定価3,000円のところ、今なら1,000円!
おお
Q:タクヤの射精はいくらですか?
A:1,000円です。
「……」
俺はスマホをテーブルに置き、ベッドに寝転んだ。ややあって再び起き上がり、さっき見たばかりのサイトを再び開く。
「うーん……」
なんだろうなあ、これ。確か前見たときは3,000円だった気がしたんだけど。
いつの間にか安くなってるし……まあいいか。何か起きたらいい話の種だ。とりあえず申し込んでみよう。
「よし」
俺は申し込みボタンを押した。すると画面には、俺の名前や生年月日など個人情報を入力する項目が現れた。
俺は自分の情報を入力していく。
「名前は、ナオキ。生年月日は……っと」
そういえば、こっちに来てから誕生日なんて祝ってもらったことなかったなぁ……。地元では毎年家族やらダチやらと集まって、ケーキ食べてプレゼントもらってたっけ……。そんなことを思いながら、俺は入力を終えた。
それから、しばらく待つと画面には「申込完了」の文字が表示されていた。
……これで本当に大丈夫なのかな? なんかの詐欺とかじゃないよな? 少し不安になったものの、もともと軽い動機だったのもあり、俺はそれ以上気にすることもなく眠りについた。
――翌日。
いつも通り仕事を終え、帰宅している最中のことだった。
会社を出て駅に向かっていると、
「ああ、君がナオキ君だね」
みるからに異常な出で立ちの、日に焼けた男に声をかけられた。
「あの、どちら様でしょうか?」
男はニヤリとした笑みを浮かべると、唐突にズボンを脱ぎ始めた。
「ちょ!? 何やってんですか!」
俺は慌てて男の手を掴んで止めようとしたのだが、次の瞬間には逆に手首を強く握り返されてしまった。
「何って、君が昨日注文してくれたものを披露してるだけだよ」
「ハァ!? 痛って……放せよ!」
俺は必死に手を振りほどこうとしたが、まるで万力に挟まれたようにびくともしない。男は俺の反応を楽しむかのようにゆっくりと脱いだパンツの中からペニスを取り出した。
それはすでに勃起しており、先走り汁を流していた。そのあまりの大きさに思わず息を飲む。
「気に入ってくれたかな? 君、来月誕生日なんだってね」
「ああ? それがどうした――」
言いかけて、俺の背筋に悪寒が走る。
「いや待て……まさか……」
「うん、君の想像してることであってると思うよ」
男は嬉しそうに笑う。
「おめでとう。だいぶ前祝いになっちゃうけど、たっぷり堪能してね。ここなら人もほとんど来ないし、時間もあることだしね」
「ふざ……けんな!!」
いくらなんでも、興味本位で注文してみたとはいえ、こんな祝われ方があってたまるか! 会社の最寄り駅への裏道を通ったことを、今日ほど後悔した日はない。
「おい!! 誰か助けてくれ!!!」
大声で叫ぶも、誰一人としてこちらを見ようとはしなかった。
そりゃそうだろうな。だって相手はこんな異常な格好だし、巻き込まれるのは御免だろう。つまり、誰もいないのと同じなのだ。
「じゃあ、始めるね」言うが早いか男は、自身のペニスを超速で扱き始めた。
「ぐぅッ……やめ……ろぉ……!」
しかし、いくら抵抗しても無駄だった。それどころか、ますます扱く手が力強くなっていく一方である。
やがて限界を迎えたのか、男が射精した。精液の量は凄まじく、辺り一面に撒き散らされた。
「ハッピーバースデー、ナオキ君」
その言葉を聞いた瞬間、俺の意識は途切れた。
ふと気がつくと、俺は自分の部屋にいた。
さっきまでの出来事は全て夢だったのだ。……そう思いたいだけなのかも知れないが。
「なんつー悪夢を……」
自分に言い聞かせるように呟きながら時計を見ると、まだ朝の5時だった。二度寝しようと布団を被ったそのとき、ピロンとスマホが鳴った。
「ん? メール……?」
受信時刻を見る。あの日の翌日だった。
「おいおいウソだろ……」
もしや夢じゃなかったのかと落ち込む暇もなく、メールの本文を見た俺は戦慄した。
ナオキさんへ
この度はご利用ありがとうございました。料金はあなた様ご指定のカードより正に領収いたしました。当サービスではお客様のお好みに合わせた射精プランを提供させていただいております。つきましては、下記のアンケートにご協力ください――
果たしてクレカの明細を確認すると、実際に1,000円分が請求されていた。そして自身の匂いをよく嗅いでみると、ムッとくる雄の香りがした。おまけに片方の手首には掴まれた痕と思われる痣が出来ていた。
「もう二度と使うもんか」
最悪な誕生日プレゼント(前祝い)に酷く落胆し、本当の誕生日には帰省して慰めてもらおうと強く決意した。
……ものの、結局俺は再びあのサイトにアクセスしてしまうことになる。
<了>