Tot memoria

Tot memoria


⚠赤→RED時空 玩→ホビウタ時空です。



赤「どうして……??」

少女は困惑していた。いくら自身の思うがままのこの夢の世界と言えど、こんなことは有り得ないからだ。いや、思うがままだから

「こそ」有り得ないのかもしれない。

玩「やあ、わたし」

この世で1番見たくない顔、即ち自分自身が出てくるなんてそんな夢、彼女が望むはずはないのだから。


・・・ーーー・・・ ・・・ーーー・・・


玩「これと、これと…あ!これカワイイ!」

麦わらの一味はその末っ子兼最古参たっての希望により、世界一の音楽の都、エレジアを訪れていた。

ナミ「ウター?はしゃぐのは構わないけど、きっちり財布と相談して決めるのよ?この前みたいに買いすぎて払えないって困っても助けてあげないんだからね!」

玩「わかってるって、その節は大変お世話になりました♪」

ナミ「ほんとにわかってるんでしょうね?」

そうは言っているが、ナミの口調は柔らかい。年上だが妹のように可愛がっているウタに彼女が強く出れるはずもないのだ。

(これが野郎共相手なら拳が飛んだだろう)


「……な…い……ん………と………よ」


その時、ふとウタ手が止まった。

ナミ「どうしたのウタ?やっぱり予算オーバーしちゃう?少しくらいならお小遣い前借りさせたげるけど…?」

玩「ううん、そうじゃない。今、なにか…声?が聞こえた」

ナミ「え?何も聞こえないけど…」

玩「ううん、確かに聞こえた。はっきり全部じゃないけど、絶対」

ナミは一瞬怪訝そうな顔をしたが、ウタの表情を見て嘘を言っている訳では無いと思い直し、真面目に尋ねる。

ナミ「聞こえたって…どんな声がよ?」

玩「何か、硬い決意を思わせるような、なんだけどどこか、諦めによく似た暗い絶望に侵されているような…そんな声」

説明しながらも彼女の表情はいっそう険しくなっていく。

玩(何か、妙な胸騒ぎがする。ほっといたら、途轍もなく後悔するような、放っておいては、いけないような…)

玩「ちょっとこれ持ってて!」

ナミ「あ!ちょっ!ウタァー?」

ウタは店の外に走り出した。より強い声が聞こえる方へ、自分の体が赴くままに、唯ひたすらに。


赤「………」

少女は、一見呑気そうに眠りこける幼なじみの顔を、雨露を払うままに撫でる。愛おしそうに、或いは、名残惜しそうに。

赤「……バイバイ」

そうして一撫でした後、彼の被っていた麦わら帽子を彼の胴に被せ、足元のナイフを握り、自身もまた、覆い被さる。それはまるで、許しを乞うために頭を垂れるかのようでもあった。


パスッ


寸前。

少女の白い両手に包まれた凶器は、その役目を果たすことは無かった。

赤「ッッ!!はッ!?」








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