっ……」

 

だからこの後に園子が吊るされたりと色々あったみたいだが、俺は全く気が付くことなく美森の牡丹餅にたっぷりと癒されるのだった——

 

 

END


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